鍼灸の治療では保険鍼灸での訪問鍼灸や実費の訪問鍼灸を行うことがあるので、訪問鍼灸はいつか経験することがあるのですが注意点が何点かあります。
訪問で行う場合は、動けない人や治療院に来られない人、個人の知り合いや紹介などによって発生することがありますが、注意する点は同じなので、どういったところに注意をするかを実際の訪問という場面をあげながら説明してみます。
まず、訪問で行くということが決定した時には、日時をしっかりと決めておかないと、訪ねて行ったときに留守だったりすることがあるので、何時という時間はしっかりと決めておくことが大切です。時間を決めたという約束があるので、決めた以上はこちらも守らないといけないので、お宅に行くまでの経路はしっかりと確認をしておくことが大切です。
遅れるのが当たり前になってしまうと、患者さんの方でも時間にルーズになっていってしまう傾向があるので、約束をした以上はこちらがしっかりと守っていくことが重要です。
お宅に伺うという点はこれでいいのですが、後は治療の場所・周りに邪魔をされないかを確認しておくといいです。治療院ではベッドを扱いやすいように設置をしていますが、家であれば、寝ている周囲を歩くという概念がないので、ベッドで行うのか、床なのか、ソファーなのかを確認しておかないと、治療をしようと思った時に、身動きが取れないことがあります。
例えば、寝室が狭く、ベッドがあっても頭部側と片側が壁についている状態であれば、頭部の方に回って鍼をすることができないので、刺入をしようと思ったときに、いつもどおりに鍼を扱えないことがありますし、頭部にお灸をしようと思っていても、頭と足をいつもと反対にしてベッドに寝てもらう必要が出てきます。高齢者だと立ち上がりなどを補助することがありますが、周囲に介助用の道具などが多く並んでいると、治療者の身動きが取れない場合があるので、状況確認は行ってから必ず確認をしておくことをお勧めします。
他にも犬や猫、子どもがいる場合は、鍼を刺入したのを触れたりしてしまうことがあるので確認をしておくといいですね。犬や猫は隔離をしておけばいいのですが、隔離をすると騒ぐという場合もあるし、何かあったときに対処が出来なくなるので、どういう状況になるのかを考えておくのがいいですね。
訪問で訪ねたときにチャイムを鳴らしてドアを開けてもらうことがありますが、その際に来ているコートについては相手の合わせることが大切です。どういうことかと言うと、昔から日本では訪問するときには、コートなどの上着は脱いでおくと言われるのですが、他の国であれば脱ぐことは失礼とも言われます。最近は、そういったことを気にする人が少ないかもしれませんが、仕事を長くしていた人などもいるので、そういった細かいことも注意をしておくことが大切です。
ドアを開けて入るときですが挨拶をするのはもちろんですが、靴も意識をしておくことが大切です。自宅だと靴を脱いで揃えるという習慣がない人も多いと思いますが、人のお宅に伺ったときには、靴を揃えておくのがマナーとされているので、脱ぐときに揃えて脱ぐか脱いだ後に揃えるのをした方がいいですね。玄関に靴が多いと、上がるまでに距離がある場合がありますが、その時も玄関のところで素足のまま歩かないようにすることが必要ですし、人の靴を踏むのもよくないので、場合によっては大きくまたぐ必要が出てきます。
家の中に入ると、そこに住んでいる人の生活状態や趣味などが分かりますが、見慣れないものがあるからと言って室内を凝視したり、安易に尋ねたりしない方がいいです。例えば、絵が飾ってあったときに高い・安いという表現は相手に取って不快な場合もあるので、余程、コミュニケーションに自信がある場合を除いて、室内に関しては何も話さない方がいいですね。
褒めるのは悪い気を持たれることは少ないですが、あまりにもお金や欲望が強いという印象をつけてしまうと、今後は断られることが出てきます。室内設備はベッドや布団を含め、傷つけてしまうと思わぬ損害を出してしまうことがあるので注意が必要です。
普通の花瓶だと思ったら、非常に高価な物だったということがありますしね。高価ではなくても、その人の思いれが深いものや頂いたものがあることもあるので、物の背景を知らない以上は“触れない”というのを徹底する必要があります。動物も同じで、触れようとすると噛みつく場合があるので、入ってから出るまでは何も触らないというぐらいの気持ちが必要です。
治療をしたら、家から退出しますが、その際に自宅は治療院ではないので、鍼やゴミは出来るだけ持ち帰ることが大切です。特に鍼が落ちていたというのは治療院ではたまにあることですが、自宅は生活する場所で、資格者が管理をしている訳ではないので、施術後の道具の確認は何度も行うことが必要です。
訪問に伺ったところで最後に注意をするのがお茶やお菓子を出してくれる場合ですね。せっかく出して頂いたので手をつけるのが通常のマナーとも言えるのですが、水分をあまり多く取ってしまうと訪問が続いているときにトイレが近くなってしまって、患者さんのお宅で毎回トイレを使うことになります。トイレの使用ですが、これは生理現象なので仕方がないことなのですが、訪問を多く行っている人によっては、患者さんのお宅ではトイレに入らないという人もいます。何が正解かは分からないですが、工事などで自宅に来る人はトイレを使用することがないので、仕事として行く以上はトイレを借りない方がいいだろうと思います。
高齢者のお宅の訪問だと、話し相手がいない人は話し相手が来たので喜んでもらえるし、お茶やお菓子、場合によってはお土産を頂くことがあるのですが、訪問が続く場合は荷物が増えてしまうので注意が必要ですし、認知症が出ている場合は、賞味期限が切れて時間が経った物の場合もあるので、注意しないといけないですね。
私は訪問でお茶などを出されることがありますが、基本的にはお断りすることが多いですし、トイレも使用しないようにしています。
女性が訪問するのは危険性があると感じる人もいると思いますし、抱きつかれたことがあるという経験を聞いたこともありますが、多くの場合、危険性は少ないです。もちろん、初めての場合は注意をする必要があるのですが、治療院に来ていた人が訪問になる場合も注意が必要なので、何故訪問が必要なのかをしっかりと確認をしておくことが必要です。
訪問鍼灸に関しては他にも書いています。