三陰交

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 鍼灸師であれば誰でも知っていて忘れられない経穴の一つは三陰交ですね。健康情報誌などにもよく出てくるので知っている一般の方も多いですね。

 三陰交は三つの陰が交わるという名前なので、脾経・腎経・肝経が交わる交会穴としても有名なところですよね。脾経・腎経・肝経の足三陰経は足先や足底から経絡が始まり、三陰交で一回交わった後に、それぞれ違う方向に向かうのですが、下腹部の中極や関元でもう一度交わります。足三陰経は精血にも関係をしやすいところで、生命とも関係をするので、お互いに協調しながら働いているということがわかります。

 基本的な用語に関しては以下を参考にしてください。

東洋医学の陰陽って何?

経絡とは何か

経絡は陰陽論が大切

経絡は何本あるかー正経と奇経

 

 三陰交はあぐらをかくような状態で刺入できるために、練習としても使いやすいので、学校の時から三陰交に鍼をすることが多いのですよね。ただ、三陰交の部位は筋肉も硬くなってしまっていることが多いので、刺入をしていくと響きが出てしまうので、嫌いな人も多いのではないでしょうか?

 

 鍼の響きは刺入技術の上手・下手によっても変わってくるので、最初のときは響きが強くでやすいですし、嫌いになりやすいのではないかと思います。私は足が張りやすいので、学生時代は三陰交が嫌いでしたね。

鍼のひびきとは

鍼の響きが出る深さ

 

 自分で鍼をよくするようになったので、響きの管理も少しはできるようになり、三陰交のところも緩んだ状態が継続するようになると三陰交は気持ちがいい経穴の一つになりましたよ。

 

 三陰交の効果としては、脾経に関係する経穴になるので、脾の働きと大きく関係をしていきます。脾の働きは、運化という消化吸収と大きく関係をするものなので、お腹の調子が悪いときには、効果が絶大な経穴になります。例えば、お腹の調子が悪いときや食べ合わせが悪かった時に、三陰交を使うとお腹の不快感が軽減するし、調子がよくなることが多いです。

 

 消化吸収に関係をするので、排便とも関係をしやすいので、便秘・下痢の症状にも使っていくことができます。どちらかといえば、脾は昇清という昇らせる働きが強いので、下痢に対して三陰交は効果的になります。下痢は身体の中から出したいというサインなので本当は出し切ってしまった方がいいのですが、お腹の調子が悪くて出てしまっているのであれば、止めた方がいいです。下痢のときには三陰交だけではなく、関元も使っていくと症状が止まることが多いですが、お灸の方が効果的だと思います。

 

 昇清は頭顔面部に栄養を送る働きがあるので、顔色が悪い、頭がボーとするといった症状にも効果が見られやすいです。

 

 女性の治療では三陰交は本当によく使われるところで、月経・排卵・妊娠・出産にも効果が高いので、女性にとっては重要な経穴なので、「婦人科疾患ならこのツボ」のブログでも紹介をしましたね。

 

 排卵・生理痛がひどい人であれば、そろそろかなというときから三陰交を刺激しておくと症状が緩和されることが多いので、症状がある前から使うと効果を実感しやすいところです。痛みが出てからも効果が見られるのですが、痛みが出る前からの方が効果をはっきしやすいので、円皮鍼を使って対処をする場合もあります。円皮鍼だけでも調整できてしまう場合がありますし、刺入で響きが出やすくて辛い場合は、円皮鍼を貼っておいて緩めてから刺入をするのもいいですよ。

 

 妊娠中に三陰交を使っていくと、女子胞を強くすることができるので、胎児の成長・発育がスムーズにいきやすいというのもありますが、三陰交はお腹にも関係をしやすいので、妊娠中に生じるお腹の張りが軽減しやすいですよ。

 

 出産は長いと何十時間もかかるもので、母親の体力を低下させてしまうので、出産前に三陰交を使っていくと出産時間の軽減にもつながるのでおすすめです。もう三陰交は女性に取っては万能ですね。

 

 三陰交を使ってみて思うのは、私は鍼が上手くないからなのかもしれないですが、お灸を使う方が効果的だなと感じることが多いので、お灸を用いることも多いです。お灸は透熱灸がいいと思うのですが、火傷が発生してしまうことがあるので、灸頭鍼を使うこともあります。灸頭鍼は鍼の効果だけではなく、お灸の力も足されるので非常に効果的ですし、逆子のときにも三陰交に灸頭鍼が効果的なので出来た方がいいと思います。

 

 三陰交は脛骨の骨際だと刺入が少なくてジワジワと効いてくる感じがしやすく、刺入をして深部の硬結を狙ったり、すっきり感を出したりするときには、骨際だと刺入がしにくいので、骨際から数ミリ離すといいですね。

 

 三陰交から腎経の方向に向けて刺入をすると、強い効果が得られると思うので、症状を大きく変えたいときには腎経の方向(アキレス腱)に向けて刺入をします。脾とということで協調して働いているので、精に対して治療をしたいときにも三陰交から腎経に向けて刺入をするといいですよ。

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