東洋医学の五季(五時)と日本の季節

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 東洋医学では五季という季節の分類方法があり、春・夏・秋・長夏(ちょうか)・冬という分け方があります。この五季は中国の気候をもとに作られているので、日本の季節と少し違いがあります。

 東洋医学では、季節は自然が作り出した力であり、人は自然の影響を受けるので重要な概念になっているのですが、中国と日本の気候風土が違うのですが、距離的に近く、同じアジア人なので、そのまま用いられていることが多いですが、今回は中国と日本の違いに焦点を当てて書いてみたいと思います。

 

1.長夏とは何か?

 長夏は東洋医学の独特の概念で、湿度がある季節のことになります。長夏は表現の仕方から3つに分類できるのではないかと思います。

 

①夏の次の季節が長夏

 季節は中国も日本も同様に、春から始まり、夏、秋、冬と変化をしていきますが、夏と秋の間のことを長夏と呼びます。長夏の季節は実りとも関係し、湿度が高い傾向がある季節になります。日本で言えば、秋の話しと関係をしていますね。この考え方はよく使われているものなので、一般的と言えます。

 

②土用のことを長夏

 各季節には変化をしていく時期として土用という概念があります。土用は各季節の間で立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間のことを指します。季節の変化はいきなり訪れるのではなく、徐々に進行をして次の季節になるので、変化をしていく時期を土用と呼び、長夏と表現することがあります。この考え方だと長夏という単語を使うのは夏に関係するところでしか使えないので、あまり言われないと思います。

 

③土用の一つ

 ①と②の考え方を併せたもので、夏の次の季節で、土用の時期を長夏と表現をすることがあります。夏の後のことでもあり、土用のことでもあるので、長夏は土用という表現を使う場合は、こちらのことを指すことが多いですね。

 

④土用の丑の日

 土用の丑の日にうなぎを食べるという習慣がありますが、これは江戸時代に定着をした考えで、通説としてウナギ屋がうなぎを売るために平賀源内が作ったという話しがあります。土用は季節が変化をするときであり、身体の状態が不安定になりやすいので、どちらかというと、素食にして身体に負担をかけない方がいいとは思いますけどね。

 

2.中国と日本の長夏の違い

 中国と日本は気候風土に違いがあるので、長夏と言っても、日本で同じような季節があるのかというと疑問になります。中国は広大な大陸であり、南と北では気候にも大きな違いが出てくるので、日本と同一視をしていくのは難しいと思います。

 

 日本の場合は、四方を海で囲まれた状態になっているので、気候としては湿度の影響が絶えず関係をしやすいと思います。日本の夏は湿度が強いので辛いですが、大陸の夏は湿度がそれほど高くないので、日差しがきつくて、気温が高くても、日本よりは過ごしやすいことが多いです。

 

 長夏は湿度が関係をするということなので、中国の主要都市の湿度を見てみると、広大な国なのでばらつきが非常に大きいです。6~9月は他の月に比べて湿度が高い傾向がありますが、平均すると大体、1月が65%、2月が58%、3月が57%、4月が59%、5月が57%、6月が67%、7月が70%、8月が72%、9月が70%、10月が68%、11月が63%、12月が57%になります。

 

 日本の湿度の平均は1月が45%、2月が52%、3月が52%、4月が56%、5月が62%、6月が75%、7月が74%、8月が74%、9月が68%、10月が67%、11月が63%、12月が55%になります。

 

 平均なので正しいかどうかは分かりませんが、中国と日本を比べてみると、6~9月は大きな違いがないですね。代わりに目立つのが日本の1月は湿度が低いので、東洋医学の秋が乾燥の季節としていますが、日本の場合は、冬に乾燥が強いと言えますね。そう考えると東洋医学の考え方を使っていくのは当てはまらないと言えるのですが、今まで使っていて変更をされていないので、大きな問題にはならないのでしょうね。

 

3.日本の五季(五時)と五気

 東洋医学では五季は春・夏・長夏・秋・冬であり、季節に強い気候は五気と言われ、風・暑(熱)・湿・燥・寒になり、それぞれの季節と五季と当てはめられているのですが、燥は日本では冬に影響をするのが違いと言えますね。

 

 ただ、これも今まで燥邪は秋で使ってきて変更が加えられているものではないので、大きな問題はなかったのだろうと思います。経験として冬は乾燥をするというのは多くの人が知っていることですが、年間湿度から見ると、やはり冬は乾燥が強いのですね。

 

4.まとめ

 今回は、中国と日本の気候と季節の違いという点で書いていきましたが、中国は広大なので、中心都市、沿岸部、内陸部ではまた違いが出てくるので、本当の由来や意味というのを調べていくのには、まだまだ不十分ですね。

 

 気候・季節は国によって違うので、中国と近いインド北・西部では春・夏・雨季・秋・前冬・冬というように6つに分けているようです。インドの南部と東部ではまた違うので気候は環境によって違いが出ますね。日本も細かく分ければ、春・梅雨・夏・秋・冬という季節の使い分けがあるので、概念と現実は都合よく分けて考えるのもいいのではないかと思います。

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