問い合わせや初めての患者さんから質問をされるのが、鍼灸は何に効果があるのかということと、鍼治療の持続効果はどのぐらいなのかということですね。
鍼灸は痛みに効果がありそうだけど何だか分からないし、体質改善が出来るのかもしれないけど何だか分からないという漠然という気持ちを持っていることが多いですが、東洋医学の知識もないし、一般の方からしたらよく分からない物なので、やっぱり分からないので、どうですかと聞いてくることが多いのだと思います。
個人的な視点にはなりますが、患者さんに説明をしているようなことをまとめて書いてみたいと思います。
鍼灸は身体に働きかける治療方法になるので、効果の出方としては運動と同様に、即効性と遅効性の2つがあります。即効性で話題になりやすいのは、痛みが消えたということで、遅効性は遅れて発揮をされる効果で累積していく傾向もあります。
即効性で理解をされやすいのは、痛みに対する治療だと思うので、治療をしたら痛みが消えたという話になることがあるのですが、鍼灸の刺激では鎮痛効果が発揮をされることがあるので、刺激直後に鎮痛効果が発揮をされることがありますし、筋肉が硬くなっていて痛みが発生しているのであれば、硬くなった筋肉が緩んだことで痛みが軽減している場合があります。
即効性の鎮痛効果は長期に渡る場合もありますが、数日で消失をしてしまうことがあります。これは痛みを生じている原因となっている生活習慣や動きが改善をされた訳ではないので、治療によって痛みが消失したとしても、生活によって戻ってしまうことが多いです。
こういった場合は治っていないと表現をされることがありますが、痛みは改善させることは出来たけど、生活習慣という原因が改善をされていないので、症状が出ても当然の結果になります。よくあるのが、これを治っていないと表現をされる場合ですね。
治療をしたら、二度と痛みなどが出ないと考える人が多いのですが、身体は機械ではないですし、痛みはただのスイッチではなく、身体からの警戒信号なので、痛みを止めたからと言って、治ったとは言えないのですね。治療をしたのだから、よくなって欲しいと思うのは当然なのですが、原因が取り除かれない限りよくならないので、症状が起きた原因を治療者と患者の双方で考え、改善をしていくことが治療では重要なところにもなります。
遅効性の効果としては、痛みが改善をしていなくても、治療で加えた刺激を身体が受け止め、時間が経つことで、効果として出てくることがあります。治療をした後に変化を感じないけど、次の日に治療を受けた効果を実感する人もいますが、速効性が理解しにくく、遅効性が理解しやすい人なのだと思います。
多くの人が速効性は理解をするけど、遅効性を理解しにくいことなのですが、次の日に目覚めやすい、よく眠れた、お腹が空いたというのは、身体が正常に向かう反応になるので、大切な効果の一つになります。
痛みがある部位は変化がなかったとしても、痛みがあれば歩き方が変わったり、他に負担が出たりしているので、痛み以外の場所の変化は治療効果としては大切になっていきます。
鍼灸治療を行うと、変化は数日で消失してしまうと感じている人も多いですが、数週間持続することがあります。この変わったという状態は、非常に微細な物なので、本人が自覚をするのは難しいのですが、治療者からすると分かる物です。
治療の間隔が空いてしまうと、この微細な変化も消失してしまうので、次に治療で来院されたときには、治療が最初からになってしまうので、症状が酷い時には、継続して治療を進めるのは、速効性と遅効性が上手く絡みあって身体に大きな変化を起こしたいということになります。
症状が酷いときには、一日数回でも治療をした方が効果的なこともあります。例えば、風邪(かぜ)の症状は非常に変化が早いので、身体のだるさから始まり、関節の痛みがでたり、発熱をしたり、お腹の調子が悪くなったりしますが、こういった細かい変化をする直前で治療を加えていくと早く症状が改善をしていくと考えていきます。
痛みや症状があるときには、治療をしてどの程度の変化がみられるのか様子を見たいという気持ちがあるので、治療をしたら、次の日に診ることが出来ると、今後の変化を予測しやすくなります。
特に新しい治療を入れたとき、初診のときには、治療の刺激がどのように身体に作用をしたのかを確認した方が、確実な治療をすることが出来るので、最初の段階では、継続して通ってもらう方が予測と今後の治療をしやすいですし、持続もしやすくなっていきます。