内庭

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 足陽明胃経の経穴に内庭がありますが、内庭よりも裏内庭の方が有名なのではないでしょうか。

 裏内庭は足の裏で、第2中足指節関節のやや後方で、食中毒の特効穴と言われています。食中毒と言っても生命に危険が生じるようなものは緊急の処置をする必用があるのですが、そういった時でも裏内庭にお灸をしておくと効果が見られるときがあると思います。

 

 私自身はそこまで危機的状況で裏内庭を使ったことはありませんが、貝類に当った患者さんが居て、下痢と嘔吐は落ち着いたけど、まだ胃部不快感が強くて食事が出来ないという方に使ったことがありますが、最初の何壮かお灸をしても熱さを感じないのですが、何壮か行って熱さを感じるようになると、途端にお腹の不快感が消失したと言われたことは何度かあります。

 

 海外に行けば、水でお腹を下してしまうことがあるので、海外旅行に行く際には、艾は必需品だと思います。

 

 通常の内庭ですが、深部のことを内といい、生活するところを庭と言うので、身体の機能は内から生まれ、生活することになるので、身体の中に対する治療効果が高いということが分かります。

 

 身体の中から生じる病に対しても効果的なので、立ち上がれずに横になりたがある場合や声が聞こえないときにも治療効果が発揮されるところになります。表裏経である脾経にも繋がりやすいところなので、治療効果は胃だけではなく、にも及びます。

 

 胃の病態のときにはよく使うことが出来るものなので、胃部不快感があるときには、内庭は治療効果が発揮しやすいところになります。食中毒のように分かりやすい原因がある場合は、裏内庭でいいのですが、思い当たる原因がないので、不快感が続くようであれば、内庭が治療で使いやすいところになります。

 

 内庭は滎穴でもあるので、胃部不快感の中でも熱が関係するものにより効果を発揮します。例えば、胃熱があるときには、昼過ぎに発熱をするという日哺潮熱(にっぽちょうねつ)があるのですが、胃部不快感と日哺潮熱がある場合は、内庭が治療効果を発揮しやすくなります。

 

 胃熱が生じやすい原因は、湿熱が関係をすることがあり、湿熱は飲食とも関係をしやすいので、やはり食事が原因の時には、内庭は大きな治療効果を発揮すると言えますね。

 

 油っこい物、甘い物、味が濃い物は湿性が強い食材として考えられるので、食べ過ぎてしまったときやお腹がもたれているときにも内庭は効果的ですね。

 

 鍼を刺入しようとすると、可能している部位なので、押手を構えるのが大変になりますが、押手は骨と骨の間に母指と示指を入れるようにすれば皮膚面に密着をして押手を構えられるので、痛みがなく切皮することが出来ます。

 

 刺入は関節部に近いところになるので、関節部は靭帯によって補強をされていて、腱も走行しているところなので、深く刺入するのには刺入力が必要なところになります。無理をして刺入をしようとすると痛みと響きが出やすいところなので、刺入には最新の注意が必要だと言えます。

 響きに関してのブログはこちらを参考にしてください。

鍼のひびきとは

鍼の響きが出る深さ

 

 裏内庭であれば透熱灸を使うのが一般的なのですが、内庭は骨と骨の間にある経穴になるので、お灸をしようとすると、艾炷を置くのも苦労をするし、線香で点火をするのも難しいところなので、お灸ではなく、鍼を使うことになると思います。

 

 刺入して5㎜程度で堅い構造物に触れることがありますが、関節部を支える靭帯か腱に鍼が当っているのだと思うので、刺入深度は浅くても効果があるところになります。

 

 刺入深度を使っていくことで響きを出すのが難しいところですが、鍼を刺して置鍼しておくと、だんだんと響きを感じることもあるので、時間を味方につけて治療に使うのがいいですよ。

 

 関節部の方ではなく、足関節方向に向けて鍼を刺入すると骨間部に鍼が入っていきやすいのですが、その場合は刺入深度を深く取ることが出来ます。1㎝以上の刺入をすることができますが、その時には、足底に響きが発生することが多いので、足底の痛みなどに治療効果を発揮することが多いです。

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