五苓散(ごれいさん)

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 五苓散は水分調節が出来ない人に用いられる漢方薬の一つで、飲んでいる人も多い漢方薬の一つになるのではないでしょうか。

 五苓散は、五という数字が入っているので、猪苓(ちょれい)、伏苓(ぶくりょう)、蒼朮(そうじゅつ)または白朮(びゃくじゅつ)、沢瀉(たくしゃ)、桂皮(けいひ)という5つの生薬が含まれているので五苓散と呼ばれています。

 

 桂皮を除いた場合は四苓散(しれいさん)と言いますが、桂皮が温める働きがあるので、冷えがない場合、熱っぽい場合には桂皮を除いて用いていくことがあります。

 

 五苓散は、風寒の外邪が身体の中に侵入をしてきてしまい、体内に熱が発生をしてしまうことによって津液の不足をきたしてしまった状態に使っていくのですが、熱が強すぎる場合には違う漢方薬に変える必要があります。

 

 五苓散の適応となってくるのは、熱が体内にこもり、津液の不足と、津液の流れが阻滞した場合になり、症状としては口渇、尿量減少があるときに効果があると言われています。体内に停滞した熱を取り除く働きが強いよりも、水分代謝に効果が高いのにで、水を排泄させる漢方薬という捉え方をする人も多いと思います。

 

 通常、体内の水の移動は、血管・細胞で行われており、電解質などの影響を受けると同時に、水分を体外に排出するときに、電解質も失われてしまうのですが、五苓散を摂取すると、電解質に変化を出さずに、身体の水を排出するという特別な機能があると考えられており、研究も行われています。

 

 白朮・伏苓・猪苓・沢瀉は身体に停滞している水を排泄するように働きますが、猪苓・沢瀉が利水する働きが強いと考えられます。桂枝は身体を温めるだけではなく、消化の働きを強めることで、体内から体外へ排出する力を助けることになります。

 

 水の停滞に対しての効果が高いので、水を多く摂取する前、摂取をした後にも効果的だと言われているので、生活の中で使っていく人もいると思います。ただ、そこまで使い分けるというのは、五苓散の効果を知っているだけではなく、どういう状況で効果があるかを知っておかないと出来ないので、知識が必要になっていきます。

 

 五苓散の効果を鍼灸で発揮をしようとするのであれば、水の調節に関係する、脾・肺・腎の働きを考えていくことが大切になっていきます。食事と関係をして水の代謝が悪くなっているのであれば脾、水の巡りが悪くなっているのであれば肺、水の排泄が悪くなっていれば腎として考えていくことができるので、その人の身体の状態によって使っていく臓を変えることができますね。

 

 水の巡りは、三焦を通路としているので、三焦に関係する経穴も治療の中で使っていくことができます。

 

 病態として脾・肺・腎を分けていくのが難しいと感じるのであれば、体質的に消化器が弱ければ脾、呼吸器が弱ければ肺、泌尿器・生殖器官が弱ければ腎として考えてみても問題はないです。

 

 水分調節を改善する漢方薬には、五苓散だけではなく二陳湯(にちんとう)というのもあるのですが、二陳湯は、痰湿の停滞してしまっている状態に用いるもので、五苓散は、熱がある状態とも言えます。ただ、五苓散では湿熱までの治療というほど、熱を取る働きが強い訳ではないので、湿熱の熱が強い場合は、他の漢方薬に変えていく必要があります。

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