お灸の壮数は奇数―お灸の回数

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 お灸の壮数は昔から言われているのは、1、3、5、7、9の奇数で行うという話しがあるので、壮数で悩んだ場合は奇数にするのが基本になります。

 壮数の奇数・偶数は何で決めているかと言えば、陰陽によって決定をしています。陰陽では様々な物事を陰陽に分類をしているのですが、数に対する陰陽は、奇数は陽で偶数は陰になります。陰陽は東洋医学では重要な概念になるのですが、詳細はこちらのブログを参照して下さい。

東洋医学の陰陽って何?

 

 お灸は鍼と違い艾(もぐさ)に火をつけるという熱を使う治療法になるので、熱刺激を身体に行う治療法なので、陽を助ける働きがある治療法だと考えることができます。熱という陽の治療だから、陽の数字である奇数を使って壮数の決定を行っていきます。

 

 古典文献の中の記載の中で、関元などでは極端に多い壮数が書かれていることがありますが、基本的には3、5壮という数が多いので、それほど多くの壮数をやることは少なかったのだろうということが分かります。お灸の壮数に関しては、この後の文章は鍼灸師向けですが、後半は一般向けですので、鍼灸師でない方は、後半を参考にしてみて下さい。

 

 鍼灸師は学校に入学してからお灸に触りますが、実際にお灸をしてみると、熱いし・火傷はするので、かなりつらい治療にもなるので壮数は少ないのだと思います。私も初めてお灸を自分の身体に行ったときは、あまりにも熱いので驚きましたね。もちろん、その当時はお灸の技術も低いので、艾炷(がいしゅ)は堅く大きかったと思うので、熱いのは当たり前なのですけどね。

 

 今は、お灸の艾炷の調節が出来るし、緩和処置もすることが出来るので、初めてお灸をしたときのような衝撃はないですね。熱さを強く感じるときには、その場所が熱いというだけではなく、横や縦方向にツーンとしたような何とも言えない感じが広がるので、治療では火傷をさせていくのが昔から行われていたのだろうと思います。

 

 お灸に関するブログは過去にも書いていますので、気になるものがあれば見てみて下さい。

「お灸で火傷をさせない方法」

「お灸は火傷をさせた方がいいのか」

「お灸が上手になるコツ―お灸はリズム」

「お灸の熱さを感じない」

 

 昔は、治療院に行くまでも時間がかかったでしょうし、何度も治療を受けることも出来たかどうかが分かりませんし、そういった点で火傷をさせることによって、治そうと免疫機能が高まる状態を続けるような火傷をさせるお灸が一般的だったのではないかと思います。

 

 壮数の決定には陰陽という概念が含まれていたのと、火傷をさせるというのが含まれていたのだと思いますが、体感としても何壮か行った方がいいというのがあったのではないかと思います。

 

 痛みや不快感がある場合に、冷やしたり、温めたりするのは誰にでも行える方法であり、原始的医療と考えることができます。痛みや不快感があったら、何となく触るというのは現在でも行われていることなので、不快感が生じているときには、皮膚に刺激をすることで改善できるのが分かっていたのでしょうね。

 

 ではどのぐらい行うと改善をするのかも歴史の中で体感をしてきたでしょうが、1壮だと変わらないこともあれば、変わるけど元に戻ってしまったり、効果が持続しなかったりした可能性がありますね。

 

 治療をするときには、何の鍼を使うのか、鍼を刺す深さはどうするのか、お灸はするのか、お灸をするなら何壮するのかは、自分で考えなければいけないことなので、壮数を決定するというのは治療全体にも関わることなので重要なことになる可能性があります。

 

 私自身はお灸の壮数は、体表だと5壮程度を行うことが多いですが、頭部・腹部・足底は多壮灸を行うことが多いので、頭部・腹部・足底では壮数を決めることはないです。ではどこでお灸を終わりにするのかを決めるのかということになりますが、頭部であれば熱感が伝わる・効果が出るというのを終わりの合図にしています。腹部であれば、お腹全体が温まるようになったら終わりにして、足底の場合は熱感をしっかりと感じるようになったら終了と決めています。

 

 それ以外の場所では5壮程度ですが、指標としたのが腹診や圧痛、硬結だった場合は効果があるまで行うことが多いです。生きた人間を扱っている以上は完全なマニュアルとして壮数を決定するのは無理なことなので、自分の治療スタイルの中で壮数を決定していくことが必要になると思います。

 

 一般の人が市販されているようなお灸を使って行う場合は、身体の状態を確認して行うのが難しいので、鍼灸師に指導をされた壮数を行うのがいいですよ。もし、自分一人でお灸を行ってみようというのでしたら、まずは1壮やってみて、次の日にも問題がなければ壮数を増やすのがいいですね。

 

 せんねん灸のようなお灸だと熱さはそれほどでもないですが、刺激時間が通常のお灸よりも長いので、どのぐらいの刺激がいいのかはやってみながら確認をするしかないので、最初は1壮、大丈夫なら2壮というように数を増やしていくのがいいですね。

 

 足とお腹に行うという複数の場合は、足に1壮・お腹に1壮を最初に行ってみて、次の日の状態を確認して変えていくのがいいと思います。

 

 お灸をする時期は、季節の変わり目とも言える土用のときが効果的だと考えられます。土用の時期は、気候が変化をしていく時期なので、身体に負担がかかってしまうときにもなるので、そういったときにお灸をすることによって体調を整えて養生をしておくのが重要なことになります。

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