女子以肝為先天(女人以肝為先天也)

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 東洋医学の書籍を読むと「女子は肝を先天とする」という話しが出てくることがありますが、ちょっと気になったので調べてみました。

 どこに出てきているのかと調べてみたら、温病四大家の一人である、葉天子の『臨証指南医案』巻9の淋帯に書かれているのが最初ではないかと思います。中国のサイトだと、原文も読めるので、原文を少しだけ見てみましたが、内容的にはまとまっているような印象を受けました。

 

 まとまっていると言っても理解をしにくいところだと思うのですが、近年の中国の教科書や書籍のような書き方に見えるので、読みやすい単語が多いかなという印象です。といっても本格的に読める訳ではないので、本当にざっと見た程度です。

 

 先天は腎というのが基本の考え方なのは変わらないのですが、女性の場合は、月経・妊娠で血が重要になってくるために肝血が重要だという考え方ですね。現在だと疏泄として考えていくのでしょうけど、月経・妊娠には疏泄よりも肝血という考え方だったのかもしれないですし、疏泄が月経・妊娠という説はそれほどなかったのではないかと感じましたね。

 

 『臨証指南医案』の淋帯と言う部分では、男性よりも女性に病が多く、妊娠や月経に関する病がメインだという記載があり、病能としては脈が空虚になってしまうことによって病が生じてくるという説明になっているので、血が不足してしまったことによって生じてくるので、女性に取っては肝が重要だという考え方になっています。

 

 現在の考え方でいえば、疏泄が悪くなってしまったために、気の阻滞が生じてしまい、気の阻滞があると、推動作用が低下をしてしまうために、血の流れが停滞し、胞宮に血が流入しないために病が生じてしまうと考えることが出来るのではないかと思います。

 

 月経自体は血と関係をし、血は水でもあり、陰でもあるので、女性は水・陰の傾向があると考えることが出来ますね。男性の場合は、反対になるので、男性は火・陽の傾向があると考えると、男女の陰陽は身体の働きとも関係をしていると考えることができますね。

 

 今までは、肝の疏泄が月経・妊娠に関係をしているので、そのために女性は肝を先天とするという考え方だったのですが、血との関係性がもともとは重要だったのだと理解することができました。

 

 東洋医学は気の医学であるという前提に立って考えれば、身体の不調は全て気が起こしてくると考えていくこともできるので、女性も男性も病の根本的な原因は気であるという定義も当たり前と言えますね。

 

 細かく定義していことで、身体の状態を把握できることにも繋がるので、いろいろと調べてみるのも面白いですね。今は、中国のサイトで原文が出てくるので、本当に調べやすくもなりましたし、便利だなと思います。

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