糖尿病の食事と治療―消渇の話し

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 糖尿病は昔からもあるようで、東洋医学の病名として消渇(しょうかつ、しょうかち)と言われています。

 糖尿病は、現代の生活習慣病と考えられるのですが、はるか昔も王侯貴族はいい生活をしていたようで、現代のような病気もあったようです。糖尿病はⅠ型とⅡ型に分かれるのですが、Ⅰ型は先天的なもので、Ⅱ型が食事や生活習慣によって発生しやすいものと考えられています。

 

 家族に糖尿病の人がいる場合は、糖尿病になりやすい体質を受け継いでいると言えるので、生活には注意をしておくことが必要です。家族にいない場合でも、生活習慣によっては糖尿病が発生をしてしまうので、注意が必要なものですね。

 

 糖尿病は血糖値が高いだけではないかという思う人がいますが、ひどくなってしまうと失明、手足切断、人工透析になってしまうもので、生活が難しくなるだけではなく、身体に障害が発生をしてしまいます。

 

 血糖値を低くすることが出来るのは膵臓から出てくるインスリンだけなので、血糖値が高い状態だと体内のインスリンでは足らなくなるので、外部から入れなければいけません。膵臓は手術も治療も難しいところなので、膵臓の働きと関係をするインスリンを入れるというのはかなりよくない状態になります。

 

 血糖値が高い状態が続くと、血液がドロドロの状態になってしまっているので血管が硬くなってしまい、動脈硬化や傷が出来てしまいます。身体の血液は腎臓によって濾過されていますが、腎臓の血管が硬くなってしまい、傷ついてしまうと身体の中から排出されないようにする働きが弱くなり、タンパク質が体外に出てしまいます。

 

 タンパク質は、身体を作るものなので、身体の成分がどんどんと抜けていくということになりますね。濾過する力がなくなってしまうと、身体に毒素が貯まってしまうので、人工透析という機会によって血液を濾過するしか方法がなくなります。

 

 人工透析になると、週に何度か数時間を使わないと血液を奇麗にできないので、病院に通わないと死んでしまうことになります。電気がない状態も危険なので、生活をする環境も考えないといけないので、仕事をするのも難しくなります。

 

 現代医学の解説が多くなってしまいましたが、これだけ危険な病気なので、食生活はしっかりと管理・調節することが必要です。食べたいという欲求や習慣を治すのは非常に難しいので治療も大変になり、口に入るものがかなり制限をされます。

 

 消渇という名前で昔から存在をしているので、糖尿病にならないようにするというのは非常に難しいのが続いていることが分かりますね。生活習慣を変えるのは難しいですし、食べたいものを食べないというのもストレスが貯まることが多いので、大変です。

 

 消渇は糖尿病と言われるのは、症状が同じと考えられているからで、口渇・多飲・消痩・多尿が起こると言われています。糖尿病としては、口渇・多飲・多尿は必須の症状として覚える必要がありますが、消渇も同じです。

 

 消渇の病は、喉が渇き、水分を沢山飲むということから、身体の中の水が失われていく病と考えられます。そのため「水が消えて渇くから消渇」にされたのだと思います。昔では検査をすることが出来ないし、口渇・多飲・多尿という水が消えていく不思議な病だと思ったのだと思います。しかも症状が進むと痩せてきて、目が見えなくなったり、手足が使えなくなったりといろいろな症状が出てきて対応に苦労したのだと思います。

 

 消渇の病は、進行していくと考えられるので、最初は口渇と多飲から始まり、だんだんと痩せてきて、尿の異常が発生して消渇が完成するとも言えます。この症状の進んでいく過程から消渇は上消・中消・下消という呼ばれ方があり、口渇と多飲が上消、消痩が中消、多尿が下消と考え、上や下の症状が強い人などと分類をしたのだと思います。

 

 この上中下は、部位分けとしての三焦と同様に考えられるもので、上焦は心肺、中焦は脾胃、下焦は腎と関係をするので、上消は肺消、中消は脾消・胃消、下消は腎消と考えることが出来るので、身体の状態や症状によって治療を変える必要があります。

 

 水の不足からくる症状として考えられるので、消渇は熱の病として考えることが出来ます。熱ということは虚実を考えることが必要なので、身体の水が不足をしていくことによって生じる熱ということで、陰虚と関係をすると考えられます。

 

 中医学の考えで言えば、肺陰虚、脾陰虚、胃陰虚、腎陰虚と捉えることも出来ます。治療としては、身体の陰分を補うとしても、精や血ではなく、水が不足している状態なので水分の虚に対しては、水を補給しないといけないのですが、出て行ってしまう消渇はかなり難しい疾患になります。

 

 水の生成は脾が行い、水の循環は肺が関わり、水の排泄は腎が行うので、この3臓の機能を高めていくことが必要になります。水の通路は三焦、水が溜められているのが膀胱なので、この2腑も治療で加えていくことが必要です。

 

 身体の水の循環が悪いと考えていくのであれば肺と三焦、排泄が多い場合は腎と膀胱、水の生成は脾胃が大切になるので、臓腑の複合した病証が消渇と言えます。

 

 鍼灸治療ではたまにものすごくよく効く患者さんがいるので、そういった方はちょっと鍼をしただけでも変わるのですが、治療をしてきた経験上では、食事管理も含めた生活管理が出来ていないと治療効果が出にくいと思います。

 

 糖尿病で症状が酷くても、食事管理をしていれば安定をしてくるので、そういった方では継続した治療で数値がよくなることがあります。最初の頃は週に2回程度がよく、半年ぐらいしたら週に1回程度の治療を行うと、半年から1年で身体は落ち着いていくのですが、完治という病ではないので、日々注意をしてもらいながら、治療を継続してもらうことが大切です。

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