脈診の簡単な使い方

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 脈診は東洋医学ではよく使われる方法で、代表的な診察法になりますが、触った感覚を自分で決定をしないといけないので、技術として難しいと感じる人も多いですが、非常に簡単な方法でもあります。

 脈診はそのままで理解しようとすると分からなくなるので、脈診をしていく際に基準を覚えることが必要になります。橈骨動脈を指三本で触れていくのですが、橈骨茎状突起に中指がくるようにして、示指を手関節側、薬指を中指の隣に置き、脈を3本の指で診ていきます。

 

 相手の脈を診るときには、自分の右手で相手の左手を診るのが基本になります。示指がくるところを寸口、中指がくるところを関上、薬指がくるところを尺中と呼び、それぞれの脈がどのような状態かを確認することができます。

 

 この3つに分けることによって、寸口を上焦、関上を中焦、尺中を下焦として考えることが出来るので、寸口が強く、尺中が弱く感じるのであれば下焦の問題として考えることが必要になります。

 

 脈を診る上では押す深さも重要になるのですが、三才思想がベースにもあるので、脈に触れた状態(浮)、脈がなくなるまで深く押したところ(沈)、浮と沈の間(中)という3つに分けて浮中沈として脈を診ていきます。

 

 中の脈は胃の気とも呼ばれ、生命力や身体の状態を診る上では基本の部位になるので、人の脈などを触れてどのぐらいの深さがあるのかを指で覚えていくことが必要になります。

 

 ここまでで難しいですかね?ルールを覚えてしまえば、後は応用になるので、ここで表現した内容を理解しておくことが重要になっていきます。

 

 脈を診る上では、脈の状態はいろいろあるので、細かく診ていくときりがないので、学習のメインとなってくるのは、祖脈になります。祖脈は人によっても違いがあるのですが、私は浮沈(浮いているか沈んでいるか)、虚実(強い弱い)、遲数(早い弱い)、滑濇(滑らか滑らかではない)が分かれば何とかなるのではないかと思っています。

 

 その理由は、この祖脈を診ていくことによって祖脈と八綱弁証を組み合わせることができ、身体の状態を大まかに把握することができるからです。

 

 八綱弁証と祖脈を組み合わせてみると、以下のようになります。

  • 表裏:浮沈
  • 虚実:虚実
  • 寒熱:遲数

 

 例えば、運動をすれば、脈は速くて強くなるはずなので、浮実数という脈の状態になります。運動したら身体は暑くて実の状態になるので、身体の中から壊れているのではなく、一時的な状態なので、浮や実であり、身体は熱を帯びているので、脈が速くなる血熱にもなるので数になります。

 

 祖脈を組み合わせていくことによって八綱弁証とつなげることが出来れば、問診をする際の助けにもなります。例えば、裏虚数であれば、沈んでいて、弱くて、早いという脈なので八綱弁証に置き換えてみると、裏虚熱になり、裏虚熱は陰虚証と考えることが出来るので、のぼせやほてりがないかを質問することができます。

 

 滑濇はどのように使うかと言えば、脈の流れがスムーズであれば、身体の血の流れがよいので、治療はまだまだ表層だと考えることが出来るので、治療効果があがりやすいのではないかと考えることができ、濇では血の流れが悪いということなので、身体の中の状態も悪くなっているので、治療まで時間がかかると言えます。

 

 八綱弁証では陰陽を使いませんでしたが、祖脈で陰陽を滑濇として考えていくと、陰は濇、陽は滑と考えれば、陽の方が病能は軽く、陰の方が病能は重いと捉えることも可能になります。

 

 これを組み合わせていくと、沈虚熱の滑であれば、陰虚だけど治りやすいのではないかと考え、さらに尺中が弱いのであれば下焦と関係する肝腎の問題が生じているのではないかと考えることができます。

 

 問診を使わずに、身体の状態を把握する方法なので、一度、整理をして考えながら行ってみれば、自分の中で質問したいことが出てくるのでおすすめです。

 

 浮沈虚実遲数滑濇はそれぞれでまたいろいろな病能を診ることが可能なので、このまま通りとは本来いかないのですが、身体の状態を診る一つのツールとして考えて、問診によって補完すると考えれば、誰でも十分に活用できるものだと思います。

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