痰湿は身体に停滞をしてしまうと様々な病能を起こし、陰陽バランスを失調してしまえば、冷えが生じてしまうことがあります。
痰湿は身体の水が停滞をしてしまったものとして考えることが出来ます。水の停滞は、湿→水→飲→痰という順番で濃くなっていく性質があります。痰湿というのは、水が停滞して、身体の問題を起こしているという意味で考えるのがいいですね。
痰湿は、飲食と関係をしやすいので、油っこい物、甘い物、味の濃い物を食べると停滞しやすい性質があるので、日常生活では飲食に注意をしておかないといけなくなります。痰湿は脾の働きが低下をしてしまうと、体内の水の生成異常、循環異常になってしまうことになるので、脾の働きが弱くなってしまった場合にも発生をします。
脾の働きは飲食と関係をしやすいので、飲食の時間やバランスが崩れてきた場合にも脾に問題が発生をしてしまうことになります。
運動や休み過ぎるという状態でも脾の働きを低下させやすいので、運動し過ぎ・休み過ぎという労逸(労倦と安逸)では、脾の働きを低下させ、痰湿を発生させてしまいます。
臓の概念を除いて気血津液で考えていくと、身体には気血津液が流れていますが、運動と休養を繰り返すことで、気血津液の循環を行っているので、過度な運動は、気血津液を消耗させてしまうことで、流れが悪くなり、痰湿を発生させてしまいます。
身体を動かすことで気血津液の循環を助けてもいるのですが、運動をしない状態になると、気血津液の循環が低下をして水の阻滞となる痰湿となってしまいます。
身体を動かす・休むという労倦と安逸は、脾の働きと関係をすることが多いのですが、臓の考えを除いて気血津液との関係でみると、痰湿が生じるようであれば、気滞や血瘀が発生をする可能性があるので、身体を動かし、休めるというのは非常に大切なことになるのですよね。
東洋医学では、導引という運動療法(体操)が勧められていますが、身体を動かすことが気血津液を動かし健康になるという理由です。
身体に痰湿が停滞をしてしまうと、痰湿は障害物として存在をしている状態になってしまうので、正常な気血津液の運行を妨げてしまうので、気血津液が十分に巡ることが出来ずに冷えが生じてしまいます。
末梢は身体の末端であり、気血津液の運行も勢いがないところなので、不要物も貯まりやすい傾向にあります。そのため、痰湿は、末端に送られたまま、戻ってくることが出来なくなるので、末梢の冷えが生じてしまいやすくなります。
身体の構造は、皮が外側にあり、内側に骨が入っている状態ですが、湿は重濁・下注性という性質があるので、深部にもぐっていってしまいやすいですし、気血津液が内側から外側にこようとする邪魔をしてしまうので、体表に冷えが生じてしまいます。
この状態だと気血津液は身体の内部・中心にしか流れていかないので、末端・体表は気血津液が十分な量がいけないので、冷たい感じになってしまいます。阻滞が長期化してしまえば、痰湿の熱化、身体の内部の停滞の熱化になるので、熱を帯びてしまうこともありますが、痰湿の停滞の初期では冷えが生じていると言えます。
痰湿は、元が水であり、陰に分類を出来る物なので、身体の陽を抑えて弱めてしまう性質があるので、陽気が損傷してしまい、冷えが生じる陽虚を発生させてしまいます。
痰湿の停滞によって陽虚になる場合は、身体の持っている力が弱く、痰湿に負けてしまった状態として考えていくこともできますね。
痰湿の停滞によって熱が発生してしまう場合は、身体の気血津液の循環する力が強いのですが、それ以上に痰湿が強ければ、外が実、内も実になってしまい、ともに熱化になってしまうことがあります。言うなれば、これは身体の中の邪正闘争の結果、痰湿という陰の病態から、熱という陽の病態に変わったということになりますね。
痰湿からの冷えという話しはあまり見ることがないですし、冷えとあると陽虚と考えてしまうのが多いですが、陽虚で治療をしても改善をしない場合は、痰湿を考えていく必要がありますね。
陽虚以外でも冷えを起こすものがあるので、これはまた次回に書いてみたいと思います。