風邪(ふうじゃ)の症状

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 風邪(ふうじゃ)の症状は風邪(かぜ)の症状とほぼ同じだと考えることができるので、頭痛、鼻づまり、喉の痛み、悪寒、発熱、うなじの強張り、ふしぶしの痛み、自汗、悪風が発生しやすいです。

 そのため、風邪の症状は、外邪が身体の外側に影響して生じる症状ということで、表証の症状として捉えていくことが多いので、風邪(ふうじゃ)であれば表証と考えることが多いですね。この考え方は八綱弁証で使われているので、八綱弁証を学習していれば見ることがあるでしょうし、漢方の勉強をしているようであれば、八綱分類があるので、当たり前になってくるような知識ではないかと言えます。

 

 一般的には風邪の症状は表証の症状と言われて、風邪(かぜ)の症状と関連をしやすいというのは多くの人が理解をしているところだと思いますが、風邪(ふうじゃ)の症状として特徴的になってくるのは、しびれ、ふるえ、けいれんもあります。

 

 風邪には遊走性があり、移動をしやすく変化が早いということで、症状や症状の発生する場所が変わっていくという性質があり、表証の症状以外にも、しびれ、ふるえ、けいれんという特徴的な症状があるので抑えておきたいポイントの一つになります。

 

 外邪と呼ばれる風寒暑湿燥火で、暑邪以外は身体の問題が原因となって発生することがあるので、風寒湿燥火に内とつけて内生五邪という概念があり、内風、内寒、内湿、内燥、内火(内熱)と呼び、外邪から発生をしたのか、身体の問題によって発生をしたのかを分ける方法があります。

 

 内風、内火は病態が多く、相互に関連をしていく物になるので、病態の変化が分かるようになるためにはしっかりと理解をしていくことが必要になります。内寒は身体の中が冷えている状態になるので、陽虚の状態と考えていくことができます。内湿は痰湿の病態として考えていくことができるので、脾の働きが低下をして湿が生まれてしまった場合や水の代謝に関わる肺・腎の働きが低下をしたときにも発生をしてしまいます。

 

 内燥は内火(内熱)とも関係をしていく物であり、身体の中の津液が不足をしてしまったときに現れる状態とも言えるので、口渇・口乾が代表的な症状で、熱証のときに発生する症状としても有名なものだと思います。

 

 内火(内熱)の状態は様々な原因によって発生をしていくのですが、気血津液の停滞から熱化をしてしまい生じてくる病態、陰虚という虚熱の状態から発生してくる状態があるだけではなく、五志という感情が極度に極まってしまったことによって発生をしてくる病態があります。

 

 内風を生じやすい原因は、血虚、陰虚、熱極があり、それぞれ血虚生風、陰虚生風、熱極生風が発生すると言われているので、血虚や血の病変は内風が発生をしてしまうので、風邪の症状である、しびれ、ふるえ、けいれんが発生をしやすい状態になってしまいます。

 

 血虚生風は、本来、血が存在しなければいけないのに、その場所が空虚な空間になってしまうので、その空間に風が生まれてしまうという考え方によるのですが、血虚から風が生まれると言うことが最初はなかなかイメージ出来ない物ではないかと思います。

 

 風寒湿の外邪がまじりあって生じる痹証の中で、風の力が強いものを行痹(風痹)と呼びますが、行痹の治療では血を巡らすことで症状が緩解するので、去風と同時に行血が治療方針になっていきます。

 

 陰虚生風・熱極生風は熱が強くなることで風が生まれてくることなのですが、火災が酷くなると周囲の酸素を取り込み、上昇気流を発生させるので、火災旋風が発生をしますが、自然の中で生じることは身体の中でも生じてくると考えているので、熱が強い状態が続いてしまうのは良くないと言えますね。

 

 気血津液の停滞・陰虚・五志過剰は熱を発生させる病態になるので、結果的には風を発生させてしまうことになるので、内熱と内風は関連性がある病態になっていきます。

 

 風はしびれ、ふるえ、けいれんだけではなく、開泄性も存在するので、腠理(そうり:汗腺)の開闔(開閉)にも影響をしてしまい、発汗を生じさせる原因にもなるので、燥の状態も生じさせてしまうことがあります。

 

 風があまりにも強くなってしまうと、身体は風によって障害をされてしまいますが、風は五行では木であり、肝と関係をしやすいので、肝風という表現もあります。肝は肝血虚、肝陰虚、肝陽、肝火と風を発生させやすい弁証が多いですね。

 

 風があまりにも強くなってしまうと、しびれ、ふるえ、けいれんが全身に発生をすることになり、風に中って(かぜにあたって)しまうことで、中風という病変に変化をしてしまうことになります。

 

 中風は脳血管障害と表現をされることが多いですが、しびれ、ふるえ、けいれんが全身に発生して、気絶をしてしまうようであれば、中風になったと考えていくことができます。

 

 風が発生してしまうと、身体にいろいろな障害を発生させてしまうことになるので、風が発生しないような体質を作っていくのが東洋医学の治療においては大切だと言えます。

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