手厥陰心包経の絡穴でもあり、陰維脈の八脈交会穴である、内関は治療の中でも使いやすいところでもあるので、多くの方が使用している経穴ではないかと思います。
内関は、外関と対応するので、名前がつけられたとも言われていますが、手厥陰心包経に関係をしていて、身体の内側に関係するところであるから、内関という名前になったという説もあります。陰維脈とのつながりを考えれば、身体の内側に作用する重要なツボという意味の方がイメージしやすいのではないかと思います。奇経の話しは過去のブログを参考にしてください。
内関は、陰維脈とのつながりで考えれば、陰維脈の病証である「胸痛に苦しむ」と関係をしやすいので、胸痛があるときには効果が非常に高いと考えることができます。胸の痛みは、心臓疾患でも発生するので心臓疾患にも使って行けると考えられます。
心臓疾患には、胸痛だけではなく、不整脈もあるので、不整脈に対する治療穴と言えます。ただ、内関は作用が強い経穴になるので、治療効果がはっきり出る場合もありますが、不整脈では悪化をしてしまうこともあるので、刺激量には注意が必要な経穴の一つになります。
どの経穴も注意を払って使うべきなのですが、内関はより注意を払わないといけないと言えます。
肋間神経痛も胸部に発生をしやすいものなので、肋間神経痛にも効果を発揮することがあります。疲労が強い人や体調がよくない人は、前胸部の肋間や関節部に圧痛が生じている人もいるので、その場合は、内関を使うことで全体を緩ませていくことが可能ですが、治療の刺激量は注意が必要になるのは胸痛と同様です。
内関は内部の働きの改善というのにも効果があるので、胸部と関係をする呼吸にも影響を与える経穴なので、息を吸いにくい場合や、息を吐き出しにくい場合にも使えます。首肩こりが強い人は、前・後面の筋肉が硬くなってしまい、呼吸の補助筋が働けなくなって生じている場合があるので、そういうときにも内関は効果的になります。
胸痛という痛みになる前は、胸悶(胸の不快感)が発生すると言われているので、胸部の不快感があるときにも使うことができます。胸部の不快感で曹禺しやすいのは、逆流性食道炎になるので、逆流性食道炎による胸部から喉にかけての不快感は内関で治療をすることが可能ですね。
内関は陰維脈の八脈交会穴ですが、流注では衝脈と接続をしています。陰維脈と衝脈は身体の内部を通過する奇経になるので、お互いの流注が交わりあう、腹・胸部の治療では内関と公孫をセットで使っていくと効果が高くなります。
内関を治療で使おうと考えたときには、公孫も使おうかなと考えるようになると、治療の効果が高まりやすいと思いますよ。公孫と組み合わせれば消化器疾患にも効果的になると分かると、治療で使う頻度は上がりやすいのではないでしょうかね。
消化器疾患と関係をしやすいのは、妊婦のつわりがあるので、吐き気止めとして内関が使われることがあります。一般的な商品で、乗り物酔い・つわりを助けるバンドが出ていますが、リストバンドで内関の位置を刺激するような構造で出来ています。
知識がなければこういった商品を使う必要があるでしょうが、知識がつけば、気持ち悪さが出たときには、内関を刺激すると治まることが多いですよ。
そんなに効果的な内関ですが、鍼を刺入しようとするときには、皮下静脈と腱が走行している部分でもあり、深部には正中神経が走行しているので、刺鍼には注意が必要な経穴でもあります。
刺鍼をしたときに、皮下静脈に触れてしまえば出血をすることもありますし、刺入していくときに、腱に当ってしまえば、入らないだけではなく、痛みが生じやすいですね。しかも鍼が入っていけば、今度は正中神経があるので、切皮から刺入までも含めて、とにかく注意深く行わなければいけない経穴ですね。
刺入でミスをしないためには、最初の押手が重要になります。鍼管を内関の上においたときに、細い場所なので、皮膚を滑らしてしまうことがあるので、まっすぐに鍼管で圧迫を加えたとしても微妙にずれてしまうことがあるので、その場合は、鍼管をまっすぐに押し当てられていないと判断をしないといけないですね。
例えば、鍼を切皮する段階では、腱と腱の間に鍼管を押し当てて、切皮をしたはずなのに、刺入をするときに、なかなか入らないので、確認をしたら腱に当っていたという場合は、皮膚を滑らしてしまっているということになるので、刺入をするたびに、押手を確認するという点では、技術が向上するのに適している経穴とも言えますね。
お灸を使うのも効果的なのですが、陰面は熱さを感じやすいところでもあり、火傷をしてしまうと、痕が残りやすいので、お灸を使う場合は細心の注意が必要になります。手の冷えが強く出やすい人であれば、内関のお灸はかなり効果を発揮することがありますね。