肺・脾・肝の相互関係―昇降との関係

Pocket

 臓腑は相互に協調して働くことによって生命現象を成り立たせていて、気が循環していることが必要になりますが、気の循環に関しては、肺・脾・肝の協調関係が大切になります。

 それぞれの協調する働きを理解することが病証を理解することに取っても大切なのですが、それぞれの臓の持つ働きを理解していないといけないので、最初に各臓の働きについてまとめていきます。

 

1.各臓の働き

 肺の働きは宣発と粛降と言われ、気や津液を全身に輸送し、排泄に向かわせる働きがあるのですが、五行で考えていくと、金に属するので従革という縮む性質の収斂という働きがあります。肺の働きを五行で考えていくと、縮む・下降が主の働きになります。

 

 脾の働きは運化・昇清・統血と言われ、飲食物の消化吸収と輸送、内臓の位置調節にも関与をしています。脾は胃と協調して働くのですが、脾は昇、胃は降という上下の働きがあるので、脾胃という中焦の働きでは昇降バランスが均一な状態になっています。

 

 肝の働きは疏泄と蔵血と言われ、情志(じょうし:感情)や全身の気に働きかける性質があります。五行で考えていくと、木に属するので曲直という昇の性質があるので、肝の働きは上へ昇ると言えます。

 

2.3臓の関係

 身体の中央である中焦には脾胃があり、脾胃は昇降の働きをそれぞれ持っていますが、相互にバランスを取りあっている状態になるので、脾胃の昇降は肺・肝の昇降の影響を受けることになります。

 

 肝は脾の昇を助け、胃の降を阻害し、肺は胃の降を助け、脾の昇を阻害すると言えますが、相互に協調しあうことによって、昇降バランスを保つことになります。

 

 脾の昇を強くするためには、肝の昇が必要になりますし、同時に胃の降を弱くするために、肺の降を低下させる必要があります。と言っても、昇の働きは上にいきつけば下に落ちる働きになるので、昇の働きは降を助けていると言えます。

 

 3臓の関係という話をしましたが、実際は、肺・脾胃・肝の相互関係になるので、3臓1腑の相互関係になりますね。

 

3.肺・脾の関係

 肺と脾は五行で言えば、相生関係になりますが、脾の働きによって生成された気・津液を受け取り、全身に輸送する働きがあるので、機能は連携しています。

 

 肺と脾の働きは気の生成と輸送、津液の輸送で協調して働いています。ともに低下をする場合は、脾肺気虚(両虚)の状態が発生をすることがありますが、気の不足が強いので、身体のだるさ、呼吸に勢いが無くなる傾向があります。

 

 気の種類で言えば、肺は宗気を生成し、脾は衛気・営気の生成に関与をしていますし、後天の精を生成していくことで、元気の生成にも関与をしています。身体の気はこの2臓が大きく関与をいているので、気との関係が密接な臓と言えます。

 

4.肝・脾の関係

 肝と脾は相克関係であり、肝の疏泄は脾胃の働きにも関与をしているので、肝の働きが失調してしまえば、脾胃の働きに問題が発生をしてしまいます。

 

 通常は肝鬱気滞となり、停滞した気が行く場を失い、脾胃に影響が出てしまうので、肝気横逆と呼びます。肝気横逆は脾を障害した場合と胃を障害した場合に分けることができるので、それぞれ肝脾不和、肝胃不和という弁証があります。

 

 この2臓の関係は働きで言えば、血ではなく気と言えるので、肝と脾は気でも関係すると言えますね。

 

5.肺と肝の関係

 肺は上焦にあり下降と関係し、肝は下焦にあり上昇と関係をするので、協調して働いているときは、上昇は下降を助け、下降は上昇を助けているので上下に気が循環していくことになります。

 

 肝は昇りやすい性質があるので、肝気のうっ滞が生じてしまうと熱化により、より上昇する力が強くなってしまうために、肺の降の働きを阻害してしまうことがあります。

 

 弁証名としては肝火犯肺になるのですが、肺の降の働きが低下をしてしまったことにより、肺気上逆が強く生じます。状態としてはストレス性の咳嗽は肝火犯肺の可能性が高いことになりますね。

 

6.まとめ

 各臓腑の働きは独立しているだけではなく、協調して働いているので、お互いに助けあっているのですが、状態が悪くなると、他の臓腑にも影響を与えてしまいます。

 

 他の臓腑に影響が行ってしまった場合は伝変・波及という言葉で説明をされていくのですが、治療においては予後を考えていくためにも伝変と波及については知っていた方がいい内容ですね。

 

 伝変や波及は臓腑の性質によって決まってくるので、臓腑の基本を理解しておけば、想像することが出来るので、基本の学習が大切になってくると思います。

Pocket