鍼灸の古典を読む必要があるのか?

Pocket

 鍼灸の勉強をしていると、古典を読んだ方がいいという意見もありますが、現代語な訳もないので、漢文の文章だし、読むのが大変だし、読んだ方がいいのでしょうか?

 私は、翻訳の本を読むことや、原文でも少しなら調べながら読むことはしてみました。原文を全部、自力で読んだことはないですが、手元に置いておくのはいいのかなと思います。

 

 古典文献に書かれていることを本当に理解するためには、その当時に使われている考え方や風習を理解することが大切になるので、そこまでの学習をするのであれば、数年は読むための学習に費やす必要があるのではないかと思います。

 

 読んでいる間に、疑問点は沢山出てくるでしょうし、そういった疑問などを解消しながら読んでいくのが自分の知識と力になるのですが、読むために必要な書籍も多いので準備が大変になると思います。

 

 古典文献を読むには、辞書を含めて工具書が必要になり、本当に集めようとしたら、壁一面ぐらいにはなるのではないかと思います。物理的に置場があるならいいのですが、それだけの書籍を置くと、他に書籍は読めない状態になるのではないかと思います。

 

 古典を読むための準備などは、これらの書籍がわかりやすいのではないかと思います。

[amazonjs asin=”4924954713″ locale=”JP” title=”医古文の基礎”]

[amazonjs asin=”490227003X” locale=”JP” title=”漢文で読む『霊枢』―基礎から応用まで”]

 

 古典は昔から知識を積み重ねてきている物が多いので、最初の書籍に註釈がはいり、その後、まとめた書籍が出版され、まとめた書籍にさらに註釈を加えた物が出版され、だんだんと積み重なっていっているのが現在の文献になります。

 

 もちろん、過去の全てを網羅するとページが足りなくなるので、抜き出しになるのですが、論理的な根拠を昔の文献に置くというのは知識を積み重ねる上では大切になると思いますが、自分で全部を見るのは大変なので、註釈書などを参考にしながら、気になった書籍を見ていくというのがいいのではないかと思います。

 

 本気で古典を読もうとしたら、大学教授のように読むことに対して生涯をかけるぐらいでないと時間が足らないと思います。もちろん、治療や生活をしながら、読んでいる方も多いので、一生の勉強だと思えば少しずつでも読むのはいいのではないかと思います。

 

 人から紹介されそうな書籍は註釈書や現代語訳があることも多いので、多くの人が知っている書籍から入るのが分かりやすいのではないかと思います。あまり名前が知られていない書籍に関しては、註釈書もないし、読もうとしてもどの書籍がいいのかが分からないですしね。

 

 そう考えると、『素問』『霊枢』『難経』は入りやすい書籍になります。『素問』は東洋医学概論のような書籍で五行や身体に対する考え方が書かれているのですが、内容が矛盾することもあるので読むと混乱するのではないかと思います。

 

 『霊枢』は経脈は鍼について書かれているので、治療に対する考え方をつけるという点では読みやすいし、実用書のように感じると思います。『難経』は非常に簡単な文体で書かれているので、入りやすいと思いますし、日本の鍼灸界で昔から使われていたので、註釈書も多く、読むのに苦労しないと思います。

 

 『霊枢』『難経』を読んでみて、どういった古典が読みたいかを考えてみるのもいいのではないかと思います。

Pocket