帯脈

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 帯脈は十二正経、奇経八脈の中で唯一、横方向に流注をしている特殊な経絡になり、その働きは各経脈を束ねて調節する作用があります。

 帯脈は言葉の通り、「帯のような脈」ということで腰部から腹部にかけて1周して巡っている経脈になります。帯脈の病気は「腹が張って、腰が冷えたりフワフワする感じ」ということで、想像するのが難しいものだと言えます。

 

帯脈がしっかりと腹部を支えていることにもなるので、イメージとして帯脈に緩みが生じてしまえば、お腹がだらんと前にでてしまい、腹部の不快感が生じてしまいます。逆に短縮してしまえば、帯をきつくしめれば分かるようにお腹が苦しくなってしまいます。ということは短縮しても腹部の障害が出るので、お腹の異常が出てもおかしくないですね。

 

 腰の異常は帯脈がコルセットだと考えてもらうと、コルセットをはずしていくと腰の安定がなくなってしまいます。この腰の安定が亡くなってしまった状態をフワフワする感じということで、腰の違和感として記していると思います。

 

 昔にコルセットはなかったでしょうが、しっかりと帯をしめると体幹が安定するというのは感覚的にあったのだと思います。日本でもさらしがあり、骨盤周りに巻くことによって体幹を安定させていたので体感としては辺りまえだったのでしょうね。

 

 帯脈は身体を1周しているので、縦に流注している経絡を束ねる働きがあるので、帯脈に異常が生じてしまうと、身体の上下バランスが失調してしまうことになります。さらに腹部の動作では捻じれも行っていくので、帯脈は捻じれにも大きく関係をしていきます。

 

 身体のバランス調整を行うのであれば、この帯脈を整えれば上下のバランスを整えることが出来るので、万能の奇経と考えることができます。他の奇経は陰や陽のどちらかに関係しやすいという働きがあるのですが、帯脈だけは別の働きですね。

 

 帯脈の治療では八脈交会穴の足臨泣を使うことが多いのですが、上下バランス失調からくる頭痛やめまい、のぼせと冷えは治療対象として使うことが出来ると思います。非常に便利な経穴になるので、私も足臨泣は度々使うことがあります。

 

 腹部の硬結や腰痛がなかなか取れない場合も、足臨泣を使うと帯を調節することによって、硬結と痛みが改善することがあるので、ぎっくり腰のときにも足臨泣を使うことがあります。

 

 コルセットを使うのであれば足臨泣に円皮鍼を使う方が費用としては安いのではないでしょうか。

 

 帯脈を直接するには、同じ名前の帯脈を使っていくこともあるのですが、帯脈は刺入をしていくと、かなり強いひびきが生じて、一瞬息が止まる感じになります。体型にもよりますが、1㎝程度であればあまり感じないようですが、3㎝ぐらいになってくるとかなり強い響きが生じることがあります。

 

 置鍼をすると呼吸をするたびに響いてつらいということもあるので、私は単刺で行うことが多いですね。

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