雀啄術(じゃくたくじゅつ)のやり方

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 学校の授業で習って、卒業してからもよく使う技術に雀啄術がありますが、どのようにやったらいいのかについての個人的な考えをまとめてみたいと思います。

 雀啄術は、「雀が啄(つい)ばむように鍼を上下させる」と言われる方法ですが、これだけの話だと鍼をただザクザクとさせるだけになってしまいますし、雀が啄ばむってどういうことなのかという疑問も生じます。

 

 「雀が啄ばむ」というのは、雀(スズメ)がくちばしで、物をつついて食べることですね。当たり前ですが、どういうことなのか分からないのでスズメが物を突いている状態をよく観察してみると、ツンツンと啄ばむのは、微妙な力加減で無駄がない動きになります。

 

 例えば、勢いをつけて行っている物ではないですし、啄ばむ物に対しても強く力を与えてしまえば、食べることが出来ずに、物は遠くに行ってしまいます。その様子から考えると啄ばむというのは非常に微妙な力加減で行うので、丁寧な物だと思います。

 

 卒業して大分経っているので、学校で習ったときの記憶自体が曖昧なのは仕方がないのですが、授業で習った雀啄はザクザクとやった覚えがあるので、学生時代の雀啄術は拷問にしか感じない手技だった記憶があります。

 

 現場に出て治療で鍼を扱うようになると、痛みを取ろうとしたり、硬結を変化させようとしたりするので、緩ませようとして雀啄になってしまうことが多いのではないかと思います。けど、雀啄ってかなり響きが出やすい手技の一つですよね。響きに関してはこちらのブログを参考にしてください。

「鍼のひびきとは」

「鍼のひびきとは何か?」

「鍼の響きが出る深さ」

 

 痛みや硬結を変化させようとして、響きを強く与えてしまえば、鍼は痛くないと言っているにも関わらず、響きを強く感じさせてしまうので、「鍼をして何かを強く感じる」という状態であれば、鍼を嫌いになってしまうことも多いです。

 

 治療者からしてみたら、チクッとした痛みではないし、鍼は響くことがあるから、別に問題がないと考える人もいるのかもしれないですが、患者さんからしたら鍼をしたら痛みも感じないと言われたのに、「感じたことがない感覚」を強く感じさせてしまうのであれば、不快感として捉えてしまう場合があります。

 

 鍼治療は嫌いだという人に理由を聞いてみたことがあるのですが、痛みだけではなく、刺入した後の響きの感覚が怖いし嫌だという人もいるので、そういう方は二度と鍼を受けないという選択をしてしまうことがあります。

 

 話が大分それてしまいましたが、雀啄術は啄ばむようにするもので、その1点に対して刺激をすることが多いと考えられるのですが、雀啄というのをしている人の技術を見てみると、チクチクと1点を刺激しているというよりも、ザクザクと耕しているようなやり方をしている人が多いのではないかと思います。

 

 特に初級者の場合は、細かいことをやろうとしても鍼を上手く扱うことが出来ないので、チクチクのつもりがザクザクとしていることが多いですね。

 

 スズメが食べ物を啄ばむようなやり方で考えれば、貴重な食べ物を大きく壊すのではなく、適切な力加減で食べ物を細かく取るという物なのでしょうし、雀啄術ではその名前のように非常に細かく丁寧に行うのが重要だと思っています。

 

 刺入した後に、鍼先が硬い硬結などに鍼が触れたときには、刺入をしようとしても、他の部位よりも力を使う必要があるところになるので、そういった硬い点に当った状態で鍼がそれ以上に入らないように、トントンと刺激をする方が効果も高いと思います。

 

 例えば、キーボードはキーを打つことによって入力をしますが、雀啄はキーを打つけど、文字を入力しない力加減だと考えてもらうといいのではないかと思います。それだと、ただ単にキーを触れているだけと思ってしまうでしょうが、キーを打つけど、文字が入力されないギリギリの力加減だと思ってもらうと雀啄の刺激も波のような響きが広がることが多いです。

 

 感覚としては、身体の中にゴムが1本入っていると考えてもらって、そのゴムに鍼先が少しだけ入っている状態をイメージして下さい。鍼を引き上げると、ゴムに鍼先が入っているので、少しだけゴムを引っ張ることができ、離して刺入の方に力を入れると、ゴムを揺らすことが可能になります。

 

 この揺れるような感覚が他にも波のように響きを生じることになり、硬結の上下動を行うことで、その部位の弾力をつけることで硬結を取る方法と言えるのではないかと思っています。

 

 もちろん、ザクザクやる雀啄であれば、その部位の筋線維などを多く傷つけることになるので、その部位の回復を強く図るという方法として適切になるのでしょうが、慣れないうちに、ザクザクする方ばかりをしてしまうと、必要でない部分まで刺激をしてしまうことが多いので、初心者の内は、トントンと細かい雀啄を出来るように訓練をするのが必要ではないかと思っています。

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