脾と湿の関係

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 湿邪は、脾の働きを低下させやすい外邪と言われ、脾の働きが低下をすると痰湿を生成させてしまうので、湿邪によって脾の働きが低下すると、体内で湿が生成されてしまい、より脾の働きが低下することになります。

 脾と湿邪の関係は、どちらが先に問題になっているのかを考えていくと非常に難しいところになります。湿邪は気候と関係をしていますが、飲食も湿邪と関係をしやすく、飲食は脾と関係をしやすいので、湿邪をためないようにするためには飲食に注意をする必要があります。

 

 脾は燥を好んで、胃は湿を好むという性質の違いがありますが、脾胃は中焦という同じ場所にあるので、湿が適度で胃に影響する必要がありますが、脾に対しては悪影響になるので、摂取をしていくバランスは大切になりますね。

 

 気候で考えたときにも、湿が少ない状態だと、脾にはいいですが、胃にはよくないことになってしまうので、日々や年間の中でバランスが取れる環境が身体に取っては過ごしやすいと言えますね。

 

 脾胃について学習したときに湿邪があると、脾の働きを低下させるということはすぐに頭に入ったのですが、今までは湿は脾の働きでは運化の低下を起こすと思っていたのですが、実は昇清の低下が中心で、結果として運化の機能障害を起こしているのではないかと思うようになりました。

 

 何故、このような考え方になったかと言えば、ブログを書いていく中で、臓腑、外邪、環境の働きを考えて文章化していってみると、東洋医学では気血津液が循環をしているというのが前提にあり、循環をしているということは、気機(気の働き)が重要だというのに気がついたので、脾と湿の関係も気機から考えていくべきなのではないかと思ったからです。

 

 脾の気機は運化という生成や輸送の働きが大切になるのですが、胃とのバランスの中では、昇の性質を持つもので、昇の性質があるから、脾胃で生成された気血津液が全身に輸送していけるベースになると考えられるので、脾の本質として大切にしなければいけないのは昇ではないかと思いました。

 

 中焦の気機は脾が昇の性質があり、胃は降の性質があります。この昇降が働くことで、上焦・下焦との連携もスムーズにいき、飲食物は下降し、影響は上昇し、全身に輸送されることになります。

 

 湿邪は津液や水と関係をしやすいもので、水は陰陽では陰に属し、下降する性質があるので、湿邪が脾胃に働きかけると、脾の昇を低下させ、胃の降を亢進させる働きがあると考えることができます。

 

 考えてみれば当たり前のことなのですが、湿邪と脾胃との関係の根底を理解せずに今まで覚えていたのだなと最近になって気がつきました。

 

 脾は燥の状態の方を好むということですが、燥は陰陽で考えると陽であり、陽は昇の性質があるので、脾は昇が重要なのだということが分かります。

 

 外邪だけではなく、いろいろな物事を気機という身体に働きかける方向として考えていくと、いろいろなことが整理されてくるのかなと思います。そう思っていたら、七情には気機に対する働きかけがあるので、昇や降などの表現も見られてくるので、やっぱり気機が大切なことなのだなというのがようやく理解していくことができました。

 

 まだまだ、私の中では完全に消化された訳ではありませんが、「気機」というのをもう少し考えていきながら、東洋医学の考え方を見直してみることが今後は必要なのかなと思ってきました。

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