東洋医学では中国からきたものなので漢字が多くて最初に学習するときはめまいがしてきそうなときがあります。
漢字でわかりにくいという気持ちも生じますが、逆に漢字なので意味が分からなくても何とかなるのが漢字圏の強みだと思います。例えば、教科書に但寒不熱と但熱不寒という4字熟語がありますが、何のことかわからないと感じますが、実は、非常に簡単なことを言っています。
但寒不熱・但熱不寒をみたときに、「但」の漢字が分からなくても、寒熱があるので、熱いか寒いかを言っているのだと想像することができます。その後の文章には、「不」が入っているので、否定の意味があるというのは理解できると思いますが、何を否定しているのかと言えば、次の言葉を否定しています。
但寒不熱であれば、「寒であり、熱ではない」という意味になるので、「寒さがあり、熱がない」と同じ意味になります。結論としては、「寒いだけ」になるので、「寒い」という状態になります。
「寒い」と言ってきた人で、「熱さ」がなければ但寒不熱になります。寒いときに熱い訳がある訳ないだろうと思いませんか?思っていいのです。
寒いと熱いが一緒に存在することが悪寒・発熱がある状態になるので、こうやって但寒不熱・但熱不寒を分けることが必要になります。悪寒と発熱があるのは、どういうときかと考えると「風邪をひいた」状態になりますよね。
寒いと言ってきた人で、発熱がなければ熱がないので、その時に但寒不熱だと考えていきます。但寒不熱ということは、寒さがメインになるので、寒が強いときは、外が寒いときか冷え症になるので、これで病能を鑑別することが出来ます。
身体が寒のときは、虚実を考えることが必要になり、実寒か虚寒を分けることができます。
実寒は外の寒さが強いので、外寒と呼ぶこともでき、寒が強いので陰陽で言えば、寒は陰になるので、陰盛と表現することができます。虚寒は身体の中が寒いので、内寒と呼ぶことができ、陰陽で言えば温める力の不足ということで陽虚と表現することができます。
但熱不寒は、熱さが強く寒さがないということで、発熱があるが悪寒がないと言うことができます。但寒不熱と同じように考えると、外の影響で熱いのが外熱であり、体質による熱がりは内熱になります。
さらに虚実も考えると、実熱と虚熱に分けて考えることができ、熱は陽になるので、実熱は陽盛で考えることができ、虚熱は陰虚と考えることができます。
同じような表現が複数の呼び方で言われるので慣れてこないとわからないものになります。携帯でも、携帯、スマホ、スマートフォン、モバイルフォン、アンドロイド、アイフォン、通信端末などと呼び名が付きますが、日々触って意識するものなので、正式な意味が分からなくても携帯のことを言っていると分かりますよね。
東洋医学は漢字なので、それが漢字で行われていて、普段の生活で意識はしても目にする言葉ではないので、最初はわかりにくく感じてしまいます。ただ、よく見て見れば漢字で書いてあるので、正確に分からなくても何となく意味が分かることが多いです。
ちなみに但寒不熱と但熱不寒の「但」の意味はネットで「但 意味」で調べれば漢字の意味が出てきますが、「もっぱら、わずかに、たった、ひたすら」になるので、「寒または熱だけ」という意味になります。