鍼治療では、髪の毛ぐらいの細さの鍼を使っていることが多いので、鍼を曲げようとすれば簡単に曲がってしまいます。
それだけ曲がりやすくて細い物を使っているので、技術が未熟だと鍼を入れようとするだけでも簡単に曲がってしまいます。学校に入学して初めて鍼を触ったときに、こんなに柔らかくて細い物を扱えるようになるのかなという疑問がありましたが、経験や慣れるというのは凄いもので、鍼が曲がらないように刺入していけるようになるのですよね。
資格を取得してすぐの方や学生の方にお会いすると、鍼を刺入するのも一苦労という印象もあり、刺入してくのに鍼が曲がってしまうことがありますが、そんな方でもしばらくすると鍼を曲げずに刺入出来るようになります。
鍼治療中に鍼が曲がってしまうのに、一番の問題は鍼灸師の技術が未熟さによっても生じやすいので、鍼を扱う能力が高くなっていくことが必要です。料理人が包丁・フライパンを扱えないとだめなのと同じことですし、美容師がハサミを扱えなければ仕事にならないのと同じで鍼灸師は鍼を上手に扱う能力が必要になります。
鍼のセンスや上手・下手については過去のブログでも書いていますので、参考にしてください。
鍼が曲がってしまう原因には、鍼治療中に患者さんが動くと簡単に鍼が曲がってしまうので、治療中は患者さんの体動に注意をする必要があります。鍼は刺入した直後は響きを感じていることもあるのですが、刺入してしばらくすると響きも消えて何も感じなくなってしまうので、患者さんからすれば鍼があるという認識が無くなってしまうことが多いです。入っているという認識がなくなってしまえば、同じ姿勢を続けているのは辛くなるので、身体を動かしてしまうことがありますが、その時に鍼が曲がってしまうことがあります。
鍼を刺入したときに感じる響きに関しては過去のブログで書いていますので、参考にしてください。響きが出るときには、鍼にくいつくことがありますし、くいついてくるときに曲がってしまうことがあります。
「鍼のひびきとは」
「鍼にくいつく」
鍼が曲がって抜けなくなってしまうというブログについても書きましたが、身体は筋肉が層構造になっているので、刺入を深くすると何層も筋を貫いてしまうので、動くと鍼がいろいろな方向に曲がってしまうことが多いです。鍼が体内で曲がってしまうと鍼を抜こうとしても抜けなくなってしまうので、その場合は、対処法を知っておくことが必要なので、こちらのブログも参考にしてください。
私も自分に鍼をしているときに、鍼が入っているのを忘れて寝てしまい、起きたときや動いたときに鍼が曲がってしまった経験は多くありますが、曲がった鍼を抜くのは大変なので、治療中は身体を動かさないようにしておくことが大切になります。
患者さんとして鍼灸院に行った方は注意をされるとは思いますが、時間が経つと鍼が入っているのか入っていないのかが分からなくなってしまうので、身体を動かすときには、鍼灸師に確認してから動くようにした方がいいですよ。
姿勢を変えて下さいと言われたときには鍼が抜けていることもあるのですが、人間はミスをする生き物なので、姿勢を変えてくださいと言われたときには、「鍼は入っていませんか?」と尋ねるようにすると、抜き忘れのミスも起きにくいですね。
抜き忘れに関しては鍼灸師の方が注意をしておかないといけないのはもちろんなのですが、誰でミスをしてしまうことがあるので、相互に確認をするようだとありがたいですね。
鍼を最初に刺入したときには、痛み・響きなど感じていたものがあっという間になくなってしまうときもあれば、なくならないときもありますが、こればかりは鍼を刺入する前には分からないことでもあります。
鍼治療に敏感な人という話があり、鍼を身体に触れたり刺入をしたりすると響きが経絡に沿って出るような人もいますが、比較的敏感な人は響きが長く残ることが多いです。響きは一定の強さで生じているときもあれば、波のように強くなったり弱くなったりすることがあるので、治療中に鍼に触れていないのに響きが強く感じることがあれば、それはこの波のような状態にあると思うといいですね。
響きは鍼をしている場所に生じることもあれば、経絡上に感じることもありますし、全く関係ない場所に響きが生じることがあります。例えば、右手に鍼をしたら、左足首に響きが出るということもあるので、その状態だと右手に鍼があると思わずに、左足首に鍼があるのではないかと勘違いをしてしまいます。
響きは神経だけでは説明できるものではないので、説明するのは難しいのですが、鍼をされた方の多くが体験する感覚の一つです。