急性期の痛みは遠隔で治療をする

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 ぎっくり腰、寝違え、むち打ち、打撲、ねん挫などの急性期の痛みの場合は遠隔で治療をするのもいい方法です。

 遠隔と言われてもイメージがわかない人は、経絡をしっかりと学習をして、経絡の走行を考えていくと、関連する経穴を使っていくという単純な治療になります。例えば、腰部に痛みが生じているのであれば、腰部は膀胱経・督脈が走行をしている場所なので、膀胱経・督脈の遠隔の経穴で治療をしていくことになります。

 

 流注を意識して治療をしていくのは鍼灸治療の基本であり、経絡治療(流派の経絡治療ではなく、単純に経絡を使った治療という意味です)を行っていけることになりますし、その先に応用できるようになるので、経穴と流注はしっかりと覚えておくことが必要です。

 

 体内流注まで頭に入っているようであれば応用範囲が広がっていくのですが、まずは経穴と関連する体表を覚えておけば、使っていけるので、経穴をしっかりと覚えておくことが大切になります。

 

 遠隔の治療でさらにシンプルなのは、四総穴になるので、合谷であれば顔面部、列欠であれば後頚部、委中であれば背腰部、足三里であれば腹部系疾患を見ていくことができるので、これも簡単な遠隔治療であり、経絡の走行を使った循経取穴なので、誰にでも使える方法ですね。

 

 最初の段階では効果がないと思って諦めてしまう人もいますが、刺入の深さや刺激時間、刺激量によって変わるので、何度も使っていくと使い方が分かると思うので諦めないようにした方がいいです。

 

 私は効果があまりないと思って諦めてしまって、他の場所から治療をする方法を探していきましたが、経験がついてくると、四総穴でも十分な効果があるなというのが後で分りました。深さなどのコントロールも大切ですが、切皮で変化があるか確認して、効果がないのであれば、少しだけ刺入をして、また効果の確認をしていくと適切な深さを学んでいけると思います。

 

 循経を使っていくのは単純な方法ですし、習熟すると応用もかなりきくので、使えるようになっておくことをお勧めしますね。

 

 他に遠隔を使っていく方法で簡単なのは、同名経を使う方法があるので、例えば、腰部の痛みで膀胱経の痛みだと思ったら、同じ太陽経の小腸経を使っていくことも覚えておくと、なかなか変化をしない人や症状が重い人に効果が見られることが多いので、経絡の名前は覚え続けておくことが大切になります。

 

 同名経は両手両足で四本あるので、試そうと思えば、四回使っていくことができますし、左足の痛みであれば、右足、左手、右手からも治療をしていくことができるので、シンプルな上に効果が高いのでお勧めの方法です。

 

 四回使っていけば、全体に鍼をすることになり、急激に悪化をした気血の運行を正す働きがあるので、簡単な上に便利な方法ですね。経穴はどこを使うのかというのが問題になると思いますが、五行穴などの末端部の経穴は効果が高いので最初は五行穴の中から選択をしていくので十分ではないかと思います。

 

 急性期・慢性期で郄穴・絡穴を分けていくこともできますが、まずは遠隔に慣れてからにするか、または急性期だったら郄穴と決めて使っていくのもいいと思いますよ。

 

 循経を使う方法は、経絡の痛みだけではなく、関連するときにも使っていくことができるので、婦人科疾患であれば肝・腎・脾のどこに一番問題があるのか考えておいて、対象となる経絡の同名経を使っていく方法もありますよ。

 

 反対側に行く場合は、身体のバランスで言えば、患側と逆を使うという考え方をすることもできるので、その場合は、表裏経を使って治療していくことができます。

 

 たとえば、左大腿外側に強い痛みが合った場合に、そこが短縮しているようであれば、身体のバランスを取るために、反対側の大腿内側に短縮が生じている場合があるので、経絡で言えば、胆経の拘縮に対して反対側の肝経を使っていくと考えると、反対側表裏経という使い方もしていくことができます。

 

 こうやって、遠隔を使っていくための理由を作ることにより、様々な場所から治療をしていくことができるのですが、あまり手を広げすぎてしまうと、自分で何をやっているのかというルールが無くなってしまうので、最初は循経、同名経を使っていくようにして、表裏は次にするのがいいと思いますね。

 

 自分の中でルールをしっかりと決めて使っていかないと、何が効果があって、何が効果がなかったのかが分からなくなるので、どこまでを使うかは決めておいた方がいいと思いますよ。

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