肝気上逆と肝気横逆

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 肝気上逆は頭痛やめまい、イライラと関係をしやすく、肝気横逆木克土とも言われ、脾胃の働きの異常である下痢、便秘、悪心、嘔吐、腹痛、食欲不振が発生していくものです。

1.肝気上逆

 肝気上逆は、気逆証の一つであり、肝の働きが失調により発生していきます。肝の働きの失調と言っても、上に症状が強く出てくるので、肝の熱の病態と関係をしやすいものになります。

 

 肝の熱の状態には、肝火上炎と肝陽亢進の二つがあります。肝うつ気滞から生じるのが肝火上炎で、肝血虚が進行し、肝陰虚となり、肝陰虚から生じるのが肝陽亢進になります。肝火と肝陽は元の状態に違いがあるので、しっかりと鑑別をしておかないといけないものになります。

 

 肝の働きには条達・昇発という性質があり、上に昇っていきやすい性質があるので、熱に移行をしやすく、頭顔面部に症状が生じやすいので、頭痛・めまいは肝気上逆と表現されることがあります。

 

 肝気上逆と言うと、弁証になるのですが、本質的な原因や状態までを現す訳ではないので、肝火か肝陽かを鑑別する必要があります。何故、このような紛らわしい話しがあるのかと言えば、「めまいや頭痛は肝の場合が多いよね」というような意味として肝気上逆という表現があるという認識でいいのではないでしょうか。

 

2.肝気横逆

 肝の疏泄が失調をすると、気滞が生じますが、気滞は気の阻滞が一か所で生じてしまうので、停滞が大きくなると、膨らんでくるイメージから、他の臓腑の機能障害を発生させてしまいます。

 

 肝の疏泄は脾胃の働きにも関係をしているので、気滞が悪化をすると脾胃のも影響を及ぼしてしまうことがあり、この状態のことを肝気横逆と呼んでいきます。肝気横逆は肝が脾胃を障害してしまうので、五行でいれば、木が土をだめにしてしまうので、木克土の状態と言われます。

 

 肝気横逆では「横」という単語が入っていますが、上中下焦の分類では、脾胃は中焦で肝は下焦ですし、臓腑の脊柱との付着部位との関係で言えば、肝は第9胸椎で脾は第11胸椎なので、肝と脾は「横」にはないのですけどね。

 

 気滞の症状としては、胸脇苦満や腹部の張りが生じることが多いので、症状としては食欲、軟便、下痢と近い場所になるので、横逆でも構わないですね。現代医学的な解剖学の知識を加えれば、「横」でも問題はないのですが、東洋医学のそのまま使えるのかなという疑問がありますね。

 

 肝気横逆は脾胃への影響ということになるのですが、脾に影響が大きい場合は肝脾不和、胃に影響が大きい場合は肝胃不和と表現をされ、生じている症状から肝脾不和・肝胃不和を分けることになります。

 

 脾の症状が出たり、胃の症状が出たりして定まらない場合は、肝うつ気滞で肝気横逆が生じていると考えておけば、脾か胃の症状があるということも分かるので、治療のイメージがしやすくなるのではないかと思います。

 

3.肝気上逆と肝気横逆の治療

 肝気上逆は肝火と肝陽の二つの場合があるので、どちらが原因なのかを考えていくことによって、治療方針が大きく変わっていきますが、肝火から生じた肝気上逆であれば、気滞が原因ということが分かるので、同じ気滞が原因の肝気横逆と治療は同じになります。

 

 違いとしては、肝気上逆は気滞から上逆したのであれば熱が発生していることが多いので、熱を取る治療を考慮しなければいけないですね。

 

 肝気横逆の場合は気滞の治療ということでは、気滞による肝気上逆と同じになるのですが、脾胃を阻害しているというのが違いになるので、肝気横逆の場合は脾胃の治療を考える必要があります。

 

 肝陽から生じた肝気上逆の場合は、陰虚に対する治療を加えないといけないので、陰陽の根本である腎を治療で加えていく必要があります。

 

4.まとめ

 肝気上逆も肝気横逆も似たような弁証で間違いやすいですが、最初の内は混乱をしやすい弁証名だと思います。慣れてしまえば、非常に便利な物として使っていけるので、肝気上逆・肝気横逆はしっかりと理解をしておいた方がいいと思います。

 

 私は理解できるまで、どのぐらいかかったのかは恥ずかしくて言えないです。

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