カルテをエクセル管理する

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 カルテは自分で作成することができますが、エクセルでカルテを作成すると便利な点があります。カルテを作るということに関してはこちらのブログを参考にしてください。

「カルテは自分で作る」

 カルテをエクセルで作って印刷するのではなく、そのまま入力をし続ける形で使うこともできます。その場合は、カルテという個人情報に関わるものになるので、個人情報保護を重視しないといけなくなるので、安全な方法は、カルテを作成しているパソコンとデータはネットに接続させない方がいいですね。さらには、データが紛失してしまえば問題になるので、バックアップも取っておかないといけないですし、パソコンに残していると壊れたらデータも紛失してしまうので、外付けのハードディスクドライブなどで2つぐらいはバックアップを作っておくことが必要になります。

 

 エクセルは表計算ソフトと言われるように、表を作るという点と数値を扱うのに優れたソフトになるので、数値データを管理するのはエクセルが非常に便利です。身体で数値化できるものは、関節可動域があるので、関節の動きに注目する場合は、エクセルでカルテを作成してデータ管理をするのがいいですね。

 

 関節可動域と同じようなものだとストレッチも関節可動域を広げるものになるので、ストレッチで角度を計測してデータ化すれば関節可動域のデータ測定になります。多くの人のデータが集まると次の利点が出てきます。

 

 例えば、肩関節に痛みがある人達がいたとして、治療を加えて関節可動域が変化をしたというデータと変わらなかったデータが集まってきます。ここで違いが出てくるので、この違いに着目することができれば病態を考えたり、治療方針を変えたりすることができます。

 

 肩関節に痛みがある人達で治療効果がある人達をAとして、治療効果がない人達をBとすると、治療効果がある人達と治療効果がない人達で何が違かったのかを考えるきっかけになります。そうなると、他にどんな症状があったか、どういう痛みだったのかを考えることになり、AとBのグループでは原因が違かったのではないかという仮説を立てることができます。

 

 この仮説を基として、Bのグループには違う治療や予後指導をすることによって、Aと同じような効果が見られれば、同じ肩の痛みということでも原因が違うので治療は変えるのが当然と考えていくことができますね。

 

 数人であれば、自分の感覚や見た目で考えていってもいいのですが、数値化することによって、患者さんにも見やすいものになるので、治療での変化を知ってもらえることができるし、治療効果はどこまであるのかを数値で示してあげることができます。

 

 個人情報になるので、誰の数値というのは伝えることができないですが、肩の痛みで可動域が低下している人はどれぐらいの変化が生じることが多く、どこまで動くようになるかを目で見えるようにするというのは非常に重要なことにもなります。

 

 エクセルで管理する良さは数値を扱えて比較をしやすいという利点があるのは説明した通りになるのですが、デメリットとしては、エクセルに入力をしないといけない点があります。パソコンが得意な人は問題がないでしょうが、パソコンを扱うのは好きではないという人に取ってはエクセルを扱うのも大変なことでしょうし、さらにはデータ整理・比較は遠い世界の話になってしまうので、パソコンを使えるか使えないかによって大きく変わりますね。

 

 便利だし、可視化することができるのがいいということで使ってみても、データ入力をしないといけないので、その分、治療以外にパソコンの前で過ごす時間が必要になってしまいますね。

 

 こういったことは理学療法士の方が得意なので、分業として理学療法士に任せてしまうというのが医療連携としてはいいのですが、連携して治療をするのが絶対ではないし、情報を他で共有することに問題になることがあるので、実際は任せて共有するのは非常に難しいと思います。

 

 患者さんが自分の情報を持ち出して他で見せるというのはいいのですが、情報管理者が同意を得ずに外部に流してしまえば問題にもなるのは当然ですが、情報を外部に提供するというのは、その医療施設の中での情報管理ルールも関わってくるので、連携には多くの壁が存在していますね。

 

 全てのデータを測定して管理するのはもちろん大変になるので、自分の中のポイントとなるところだけを測定して管理するのは、自分の治療方針の確立にもつながるので、お勧めできるものですね。

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