鍼灸治療は1回で劇的な効果が出ると思っている人は多いのではないでしょうか？

　多分、1回で劇的な効果があるのではないかと思っているのは、周りで劇的に効果があるという人がいるという場合、何をやっても治療効果が出なくて分からないから分からない物だったら変化がでるのではないかという気持ちではないかと思います。

 

１．鍼灸師

　鍼灸師は、はり師・きゅう師という2つの国家資格を持っている人のことをいい、医師、歯科医師、薬剤師、柔道整復師、助産師と同様に開業権がある資格です。受験するためには、養成施設で3年間学習し、国家試験に受かる必要があります。

 

　試験内容は、東洋医学だけではなく、現代医学も学習していくので、現代医学的な考え方も分かりますが、卒業後は独自に学習をしていくことになるので、東洋医学に詳しい人、現代医学に詳しい人、リラクゼーションを中心とする人のように専門家をしていくことが多いです。

 

　医師も免許としては一つですが、内科・整形外科などのように分岐していきますが、専門性を高めることが治療効果にも繋がるので、鍼灸師毎の独自性もあります。

 

２．鍼灸治療は1回で効果が出る？

　実際の治療現場では、

「病院に行ってもよくならないし、マッサージでも改善しなかったから、鍼灸でも試してみようと思ってきました。」

と言われることは多いです。

 

　こういった方にまず話をするのは、「1回でよくなるとは言えない」と伝えることが多いです。患者さんからしてみたら、いろいろやって効果がなかったから、一縷（いちる）の望みをかけていることも多いので、治療をする側からすると、どうにか改善をしてあげようという気持ちになります。

 

　ただし、これは気持ちの問題であって、実際の効果に関しては絶対の保証をすることができないですね。

 

　100％改善をすると標榜している治療院もあるようですが、そういった治療院に行ったことのある方の話しを伺うと、合う人もいるけど、私は改善しなかったと言われることがあるので、全ての人が1回で絶対に改善することはないのだなと思います。

 

　もちろん、効果は個人差があるものなので個人差の場合や治療家の得意分野から外れてしまった場合は、1回で効果が出ないのかもしれないですし、継続して通っていたら効果があったかもしれないです。

 

　治療家自体は1回で何とか効果を出してやろうという気持ちを持って施術に当っていることは多いので、手を抜いている訳ではありませんし、言い訳をするつもりはないですけど、効果を出すのは簡単なようで難しいことも多いです。

 

３．1回でも効果が出やすいもの

　どんな症状でも、患者さんの個人差や治療家の個人差があるので、まずは治療に行こうとする治療院に相談をしてみるのが分かりやすいのではないかと思います。

 

　治療院からしてみたら、来院したら何とかしようと思う気持ちになり、治療をしていきたいという気持ちがあるので、実際に治療に入りますが、やっていく中で難しいなと判断することもあります。

 

　電話であれば、身体を診てないので、何とも言えないということもあるでしょうが、客観的に情報を判断することが出来る部分があるので、難しそうな物であれば難しいと回答することがあるのではないかと思います。

 

４．電話相談などで注意をすること

　治療院で受付を雇っている場合がありますが、受付は治療の判断までを細かくすることは出来ないので、治療家が電話で相談に乗ることになりますが、患者さんを治療しながら電話対応することが多いので、出来るだけ簡潔に質問をしていくと助かると思います。

 

　その際には、どういった症状が出ていて、どういう治療は試した、効果はどうだったかを手短に話してもらうと助かるでしょうし、具体的な治療としてはどこにアプローチをしたのかを伝えると治療計画を考えやすくなると思います。

 

５．まとめ

　患者さんからしてみたら、辛い症状は出来るだけ早く改善したいという気持ちがあるでしょうが、治療にも順番があるので1回ではなく、継続した通院が必要なことは多いです。

 

　例えば、スマホの調子が悪い場合は、電源の問題なのか、アプリの問題なのかと何個かのケースを考えてみて、一つ一つに対処をしていくと思いますが、身体も同様に一つ一つ調べ刺激を入れていくことになります。

 

　一つの刺激を入れたら、違う症状が出ないかを確認していくことも大切なので、症状の改善が見られなくても治療が終わりとなることもあると思います。実際に、身体に沢山の刺激を入れ過ぎてしまったら、他のところが緩まなかったために辛く感じてしまうことがあるので、簡単なように行っている治療でも実は複雑な状況が多いです。

 

　人間の身体には、筋肉は約400、骨は200あり、神経・血管は網の目のように身体の隅々まで走行しているので、一つの刺激で何が代わり、何が変わらないのかをみていくことだけでもかなり時間がかかります。

 

　頼ってもらえることは治療家冥利に尽きますし、1回で劇的な効果が出ることもありますが、全ての人の身体に当てはまる訳ではないので、3回～3か月程度をみてもらうとこちらとしても対応しやすいです。