症例7_解説と治療

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 症例7の解説と治療ですが、痰濁による頭痛と考えることができます。脾の病態も気になるところですが、脾に関しては問診で確認を取ることが必要になると思います。

1.解説

 頭部にズーンと思い痛みが出ていることから痰濁による頭痛と考えることができます。痰濁の問題の場合は脾気虚のことも考えないといけないのですが、脾の症状と痰濁の症状は似ていることが多いので鑑別するためには虚実を決めることが必要になります。

 

 虚実の判定では一日での変化や食後に症状が増悪するということを確認する必要があるのですが、この患者では、一日のなかでもそれほど変化がないということから虚証はないのではないかと考える必要があります。

 

 脾の働きが低下していると、食後にお腹が張ってしまう状態がみられるので、確認をしておくことが必要になります。仕事のストレスがあるので、肝も考えたいところなのですが、胸脇苦満や太息(ためいき)を確認しておくことが必要ですが、ため息は問診の中でも見られることがあるので、そこで鑑別をするのも大切になります。

 

 週末にだるくて寝てしまっているのは、痰濁の阻滞があり、脾が十分に働けていない状態によって発生してしまっています。脾は肌肉と関係をし、肌肉は身体のサイズや四肢との関係があると言われるので、脾の働きが阻害されると、四肢のだるさが生じます。

 

 痰濁もあるので、痰濁は下注性があり、下に阻滞しやすいところから身体のだるさが生じやすくなります。軟便傾向はいつから生じているのかを確認することによって、脾の働きのことを考えることが出来ますが、頭痛の前後に生じたようであれば、脾の働きの問題ではなく、痰濁による下注性によって発症していると考えられます。

 

2.治療

 頭部に阻滞してしまった痰濁を下に降ろして、濁気として排泄させることが必要なのですが、このときの治療としては脾の昇清を強めることによって、頭部に阻滞してしまった痰濁を除くことが出来ます。

 

 脾の昇清は栄養を頭部に送るだけではなく、頭部にたまってしまっている濁気を下へ送る働きがあるので、治療において脾の昇清を考えて治療することが必要になります。脾の昇清を高めるには、百会を用いてくることもいいのですが、痰濁が阻滞しているようだと、頭部に浮腫みが生じている場合があるので、頭部の触診をしっかりと行うことが大切になります。

 

 頭部に浮腫みが生じている場合は、水は火から治療するということでお灸を百会に用いていくと効果が見られやすいです。

 

 合谷を用いていることによって前頭部・顔面部に働きかけ、脾胃の調子を整えることが出来るので合谷と足三里を組み合わせるのもいいと思います。

 

 痰湿の除去に関しては陰陵泉と豊隆と言われるので、その2穴も用いてくると効果が見られやすいです。水の阻滞に対しては地機も治療効果が見られることがあるので、陰陵泉の代わりに地機を用いるのもいいと思います。

 

 頭痛に関しては、足の井穴にお灸を行うことによっても改善することがあるので、どこから治療するのかを考えながら行うといいと思います。

 

 痰濁は飲食とも関係をしやすいので、油っこいもの、甘いもの、濃い味、飲酒は気を付けるように指導をするといいと思います。

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