東洋医学的な鍼灸治療のはじめの一歩

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 東洋医学的な治療を行おうとした場合に、気血津液はどうなっていて、臓腑だとどこの問題なのかと考えることが必要なのですが、それだと知識を十分に理解していないと使いこなせなくなってしまいます。

 知識は使わないと、経験にもならないので、東洋医学的な治療を行おうとしている人から取ってみれば、どんどんと低下をしていってしまいます。どんな資格でもそうですが、国家試験前は一番知識が充実していて、卒業するとどんどんと低下をしていきます。

 

 もちろん、知識が低下をしてしまうのは問題なのですが、試験用の知識と現場の知識では解離があるので、使う物だけより詳しくなって、使わない物は忘れていく自然なことですね。

 

 細かい用語を覚えて行おうとしても、考えているのに時間がかかってしまうので、局所の現代医学的な考えだけで終わりになってしまうことが多いと思います。

 

 東洋医学は、身体の中に臓腑があり、気血津液が流れていると考えていくものなので、はじめの一歩としては、何かが流れているとイメージをして治療をするのが楽だと思います。

 

 例えば、腰痛や肩こりだったとしても、のぼせが少しあるようであれば、気血津液が上に集まり過ぎているのではないかとイメージするだけでも治療を考えていけませんか。

 

 上に集まり過ぎているから上から取るようなイメージで治療をする、上が集まっているのは下が空っぽになってしまっているから下から治療をすると考えていくだけでも、上下で治療を分けてみようかと考えていくことができます。

 

 どういったツボを使うのかということに関しては知識があった方がいいですが、有名なツボはいろいろな状況で使えるので、上なら百会、天柱、風池、下なら湧泉、三陰交、足三里でいいと思います。

 

 東洋医学の考え方では、不通則痛・不栄則痛という考え方があるので、症状が出ている場所、不調を感じている場所は気血のめぐりが悪いので、不通則痛・不栄則痛が生じていることになります。

 

 例えば、食欲が少し落ちた状態であれば、お腹の気血のめぐりが悪い状態になっているので、上下から気血を流す、ひっぱることを行うか、局所を狙ってつまりを取るのかと考えるのもいいですね。

 

 気血を流す、ひく、つまりというのはあくまでイメージなので、実際に流したり、引っ張ったりしている訳ではなく、治療の中でのイメージになります。

 

 どこを使っていくのかという正解はないので、治療をしていくときに、身体の状態を観察しながら行っていくのは、知識から治療を考えた場合も同様なので、イメージで治療を組み立てたとしても、顔色や表情などを確認しながら治療を続けていくのがいいですね。

 

 治療がどこで終わりにするのかというのが分からなくなるので、最初のうちは、鍼をするのであれば、3か所まで、刺入の深さは2cmまで、置鍼を使う場合は10分までというように決めておくとやりすぎになることを防げると思います。

 

 身体と寒熱という概念を入れるのであれば、熱は上に行きやすく、寒は下に行きやすい性質があり、上はのぼせ易いので、悩んだときは下から治療を行っていくようにすると脳貧血や瞑眩(めんげん)は防ぎやすいと思います。

 

 こういった治療をしていくと、気血を動かした方がいいのであれば、疏泄は気血に関係をしやすいので、気血を動かす場合は、肝がいいのだろうなと考えていくと、イメージと臓腑の生理機能が一致をしていきます。

 

 気血が不足をしているから補うというのであれば、気血生成を行う脾に対して治療を行う、生命力が低下をしているのではないかと思うのであれば腎を使うというように臓腑のイメージと身体を流れている気血津液のイメージを組み合わせていけるようになれば、何となくこうしていこうかなという道筋ができますよ。

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