湧泉

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 足少陰経の経穴で足の裏にあるのが湧泉になります。腎経の井穴なので、井戸としての役割があります。

 湧泉は、外邪が入ってきやすいところでもあり、寒邪はイメージしやすいのではないかと思います。寒さがあるときには、冷えは足先に感じることが多いと思いますが、外邪は足底から入ってくるという考えかたもあります。

 

 腎経と関係をするので、腎は水であり、井穴は流れが始まるところとしても考えられるので、水分調節に関しても効果的な場所になります。治療で使おうとすると、使いやすいような使いにくいような印象がある場所になってしまうのではないかとも思います。

 

 何故、そんな状態になってしまうかと言えば、足底に鍼をするのは痛いし、お灸をしようとしても失眠と違って温度を感じやすいので、鍼とお灸のどちらを使おうかと考えたときに悩みやすいのではないかと思います。

 

 結論からすれば鍼もお灸も出来るのですが、鍼をする場合は切皮痛が出やすいので鍼管をしっかりと押し当て、一気に切皮をするのがいいと思います。刺入をしていく方向は太衝に向かって刺入するのがいいのですが、響きは太衝同様強く出やすい傾向にあります。

 

 鍼をするのは痛そうだと思うでしょうが、足底炎があるときなどは効果的になります。鍼通電療法もいいのですが、湧泉だけではなく、足底にもう1本鍼を刺入することが必要なので、なかなか使う人がいないのではないかと思います。

 

 お灸を使った場合は、温度も感じやすいのですが、足底なので皮膚が厚いので火傷はしにくい傾向はあります。ただし、熱さを強く感じやすい方などはお灸をした後に痛みが残ることが多いので、歩いていても痛いという状態が出る可能性があります。

 

 私は、治療で鍼・お灸のどちらも行ったことがありますが、仲間で何度も行ったことがあるので、どういう状態になるのかを知っています。治療で用いるときは、鍼はここぞというときにしか使いませんが、お灸は頻繁に使う傾向がある場所の一つです。

 

 足先まで冷えるような方には非常に効果的なので、緩和をしながら、温かいと感じる程度にお灸を行うことが多いです。湧泉だけではなく、失眠も行うことで足の冷えや浮腫みの改善を狙えるので、湧泉と失眠はセットで使うことも多いです。

 

 腰痛持ちや足の疲労が強い方も使いやすい場所になるので、手技の中でも重宝しています。手技で行う場合は、鍼と同じように太衝の方向に向けて圧を加えること効果が出やすいと思います。

 

 足の疲労が強い方は湧泉から足先にかけて硬結があることがあるので、指先に向けて圧を加えたり、鍼を刺入したりする傾向があります。骨に到達する前に硬結があるので、鍼を刺入するときもその硬結の辺りにしておく方が効果は高いような気がします。刺入深度1㎝以内だとおもいます。

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