初心者のときには治療はどのようにしていこうか悩むことが多いと思いますが、臨床の経験が出てくると、治療はシンプルでもいいのではないかと思うことが出てくるのではないでしょうか。
身体の状態をしっかりと考えて、適切なツボが見つかって、適切な刺激量を行うと、治療している側も驚くぐらいの効果が出るときがあるので、治療妙味がありますが、治療している側は楽しくても、それが本当にいい治療なのでしょうか。
こういった治療では、知識が必要ですし、技術も重要になってきますが、そこまで到達するまでにどれぐらい時間がかかるのでしょうか。
そういったことを考えると、治療は出来るだけシンプルな方がいいでしょうし、理論も単純な方が治療していく側からすと非常に楽なのではないかと思います。例えば、全身調整で治療していくことで自然と身体の状態がよくなっていく治療が身体にも負担をかけずに、治療する側も楽でいいのではないでしょうか。
全身調整に関しては、過去のブログでも書いているので参考にしてみてください。
「全身調整穴」
東洋医学の考えは、臓腑の機能によって気血津液が身体の中をめぐっていることで正常な状態が保たれていくという考え方になり、全身には経絡が存在しているので、どこかに加えた刺激は、気血津液や経絡を介して全身に影響することになります。
私の治療は、脈やお腹の状態を診て、鍼灸で治療する場合、手技とマッサージを併用する場合、マッサージのみの場合があり、いろいろな治療をしている状態になるのですが、同じ人間が治療をしているので、多少の差はあっても、長期の期間で考えれば同じような効果を発揮するのではないかと思うようになりました。
治療をしているときには、鍼灸や手技を使い分けしているし、鍼灸を使った方がよい場合があると言えるのですが、同じ人の治療を鍼灸治療のみ、手技治療のみ、鍼灸と手技治療混合の場合で比較をしたことがないですし、比較が出来ないので、本当のところはどうなのかなと疑問です。
最近、治療の中で、手技のみの人、鍼を使う人で、たまたま下腿に多く治療をする機会があり、数年の経過を見ているのですが、どちらも腰背部痛は軽減し、お腹も強くなってきているので、結果としては同じ状態になっています。
こういった経験が何人かで経験をすると、治療自体は拘る必要がないし、もっとシンプルにしてもいいのではないかと思うようになりました。
そこで、2年程度の実験ですが、自分を含め下腿を徹底的にゆるませるという治療を行っていったのですが、下腿がしっかりと緩んでくるだけでも身体の状態は大きく改善することが多いなと思うようになりました。
脚は身体を支えているもので、立っているときには脚に負担がかかりますし、座っているときには血流が低下をしやすく、寝ているときには血流がいきやすいですが、心臓から離れているので、循環は低下をしやすい場所になります。
冷えである寒邪は下部から侵入をしやすいものなので、足元が冷えることが多いですし、気付かない程度の冷えによっても脚が冷えてしまうことがあります。冷えと関係する寒邪は東洋医学では気血の流れを悪くすると考えるので、冷えがあれば下肢の気血の流れが悪くなってしまうことになります。
足三陰経は、肝・腎・脾と重要な物が多く、腑は下合穴で治療できるので、腑に対する治療も全て下肢で治療していくことができます。
以上の点から下腿だけを徹底的に緩めるような治療をしていけば、気血の循環がよくなり、臓腑機能が高まるので、身体の状態は変化をしていくのではないでしょうか。
もちろん、下腿だけを狙う場合もポイントを狙っていくのはいいのではないかと思ったのですが、「質より量」で治療をすることも可能なので、とにかく刺激量を増やすのもいいのかなと思いました。
ただ、下腿を徹底的に緩ませると、数日は下腿に筋肉痛のような感じが発生することが多いので、治療の次の日に長く歩くような場合は使えないですね。それでも刺激量に注意をして残らないように調節していけば、継続した治療として考えることもできるので、今後も注意をしながら使ってみたいと思います。
治療は経験、知識、アイデアが大切になるので、今後は違う考え方になるかもしれませんが、ここ数年は下腿に注目をしているので、今後もしばらくは続けると思いますね。
治療をする上では、最初は経験がないので知識から治療を考えだすことが大切で、そのうち、経験によって、いいか悪いかが分かるようになり、その先に違う治療のアイデアが出てくることがあるので、今後も知識を貯めて、経験し、アイデアを練っていこうと思います。