情志は七情であり感情とも言えるものですが、情志は心と肝の働きによって管理をされています。
情志は七情とも言えるので、喜怒憂思悲恐驚の7つの感情と言えるのですが、七情は五行に分類をしていくことができるので、各臓腑と関係をすると言えます。この考え方からすれば、情志は各臓が管理をしていると言えます。
情志は細分化すれば七情ですが、広義で考えていくと、精神活動として考えていくことができるので、精神活動の根本であり、中心は心になるので、情志は心が重要だと言うこともできます。
心は神志という働きがあり、神との関係が大きいところなので、生きているのには身体が存在しているだけではなく、精神の存在も重要になってくるので、生きているという状態に関係をしています。
心は心包によって包まれていて、心は神志で精神の根本であり、心包が感情を出すところにもなるので、情志には心包も関与をしていると言えます。神は精神とも言えるし、こころとも言えるし、生命とも言えるもので、感情は精神活動、こころ、生命によって成り立ってくるので、神との関係が密接になります。
神ということであれば、元神の府と言われるのが脳であり髄海になるので、脳も情志に関係をしていると言えます。心と脳との関係を考えていくときに、どちらも神との関係があるのですが、心が血を脳に送り、脳が神を蓄えているので心の神志を補うこともできるので、脳と心は相互に助け合って存在していることになります。
精神がある状態から感情が出てきて、感情はあふれ出てきてしまうので、管理・調節が必要になるので、情志が外に出ていくための管理調節は肝が行っていくことになります。
怒る、笑うなど、心の内奥で発生した感情をスムーズに外に現していく、または状況によっては感情を抑える働きが肝にあるので、心と肝の働きは相互にバランスを取って働くことが必要になります。
気は身体を動かす力ですが、血は精神を栄養する力になるので、心と肝は互いに血に関係をしているので、協調して働くことで、精神に栄養を与え、スムーズな感情発現に関わっているので、情志は心と肝によって管理されていると言えます。
心や肝の血が不足をしてしまうと、精神をスムーズに働かせることが出来なくなってしまうために、精神に問題が生じてしまうのですが、血の異常から情志の異常が発生することもあります。
通常は肝の働きである疏泄が失調をしてしまうことで、情志の抑うつが生じてしまい、うつになってしまうと考えるのですが、心肝の血異常によって発生することもあります。
肝の疏泄が問題になって生じる場合の考え方は、肝の働きは疏泄・蔵血があるのですが、疏泄は気、蔵血は血に対して働きかけるものだと考えていくことができます。疏泄が失調してしまうと、気の働きにも障害が発生してしまいます。
気の働きには推動作用が血の運行を行い、気化作用によって気血津液の生成、精から血への化生を行うのですが、疏泄の失調によって、気の働きが低下をしてしまえば、血にも問題が発生をしてしまいます。
結果だけを見れば、肝の疏泄の失調によって、情志の調節が悪くなってしまったので、気滞が原因として考えていくことが出来るのですが、病能として考えていくときには、精神が絡んでいるときには血のことも頭の片隅に入れておくのが必要になります。
情志の問題は、心、心包、肝、血だけではなく、熱の影響があるかどうかを考えていくことも重要になります。
外が熱い場合は、身体に熱を加えてしまうことになりますし、身体の中に熱が存在している場合は、熱が存在している状態になってしまいますが、熱は炎上性があるので、元神の府である脳、五行では火であり、上焦という身体の上にある心に影響をしやすくなります。
熱が脳、心に影響をしてしまうと、神を安定させることが出来ないので、情志も不安定になりがちになります。例えば、あまりにも熱いときだと、落ち着いていることができないですし、イライラしてしまいますが、これは熱が心と脳に影響をしてしまったと考えていくことができます。
熱の影響は臓腑だけではなく、気血津液にも影響を与えてくるのですが、熱は血に入りやすく、血熱の状態になると、血の流れが加速をしていきます。血の流れが加速をすると、神であり精神にも栄養が多く与えられていってしまうので、覚醒状態が強くなってしまいます。
津液は熱によって損傷をしやすいのですが、津液が損傷をすると、血の構成成分が不足をすることになってしまうので、血の不足も発生しやすくなるので、心、肝、脳、神にも影響が発生をしていきます。
東洋医学では一つの物事を一つの方面から考えていくだけではなく、いろいろな影響を考えていくことができるのですが、初めはシンプルに考えて、慣れてきたら、臓腑はどうなっているのか、気血津液はどうなっているのかを考えていくと東洋医学的な考え方を理解していけるようになると思います。