冷たい物を飲んだり、食べたりするとお腹が痛くなることは多いと思いますが、東洋医学的にはどういう状況なのでしょうか。
現代医学的に考えていくと、冷たい物を摂取すると、刺激になるので、痛みを感じてしまったり、胃腸のぜんどう運動が高まってしまったりすることによって下痢になってしまうことがあります。胃腸の働きは食べた物を体外まで排泄をするのが正常な働きになるので、機能が亢進してしまうと下痢になってしまうのです。
冷たい物を東洋医学的に考えていくと、身体の外からやってくる好ましくない物になるので、外邪という分類になり、冷たいという性質があるので、寒邪(かんじゃ)と呼ばれていきます。
寒邪を身体の中に取り入れていくことが、冷たい物を飲んだり、食べたりすることなので、身体の中に寒邪が入ると、寒邪の働きによって、いろいろな変化が生じていくと考えていきます。
寒邪はその名前の通り、身体を冷やす性質があるので、寒邪を摂取すると、身体を冷やしてしまうだけではなく、身体を温めようとする力を弱くしてしまうために、継続して摂取をしていくと、身体が冷えやすい状態になってしまいます。
冬など寒い状況になると、身体が動かしにくくなりますが、これは寒邪の収引性によって、皮膚が縮められてしまうために、動かしにくい状態になるので、冷たい物を摂取すると、臓腑が縮められてしまい、正常な機能を発揮することが出来なくなってしまうと考えていきます。
お腹の働きは東洋医学的には脾胃という物によって成り立っていくのですが、お腹に寒邪を取り入れていくと、脾胃の働きに影響を発生させてしまいます。脾胃の働きに関しては、「脾の働き」や「奇恒の腑の働き」を参考にしてみてくださいね。
冷たい物を摂取すると、脾胃と関係をしていくのですが、脾胃の働きを考えていくと、脾は昇清という昇らせる性質があり、胃は通降で降ろさせる性質があるので、脾胃のバランスから考えると、脾は陽、胃は陰と考えていくことができるので、寒邪を摂取すると、脾胃では脾の陽を低下させてしまうために、降りる性質が強くなり下痢になってしまいます。
寒邪には他には凝滞性という働きがあるのですが、水が段々と凍っていくのには、分子の活動が止まってしまうことになり、流れている水も冷えて凍ってしまうと、流れが悪くなるので、凝滞性によって、身体の中に流れていると考える気血津液の流れが止まってしまいます。
東洋医学では人が生きている状態は、気血津液が流れているのが正常なので、流れていない状態は、死や病気を現すことになり、最初の症状としては痛みとして現れやすいので、不通則痛・不栄則痛という考え方があります。
気血津液が流れていないという不通の状態になってしまうと、それだけで痛みが発生をしてしまうことがあるだけではなく、気血津液が流れていないので、栄養をされないので、臓腑や身体は痛みとして症状を発して、問題が生じていると伝えることになります。
これが、東洋医学で考える冷たい物を飲んだり食べたりすると下痢をしてしまったり、お腹が痛くなったりするメカニズムですが、東洋医学を理解していくことで、身体の状態を捉えていくことができます。
冷たい物を摂取しても、身体がそれに負けない状態を作っておけば、痛みが出たり、下痢をしたりすることが少なくなるので、東洋医学で治療を継続していくと、症状が出る頻度が低下をすることがあります。
ただし、人は生きているのは体温があるという温かい状態が正常なので、冷たい物を摂取してしまうと、身体を温める機能を低下させてしまうので、東洋医学の考え方では冷たい物の摂取は控えた方がいいと言われています。
体温が高くなりすぎてしまって、身体の温度を低下させなければいけないときには、冷たい物の摂取も有効になるのですが、東洋医学の基本の考え方では、冷やすことはよくないことと考えられるので、どこまでが良いか、悪いかについては、その方の身体の状況によっても変わっていきます。