鍼灸院(治療院)の経費

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 治療の腕や経営の知識をつけて開業をしたとしても、次にネックになるのが、経費の計上の仕方と仕分けになります。小まめにやっていないと確定申告の時期に苦労をすることになるので、12月までにある程度まとめておくことが大切ですが、鍼灸院の経費はどうしたらいいのでしょうか。

 鍼灸院を開業した場合、株式会社などの会社組織にしていないことが多いと思うのですが、その場合は、個人事業主としての起業ということになります。個人事業主としてやっていくためには、青色申告か白色申告かを選択するのですが、青色申告の方は届け出が必要なので、開業する地域の税務署に行く必要があります。

 

 青色申告と白色申告の違いは、用紙の色が違うということになるのですが、内容的にも大きく違いがあります。青色申告は控除があり、白色申告は控除がありません。控除と言われても何を言っているのか分からないですよね。私も最初は意味不明でした。

 

 税金は稼いだお金から決められていくので収入が少なければ税金が少なくなり、収入が多ければ税金が多くなります。

 

 完璧な例えではないですが、簡略した例えとして説明すると、100万の売上があったら、100万に税金が全てかかってしまうのが白色申告。100万の売上があったら、35万に対して税金がかかるのが青色申告になります。

 

 そんなにお得な物なら使おうと考えるでしょうが、売上を引いてもらうためには最低限の努力が必要で、それが帳簿をつけるという行為になります。帳簿といっても、今は申告に関するソフトは電気店でも販売されているので、ソフトを使って入力をして、領収書をまとめておくのが必要になります。現在は、白色申告でも簡易帳簿が必要になっているので、開業をするのであれば、青色申告にするのがいいと思います。ちなみに青色申告は2種類あって、控除額に違いがありますが、どちらにしろ帳簿作成はするので、65万円控除を選ぶのが一般的です。

 

 経費として計算するものは、鍼灸院で使う物と個人として使う物を分けなければいけないので、全て経費に入れるのは間違いになるので注意が必要になります。どういった物が経費に入るのかと言えば、鍼灸院として借りている家賃・光熱費はもちろん経費になりますが、それ以外にも電話・インターネット回線は通信費という項目に入ります。よく使われる物を列記すると以下の物があります。

  • 租税公課:事業用の自動車税、固定資産税、事業税、登録免許税など
  • 荷造運賃:商品の梱包道具、発送料
  • 地代家賃
  • 水道光熱費
  • 広告宣伝費:名刺、広告料金など
  • 通信費:電話、インターネット、切手など
  • 旅費交通費:通勤費、出張交通費や宿泊代
  • 接待交際費:患者さんや業者との飲食費、中元・歳暮、慶弔見舞金など
  • 減価償却費:建物、車、器械などの高額なもの
  • 消耗品費:文具、備品、道具、書籍、白衣など
  • 雑費:仕分けが不明なもの(税務署で個別に確認するのが確実です)

 

 経費として計上する項目はこれ以外にも「~費」という名前で沢山あるので、自分に必要な物が他にあるようだったら、経費の仕分けをするのに足していくことになります。

 

 経費を仕分けしようとすると、どこまでが経費に当るのかが微妙な物が出てくることがあるのですが、そういった場合に関しては、経験と知識が必要になっていきます。例えば、講習会に参加した場合は、講習会費用は“研修費”の項目に仕分けをして、使った交通費は“旅費交通費”に仕分けをしていきます。

 

 個人事業主の申告に関しては、地域の青色申告会などを利用するのも一つの方法ですが、時間的な制約から行けない人もいると思うので、『フリーランスを代表して申告と節税について教わってきました』という書籍を読んでおくと、経費の仕分けと申告までがイメージしやすいと思います。難しい書き方ではなく、「こういう場合はどうですか?」という問答形式になっています。

 

 例題として「鍼灸師が鍼灸治療・マッサージを受けたら経費になるか?」を上げると、経費になる可能性があるし、ならない可能性もあります。は?何を言っているのだ?となってしまうかと思いますが、“何故、使ったのか”という理由によって変わります。

 

 例えば、腰が痛くて自分でも治療をしたけど治らなかったので、近くの治療院に通っていたというのであれば、鍼灸院の経営としての費用ではないので、個人としての医療費になるので、医療費控除の対象になります。鍼灸治療も医療費控除に入るのは以前のブログでも紹介をしました。

鍼灸師の治療は医療費控除が使えます

 

 痛みの改善ではなく、どういった接遇や治療をしていて、内装を見るために覆面調査として治療院に行ったのであれば、仕事として行っているので、“研修費”の項目に入ります。例えば、行った治療院をそれぞれ簡単なデータとしていい所と悪いところ、自分が改善するところをまとめてあると経営としての資料になりますよね。

 

 経費としてお金を使うためには、個人的に使うのではなく、仕事としての費用になるので、仕事用と個人用と分けてお金を使うクセをつけるのが大切です。

 

経費を使うようになると売上が減って節税になるので、とにかく経費を使って節税を目指すという人も出てくると思いますが、それでは社会的な信用を失ってしまうので、ローンなどを組む、家を借りるのが難しくなります。こういったことに関しては「治療院の成績表」を参考にしてください。

 

 経費の仕分けが終わって確定申告を出すことになりますが、青色申告では決算書も出すのですが、税務署の職員は決算書を見て、おかしい物を判断するので、どういった見方をするのかを知っておくことと、変な決算書を出さなくなるので、知識としては知っておいてもいいと思います。そういったことに関しては、こちらの書籍が参考になると思いますよ。

『一瞬で決算書を読む方法-税務署員だけのヒミツの速解術』

 

 鍼灸院や治療院は開業するまでにやることも多いですが、開業してからもやることが多いですし、治療以外の数字を扱えるということが重要になるので、経費や申告に関しては開業する前に一度は考えておくのがいいですよ。

 

 治療院に勤めながら、個人的に患者さんの治療をしていって、白色申告で経費の仕分けと申告に慣れてから青色申告を行うのは、ステップアップとしていいのでお勧めの方法ですね。開業するまでに必要なことは、マーケティングや治療スピードを上げる必要があるので、これらに関してはこちらのブログを参考にしてください。

治療院のマーケティング

開業するために必要なこと

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