頭部のお灸のやり方

Pocket

 頭は髪の毛があるのであんまりやることがないですし、学校でもそれほど練習する場所ではないので、行える人は少ないかもしれないですね。

 患者さんに頭部のお灸をしていいか尋ねると、「髪は?」という疑問が出ますが、「その場所がはげます」と回答しています。もちろん、それだけだと、口をあんぐりと開けて固まってしまうので、5mm四方程度ですと伝え、自分も何度も行ったことがあると説明しています。

 

 痕が残っている状態であれば、こんなものかという感想になるようですし、痕が残っていなければ、残らないのだと思って頂けることが多いですね。今回は、そんな頭部のお灸について書いてみたいと思います。

 

1.頭部のお灸のやり方

 頭部のお灸のやり方は道具によっても違うので、道具毎の説明をしていきますが、個人的には、直接透熱灸を行うのが一番好きですね。

1)直接灸

 艾炷を直接のせて行う場合は、髪が邪魔になってしまうので、お灸を行いたい場所に灸点を付け、その場所が髪の分け目となるようにヘアピンを使って分けた髪を止めます。あまり狭い範囲で止めてしまうと、手を置きにくいので、自分の四指が置けるぐらいの広さは確保した方がいいです。

 

 ヘアピンでしっかりと分けると灸点が見えますが、頭髪があるので、皮膚面に直接艾をのせることができないので、灸点上の髪の根本付近に置くことになります。1壮目で髪の根本が燃えます。

 

 柔らかい半米粒大であれば、髪の根本は坊主のように非常に短く残っているのですが、大きくて硬い艾炷を置いてしまうと、皮膚の火傷も大きく生じてしまうことになるので、艾炷のコントロールはできないといけないです。

 

 1壮目が燃え切ると灰になりますが、その灰の上に2壮目をのせていくので熱感が生じにくくなることもあるので、灰の貯まり具合、熱感を訊ねながら大きさや硬さを調整することが多いですね。

 

 多くの場合は、1壮目は髪であまり感じにくく、2壮目でしっかりと感じて、4壮目ぐらいから少し感じにくくなることが多いのですが、相手の感受性によって変わるので、どのような感じ方をしているのか聞きながら行っています。

 

2)道具を使う場合

 頭部に行う道具では棒灸が比較的やりやすいのですが、棒灸を近づけ過ぎると髪を燃やしてしまうことになるので、注意をしないといけないです。他には箱灸を使っていくこともできますが、その場合は座位でないと行うのが難しいですね。

 

 灸点紙を使用して行うこともできるのですが、頭髪の長さによっては頭皮からお灸が浮きすぎてしまって熱を感じることが少なくなってしまうので、火が燃え終わる頃には灸点紙を押しつけなければいけないので、自分が熱いですし、やりにくいと思います。

 

2.頭部のお灸の注意点

 注意点としては、まずは頭髪がある場所なので、お灸を釣り上げて落としてしまうと、他の部位の髪が焼けてしまうので、火の取り扱いには注意が必要です。線香で点火をするときにもずれてしまえば、髪を焼いてしまうので、道具の取り扱いは体表以上に注意をしないといけないです。

 

 のぼせやすい体質の人は、頭部にお灸をすることで、灸あたりになってしまうことがあるので、普段の体調をしっかりと尋ねておいてから行う方がいいですね。大丈夫だと判断して行う場合でも、1壮行ったら身体の状態を確認し、壮数を重ねていくときにも確認していった方がいいですね。

 

 頭部でお灸を行うと、頭髪に艾と線香の臭いが染みついてしまうので、治療を受けてからどこかに出かけることがないかも尋ねておいた方がいいでしょうね。電車などに乗る場合は、周囲へ臭いが出ると気にする人もいるので確認しておくといいかもしれませんね。

 

3.頭部のお灸の使い方

 頭部のお灸は頭部付近に症状がある場合に使用することが出来るので、頭痛、めまい、たちくらみ、鼻疾患、目疾患、耳疾患、頭がぼーとするなど多くの症状の時に使用されています。ただし、先ほど書いたように、のぼせやすい体質の人は使わない方がいいですね。

 

 頭部にお灸を行っていくと、顔面部の気血の流れがよくなると考えられるので、顔の血色がよくなることも多いので、美容鍼灸の中でも使用できそうですが、臭い・手間・技術・頭髪が焦げるという状況があるので、使用する人は少ないでしょうね。

 

 百会は気血を昇らせる働きが強いと考えられるので、脾の昇清作用が低下している場合には、百会を使用するのがいいと言われるので、胃下垂・脱肛・子宮脱などの気陥証が発生しているときにいいですね。上星は鼻疾患に対して用いられやすいので、鼻疾患のときは上星になるのですが、髪が短いとお灸をした痕が目立ちやすいですね。

 

4.まとめ

 私は花粉症で鼻症状がある人、めまい、頭痛、痔などがある時に使用することが多いですし、自分が疲れたときも百会のお灸を受けたくなりますね。頭部のお灸は気持ちよく感じることも多いので、気に入って何度もやって欲しいと言う人もいますね。

 

 刺激量や感じ方を知るためには、鍼灸師の友人同士で頭部のお灸をやりあってみるといろいろ感じることが多いと思いますよ。

Pocket