気血津液弁証の中には、気虚、陽虚、血虚、陰虚というのがありますが、相互に関連することがありますが、最初の頃は意味が分からないことがあるので、まとめて行こうと思います。
東洋医学では人体の中に気血津液精が存在していると考えていますが、日々の生活や環境変化によって、この気血津液の状態が変化をしてしまって症状が発生すると考えているので、気血津液の状態を診断する気血津液弁証が重要になります。気血津液弁証の基礎は、過去のブログを参考にしてください。
気虚と陽虚、血虚と陰虚には関連があって、気虚が進行すると陽虚、血虚が進行すると陰虚になると考えることができます。そのため、気血津液弁証で気虚と判断した人は、そのまま放置すると陽虚になってしまう可能性があります。
陽虚の人であれば治療をしていくと、陽虚がなくなり、気虚になる可能性があります。これと同様に血虚が悪化をすると陰虚になり、陰虚が改善をしていくと血虚になる可能性があります。この知識は病態の把握だけではなく、予後の診断に取っても大切なので理解しておくことが大切だと思います。
気は生命現象とも大きく関係をするもので、生きているという状態は、環境適応をして、病気にしないようにしていますし、生きているという状態は身体を温めている働きがあります。こういった気の話しに関しては、過去のブログに書いているので参考にしてください。
このように気には温めるという機能が存在しているので、気虚が発生すると、身体を温めるという機能が低下をしてしまいます。もちろん、気には温める以外にも様々な働きがあるので、気虚で生じている冷えの程度は、ちょっと冷えやすい、温まりにくいという状態になります。
少し考えると陽虚かなというところですが、陽虚の場合は、冷えが主体になっているので、冷えが強くなければ気虚と判断することができます。書籍などでは、気虚と陽虚は違うというように書かれているので、混乱をしてしまうことがありますが、気のことを理解すると、冷えが少しでも生じるのは当然とも言えますね。
冷え症がひどくなってしまった状態を陽虚と考えれば、主訴や強い訴えの中に冷えがなく、冷えを感じている程度であれば、気虚と判断する方が適していると思います。私も最初の頃は、気虚と陽虚はどこで鑑別をするのかで悩むことがあり、今から考えれば、陽虚と判断した人の中には気虚の人がいたと思います。
人の身体自体は数字化できないので、どこまでが気虚で、どこからが陽虚かというのを厳密に分けることは出来ないので、その時の状態によって変化をさせてもいいと思います。私の場合は、気虚、気虚陽虚、陽虚という三段階で分けて考えてしまっています。
気虚が進行し始めて、冷えを感じることが多くなったのであれば気虚陽虚として考え、冷えが強すぎる場合は、陽虚と分けてしまっています。本当に陽虚が酷い人は、夏でも寒いということがあるし、冷房がかかっていると、冬なみに厚着をしないとやっていけないことがあります。
これと同じような考え方をするのが血虚と陰虚になります。血は身体を栄養する働きがあるのですが、津液から生成される物でもあるので、身体を冷やす働きがあります。血に関する話しは過去のブログに書いているので、基本的なことはこちらを参考にしてください。
血の栄養する働きが低下をしてしまって、眼精疲労や不眠などの症状が発生してしまったものは、血虚として考えていくのですが、血には冷やす働きがある陰液という分類もあるので、血の冷やす働きの低下が強く起きてしまった状態は陰虚と考えていくことが出来ます。
私は血虚・陰虚に関しても、血虚、血虚陰虚、陰虚という分類で考えていくことが多く、少し火照るような感じが出てきているときには、血虚陰虚という血虚と陰虚の間の状態として考えていきます。こういった方は、火照りが出るときもあるけど、出ないときもあるという場合に判定をしています。
本当の陰虚になると、夜は手足のほてりや身体のほてりで眠るまでも時間がかかると表現をすることが多いですし、盗汗と言われる寝汗もよくかくので、起床をすると寝巻を交換することも多いです。
気血津液弁証には他にも精虚というのがあるのですが、この場合は、精に関する知識が重要になります。精は元気のもとになるものなので、元気を生成するという点から考えると気虚・陽虚にもつながってしまうのですが、精血同源という血の不足は精が補い、精の不足は血が補うという関係性から血虚・陰虚にもつながってしまいます。
基本的には、精は産まれる・生きているという状態を作るものであり、身体を栄養する働きがあるので、気よりは血の方との関係が密生だと考えていくことが出来ます。年をとると、精が不足するのはもちろんのこと、身体の水分(陰液)が不足すると考えていくので、やはり陰の不足につながりやすいと考える方がいいと思っています。精の基本的な内容に関しては過去のブログを参考にしてください。