飲食を身体の中に取り込んでいく際に口を通っていきますが、食事が通って行くという意味で身体の中には七つの門があります。
この門という概念は七衝門と言われ、『難経』四十四難の中に記載があります。『難経』の原文では下記のようになっています。
四十四難曰.七衝門何在.
然.脣爲飛門.齒爲戸門.會厭爲吸門.
胃爲賁門.太倉下口爲幽門.
大腸小腸會爲闌門.下極爲魄門.
故曰七衝門也.
七衝門は、飛門(ひもん)、戸門(しもん)、吸門(きゅうもん)、賁門(ふんもん)、幽門(ゆうもん)、闌門(らんもん)、魄門(はくもん)という名前になっていて、それぞれに役割があります。
飛門は唇になるのですが、飛門の飛という意味には、動くと言う意味があり、飛ぶとも言われるように上という意味があるので、上の門であり、よく動くところという意味で飛門という名前になっていると考えられます。
戸門は歯で閉じているところになり、とびらのように閉まっているので、戸門という名前が付けられていると考えられています。
吸門は会厭(ええん)と関係をするので、会厭は喉頭蓋になるので、喉のところで吸いこむという意味で吸門と名づけられていると考えられます。
賁門・幽門という言葉の前に太倉を理解しないといけないのですが、太倉の前に倉庫の意味から説明します。倉庫の漢字では、倉が食べ物を貯蔵するということを言い、庫は食べ物以外を貯蔵することであり、太倉というのは飲食を扱う大きな穀倉という意味になるので、胃になっていきます。
この七衝門は胃の前後に繋がる門という意味になり、食べ物が通過するための場所ですね。胃が中央になるので、胃の前までの飛門、戸門、吸門、賁門は陽の門と言え、胃の後にある幽門、闌門、魄門は陰の門と言えます。
賁門は食べ物が入っていく様子の勢いから賁門と言い、幽門の幽は幽暗という意味があり、不思議・幻想という意味も含まれてくるので、食べ物が入っている大切で厳かな場所というところから、幽という漢字が使われているのでしょうね。
闌門は小腸と大腸の間になるので、虫垂と関係をするとも言えますね。闌は闌遮(らんしょ)という意味が含まれると言う話しもあり、守る働きがあると言えるので、太倉を守る重要な場所という意味にもなります。
肛門は魄門と言われていき、大便を排泄するところでもあるので、陰が出てくる場所と言えるので、陰という意味が含まれる魄が使われています。
構造的に重要になってくるのは、戸門と闌門であり、太倉に害が及ばないように守りが強い場所と言えます。そのうち、闌門は治療穴として奇穴の闌尾がありますね。
通常は、闌尾は虫垂炎の治療穴として書かれていることが多いのですが、胃の働きを守る重要なツボの一つだと考えると、お腹の調子を整えていくのに闌尾は通常の経穴と同じぐらい重要なツボだと考えていくことができますね。
幽門という名前は、腎経にも存在をしているのですが、七衝門の幽門とは位置が違うので、位置的には賁門に近いので、胃に繋がる門ということで幽門になったのですかね。いろいろと考えていくときりがないですが、想像力が膨らみますね。