精虚

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 精は精気と言われることもあり、人体の生命活動を維持するために重要な物で、先天の精と後天の精があります。

 精に関しては「生殖能力と東洋医学―精と気」という記事で詳細について書きましたが、精の不足である精虚について書いていきたいと思います。

 

 国家試験の学習のときは、房事過多は精を損傷して、腎の働きに問題を起こすと覚えた記憶があるのですが、精は生命活動と大きく関係をするので、房事以外でも損傷をしていきます。

 

 精は、生命活動の根本にも関係をするものなので、生きている状態を継続していれば、精を消費し続けていることになるので、自然の状態でも精を使用していきます。身体が弱っているときには、「精のつく物を食べる」という表現があるように、疲労をすると精が失われていきます。

 

 精のつく食べ物としてイメージされるのは、カロリーが高い物の場合があると思いますが、これは痰湿の傾向が強いもので、精を作るというよりは身体に停滞を起こしてしまうものになります。自然の中で考えると、根と関係をする物の方が精は付く傾向があります。

 

 生命を支えていく根が立派であれば、上が十分に育つという考えが根底にあるので、根菜類が精をつける食べ物になります。

 

 生きている間は精を使用し続けると言えるので、動いている・起きている時間が長ければ、活動状態が長いので、生命力を多く使用してしまうために、精の不足が生じやすくなります。

 

 国家試験に向けての学習では房事で精と繋げて覚えていましたが、精について考えていくと、房事だけではなく、活動状態を続けることも精の不足をきたしてしまうので、生活の中でも休息をしっかりと取るのと、過活動にならないように、心と身体を落ち着かせて生活するのが精に取っては大切だというのが分かりました。

 

 精は身体の中で貯えられていなければいけないので、房事によって精を消耗してしまえば、精を体内から使用してしまうので、精不足が身体に生じてしまうので、房事で精の問題が発生するのは当然と言えますね。

 

 精の養生ということを考えると、「漏らさない」ことが重要だというのがよく言われるのは、身体にある精は有限のもので、自分で生成をしなければいけないからですね。生活状態によっては、生命力を多く使ってしまって精の不足を生じてしまうので、精の充実を図っておかないと、生殖能力にも大きな影響を及ぼしてしまいます。

 

 精は生命活動の基本と言われるので、陰陽への変化をしていくものであり、気・への変化をするので、虚証の病であれば、腎・脾という精を補うという治療は単純ですが、効果が高いと考えられますね。

 

 精が変化する気は原気であり、生命活動を行っていく気になるので、精という表現を気に置き換えたということになります。血に変化するというのも精は、身体や臓腑を栄養する働きがある基本物質になるので、このイメージと血を合わせたことで、精は血に変化をすると考えたのでしょうね。

 

 頑張った生活をしてしまうと、生命力を多く使用してしまうことになるので、精の不足が生じやすくなるので、精虚を起こさないためには、日々の生活を穏やかにしていくことが重要になります。精が充実していれば原気になることが出来ますし、精が充実していてを養えば血になることが出来るので、生活習慣の見直しは精虚の治療においては重要なことになります。

 

 精虚の症状は、生きていくということに関係をするので、成長・発育の不良が含まれます。精は生殖器との関係が重要になるので、生殖機能の減退も発生しやすいです。精は腎に収まっていくことで、腎と関係する骨・髄を栄養することができます。

 

 骨は身体を支える柱であり、腎精が充実していないと、柱を支えることが出来ないので、髄が集まって出来る髄海(脳)の異常を発生させてしまいます。脳の異常と言っても、現代医学的な脳出血のことを指すのではなく、頭部の症状が発生してしまうということです。

 

 具体的には、めまい、耳鳴、難聴、脱毛、健忘があり、これらの症状が生じてしまったときには、精虚ではないかと考えることになります。

 

 精は気血に変化をしていくものなので、精が不足をしてしまうと、倦怠感・無力感という気虚で生じる症状が発生してしまうことがあります。

 

 難しく考えずに、精虚は腎虚と同じような症状だと思えば、勉強していくのは簡単になるので、精虚=腎虚で統一してしまうといいですね。新しい教科書では精虚という概念があり、最初は何のことかと思ったのですが、腎精不足のことを言っているだけで、結局、腎の症状なのですよね。

 

 精は、気・血にも変わるという性質があるのですが、精だけを考えたときには、精は陰の属すると考えることができます。気血に変化するから陰陽両方だろうという考えは間違いではないですが、精は、身体を滋養して、出さずに身体の中に収めておくものだという考え方があるので、この考えからすると内外では内と関係をするので、陰と表現されていきます。

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