『シッコ(SiCKO)』から医療問題を考えてみる

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 『9000 Needles』の紹介をして、映画のことを思い出したので、連日になりますが、映画のブログになります。

 シッコはアメリカとキューバの医療制度の対比を行っている、ドキュメンタリー映画になります。監督は社会問題について切れ味鋭く指摘をするマイケル・ムーアです。アメリカでは2007年に公開され、日本でも上映をされたことがあります。レンタルに置いてあることがありますし、ネットでも購入できます。

『シッコ(SiCKO)』

 

 日本は国民皆保険制度を行っているので、日本に居て、保険証があれば安く医療を受けることが出来ますが、アメリカでは国民皆保険ではないので、病気になると、実費での支払いになることも多く、一気に破たんまでいってしまうのは有名な話ですね。

 

 もちろん、保険会社はあるので、保険を支払えば保険に加入をすることが出来るのですが、契約したとしても支払われないことがあると言われているので、病気にならないように自分で注意をして、出来るだけ自分で治すという考え方にもなりますね。

 

 そう考えると、保険がないというのは自分の健康を自分で守るという認識が出来るので、日々の生活に気を付けると言えるのでしょうが、肥満大国なので、それほど気にする訳でもなく、楽観的なのかなとも思ってしまいます。

 

 保険会社からしてみたら、保険料を納めてもらって、支払いをしなければ、企業の利益を守り、従業員に給料を支払えることになるので、会社のお金管理と言えば当然とも言えるでしょうね。もちろん、生命や身体に関することなので、道義はどうなのかと言う意見も出てくるでしょうが、道義だけでは会社や制度は成り立たなくなるので、どこで線引きをするのかが重要なのだろうなと思います。

 

 私はアメリカに住んだことはないですし、医療制度をよくしっている人から話しを聞いた訳ではないので、どういう状況なのかというのは良く分かりませんが、映画を見る限りでは、医療を受けるために、海外に行く、移住をするという選択を取るしかなくなるという状況も出てくるのは、安心して住み続けていくのには困難になるとも言えますね。

 

 映画では、保険会社が支払いをしないのは、自分達の利益を守ることが中心で、そのために、政治家に献金して自分達の利益を守るようにしているという話しになるのですが、酷い行為だと言えるでしょうが、利益を守りたいという側にいたら、自分達に有利なように交渉を進めていくというのは正しいと言えてしまいます。

 

 支出の厳密な管理をしているからこそ、必要なときにお金を大量に使えるという考え方をすることができますが、保険で助かったという意見もあると両面を見られたのかなと思います。両面がないと言うこともあるのかもしれませんが、私がアメリカの中で生活をしている訳ではないので、全く分からないのですよね。

 

 この映画を見ると本当に日本の国民皆保険制度のある国でよかったと思うようになるのですが、国民皆保険という誰でも安価に医療を受けられる状態を続けたからこそ、財政は危機的状況になってしまうリスクがあります。

 

 例えば、海外の方と話をすると風邪を引いたら薬を飲まずに寝ていればいいだろうという話しになるのですが、日本では当たり前のように風邪薬を飲むし、病院にいって医薬品を使いますよね。

 

 薬局で買う医薬品に関しては、自分で支払うことになりますが、それでも病気の治療に使った物であれば、医療費控除という制度を使うと、税金面で優遇をしてもらえる制度があります。

 

 病院に通院したら、そこでかかった費用は保険会社が持つことになるので、3割負担の人なら、窓口の支払いは3000円になりますが、実際にかかっている治療費は1万円になります。それが、月に3回でもあれば、医療費は3万円なので、月々支払っている保険代よりも多い出費になります。

 

 そのサポートは、医療費を使っていない人や保険会社、国で支えないといけないので、安価で安易に使えると制度として破たんをしてしまいますね。そう考えと、どこまで医療費として使うのかというのが国としての課題になるでしょうけど、健康や病気は治したいと思うのが人情なので、制度か人情かどちらかを選択しなければいけない状況もありえますね。

 

 医療費を安くすればいいのではないかという意見も出るでしょうが、医療で用いる物は高額なことが多いです。医療費が高額になるのは研究開発費が莫大な金額になるので、商品も高くなってしまうのは当然とも言えます。医薬品が高額になってしまうというのは、ブログでも紹介をした『医薬品クライシス』が分かりやすくて参考になると思いますよ。

『医薬品クライシス―78兆円市場の激震 (新潮新書)』

 

 医療機器が安くなるためには、機器を安価にする必要がありますが、ここも上手くいくと安くなる可能性があります。医療機器は人間の生命に用いる物なので規格も厳密でしっかりと作成をしないといけないのでお金がかかるのですが、安く流通しているものを利用すれば安く完成することがあります。例えば、宇宙産業は何があるのか分からないので、一つ一つ厳重に管理をして作成していますが、最近のベンチャー企業では、一般に流通しているネジを使えば、とてつもなく経費を削減できるので、一般流通品からロケットを作るということも行われています。

 

 医療機器を安くするというのは、お金が十分にはない新興国に取っては重要なことなので、新興国からイノベーションが起こるかもしれないという話しがあり、それは、『リバースイノベーション』という書籍に書かれています。

『リバース・イノベーション』

  医療費に関しては多くの方が考えなければいけない問題で、近年、問題視されてきているのは抗がん剤ですね。人類は科学の発達によって様々な感染症を撲滅したり、減退させたりしているのですが、そうなると、身体は老衰して衰えていくので、細胞分裂のエラーとして発生するがんでの死亡が増えていきます。

 

 そういう状況になると、がんを撲滅したいというのが人類なので、抗がん剤を研究し開発していきます。有名なのにオプシーボという薬があるのですが、開発にかかった費用もあるので、一人につき1年で約3500万円の支払いが必要になります。

 

 日本は国民皆保険であり、高額療養費制度があるので、1年で約130~170万円の費用で使うことが出来ます。それでも高いという話しになるでしょうが、国民の3人に1人はがんで亡くなるという状況で、全員に使うと考えると、医療費は足りるのでしょうか?

 

 足りないなら使用しないという方法もありますが、使用するなと言えるでしょうか?

 

 では、がんの人が全員使用して、みんなで支払える額でしょうか?

 

 東洋医学でがんの治療をするというのも大切ですが、全てをまかなえるかと言えば疑問も残ります。医療は一人一人が考えなければいけない問題であり、守るべき制度だと私は思います。

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