子宮筋腫と鍼灸治療

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 子宮筋腫は多くの女性が持っていると言われるものなので、治療に通っている患者さんの中に子宮筋腫を持っている人は多いと思います。

 子宮筋腫は大きくなると、下腹部の硬結を触れることがあり、体表から見ても分かるようにもなるので、不安に感じる人も多いです。体表まで触れるぐらいになると、身体の不調も強くなってきているので、婦人科に通っている人も多いという印象ですね。

 

 子宮筋腫は手術で切除するというのが現代医学の治療になるのですが、手術はどうしても嫌だという人もいるので、相談を受けることも多いものですね。

 

 東洋医学の考えでは、身体には気血津液というものが絶えず循環をしていることで、生命機能が成り立っており、健康な状態だと考えていきます。子宮筋腫が発生をしているということは、子宮(東洋医学では胞宮・女子胞などと呼ばれる)の気血の循環が悪いということになり、循環不全によって瘀血(おけつ)と呼ばれる塊が発生をしてしまうと考えていきます。

 

 気血の滞りは、気滞・血瘀(けつお)と呼ばれているのですが、気血の停滞が全身で生じているのか、それとも女子胞のみで発生をしているのかを考えていくことも多いです。

 

 治療中では、硬結の硬さを確認して、治療後に硬結を確認すると、少し柔らかいような感じになることがあるので、治療前後だけではなく、日数が経過したときにも硬結を確認していくことが多いと思います。

 

 子宮筋腫の硬結は下腹部に発生をしていて、治療者が触れるのに微妙な場所になるので、先生によっては直接確認をせずに、患者さんに触れてもらいながら治療をするところもあるのではないかと思います。

 

 治療をしていくと、症状の軽減していくことが多いですし、筋腫の硬さや大きさも減少していくことが多いので、東洋医学の治療も効果が見られる疾患ではないかと思っています。

 

 友人の女性鍼灸師も子宮筋腫になり、自分で治療をしているときは調子がいいけど、何年もさぼっているとまた子宮筋腫が発生をしたので、また自分で治療を始めて、落ち着いたという話しも聞きます。

 

 もちろん、構造的に発生をしているもので、体質的な部分もあるでしょうから、軽減したからと言って、完全に消失すると断定するのは難しいですね。

 

 鍼灸での治療は女子胞と繋がっている経絡に対してアプローチをしていくことが多いので、任脈・衝脈・督脈という奇経を使うことも多いですし、気滞血瘀は肝と関係をしやすいことから、肝経も使うことが多いと思います。

 

 仙骨部は女子胞の裏面にあり、影響が強い経穴(次髎)があることから、仙骨部に低温火傷に注意をしながら、カイロを貼っておくと症状が軽減することがあります。腰痛もある方が多いので、仙骨部にカイロを貼りにくいのであれば、腰部にカイロを貼っていくこともあります。

 

 東洋医学では温かさを加えていくと、気血の循環がよくなると考えていくので、日常ではカイロが便利な道具だと思います。

 

 鍼灸治療を行う場合は、腰部・仙骨部に狙いを定めておこなうことも多いですね。女性の婦人科トラブルに対しては、三陰交という内くるぶしから5㎝程度上で、脛骨という骨の後縁が良く使われているので、三陰交に円皮鍼(「円皮鍼と皮内鍼の使い方」)というシール状の鍼を使用することも多いです。

 

 

 他には、先ほどの任脈・衝脈・督脈に関係するツボを使っていくことがあるので、それぞれ列欠(れっけつ)・公孫(こうそん)・後渓(こうけい)を使っていくことになります。

 

 列欠は親指側の手関節の上のでっぱりの上方にあり、公孫は足の親指側面で内くるぶしからまっすぐ降ろした線から斜め45°前方で足底との境目であり、後渓は小指の関節の上で側面にあります。

 

 単純に考えれば、手足末端に女子胞と関係するツボがあるので、足湯・手湯を自宅で行ってもらうだけでも、治療の助けになりますね。手足だけをつけるというのはイメージをしにくいですし、手を使えないと動きにくいので、足湯をしてよく温まって下さいと伝えていくことがあります。

 

 冷えがあると、気血の循環が悪くなってしまうので、お風呂によく入るようにしてもらって、身体を温めていくのも必要なことになりますね。

 

 三陰交にお灸をすると血の循環を改善しやすくなるので、お灸を購入しているような人であれば、関連するツボにお灸をしていくのも効果的だと思います。辛い症状で悩んでいる方は、鍼灸も試してみる価値はあるのではないでしょうか。

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