美について

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 雑誌、書籍、広告でよく見かける言葉の一つに「美」があり、鍼灸でも美容鍼というように「美」とつけることがありますが、「美」って何なのでしょうか。

 「美」という名前を付いた国家資格として「美容師」がありますが、「美」に関することは全て「美容師」が行うのでしょうか?

 

 「美容師」の定義を見てみると、「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくする者」のようですが、内容からすると、髪や化粧を行うことにより、整える者ということなのでしょうか。それとも、髪は例の一つで、重要性がないのでしょうか?

 

 「美容師」の国家試験科目で見てみると、関係法規と制度・衛生管理・美容保健・美容の物理と化学・美容理論ということで、美容に関する内容があり、実技は髪を整え方であり、仕事も髪を中心としている場合が多いので、やはり、日本の美容という資格は髪が重要だということが分かります。

 

 では、髪以外の美容を行う人たちは誰かと考えていくと、エステティシャンがありますが、これは国家資格ではなく、民間資格と呼ばれる物なので、定義がはっきりしていないですね。業務内容は全身の美容ということで、ボディ・脱毛・フェイシャル・リフレクソロジーという分野が該当していますが、身体に触れるのを業(仕事とする意味)とするのは医療として触れるのか風俗として触れるのかに分類することができ、美容は医療でも風俗でもないので、法律の間にある分野とも言えますね。

 

 エステティシャンが行っていることは、身体に触れて揉む・擦るということなので、資格的には「あん摩指圧マッサージ師」に対応しますが、医療をうたわなければいいというところなのでしょうか。

 

 医療は制度とも結び付きが強い物なので、疾患を持っている人は対応するけど、そうではない、健康増進・美容の分野は医療制度も使えずに、自由診療となるので、法律が届かない分野とも言えるのでしょうかね。

 

 古代から人は、相手に見られことを意識していて、見られることに対して行動を起こすことが「美」ということにもなるので、時代を問わずに人の心に根ざしている欲求と言えるのかもしれないと考えると、承認欲求を満たす一つの基準として「美」があるということなのでしょうか。

 

 「美」は人が持つ欲求の一つとして考えると、「美」に関する仕事は時代を越えて存在するのが当然なので、「美」に関する資格制度を考えてみてもいいのかもしれませんが、「美」の定義付けが非常に難しいですよね。

 

 現在は、細身で筋肉が少し付いていて、ラインが整っているのが「美」という基準であり、そこに流行りの髪型や衣服、化粧の仕方、立ちふるまいが出てくるので、やはり定義するのは困難でしょうね。

 

 「美」という基準時代は、時代によって変化してしまうので、資格制度を作ったとしても、その資格が出来たときには既に時代遅れになってしまいそうですしね。

 

 例えば、日本の古代・近世、他の国の古代・近世ではその地域ごと、時代ごとに「美」の基準が変化をしています。日本でも昔は、食べるものが少なく、飢えに合うことも多かったので、太っているというのは、裕福な証であり、肉付きがいいのが「美」で合った時代があり、他の国でも同様の考え方があります。

 

 将来の「美」の基準がどうなるのかも分からなければ資格制度を作ることもできないので、「美」というのは定義するのが困難な物の一つと言えそうですね。ただ、「新しい物」が出てくる場合と「古い物」が見直される場合があるというのは、どの分野においても生じることなので、「美」も新旧どちらもありうるという点から考えると、「美容師」の髪に着目した資格はありなのかもしれませんね。

 

 鍼灸で「美」を言う理由は、鍼灸治療は東洋医学の考え方を使用しているので、病気や身体の問題は、気血水(水は津液という)の巡りが悪くなったことで生じていると考え、気血水の流れがよくなると、より健康になることもでき、血色がよくなることで、皮膚の状態が変化をするので、肌の「美」にも影響があるという考え方ですね。

 

 以前からそういった点で考えて広告している方もいたでしょうが、広く普及しない状態が続いていたのですが、女優が利用したことで、一気に知名度があがったというところですね。

 

 女優であれば、「美」に対する欲求も強く、見せる立場になるので、自分の「美」に対して費用を惜しまずに、いろいろと試していくので、その中の一つとして鍼灸があったということですね。

 

 マーケティング用語として「イノベーター理論」というのがありますが、美容鍼灸で言えば、女優がイノベーターだったということですね。

 

イノベーター理論

1)イノベーター(革新者)

 新しい物を積極的に採用する人。市場全体の2.5%

2)アーリーアダプター(初期採用者)

 流行に敏感で他の消費者への影響が強い。オピニオンリーダーとも言われる。市場全体の13.5%。

3)アーリーマジョリティ(前期追随者)

 慎重な人。平均よりも早く新しい物を取り入れる。ブリッジピープルとも言われる。市場全体の34%。

4)レイトマジョリティ(後期追随者)

 懐疑的な人。大多数が試している結果から取り入れる。フォロワーズとも言われる。市場全体の34%

5)ラガード(遅滞者)

 保守的な人。世の中の動きに関心が薄い。イノベーションが伝統になるまで採用しない。伝統主義者とも言われる。市場全体の16%。

 

 「イノベーター理論」で言えば、現在は、どの段階なのでしょうかね。治療院としては「美容」をうたうところが大多数になってきているので、アーリーマジョリティ辺りの状況でしょうか。利用者の数から言うと、アーリーアダプター付近の状態の普及率ですかね。

 

 ただ、「美」の基準は変化しやすく、利用する人達も移動してしまう傾向があるので、ラガードの状態までたどり着くのか疑問でもあります。誰しも、簡単で利用しやすく、効果が高く、さらに先駆的だというのを欲しがるのが美容と言える分野なのかもしれないので、そうなると「美容鍼灸」も変化していく可能性があります。

 

 どういった未来があるのか考えてみると、身体と関係する美容だと、髪辺りは、イメージがつきやすいので普及しやすいのかもしれませんが、この分野の専門家は美容師・理容師でもあり、コーティングなどで対応することもできるので、相互に手を組めば、外からと内からの美容とすることができそうですが、そういう未来の形になるのでしょうか疑問があります。理由としては、美容室・治療院は飽和状態になるので、生き残りをかけながらの新しいことへのチャレンジなので体力・地力がないとできなそうですね。

 

 髪・手技の業界では低価格も多く出てきているので、付加価値をつけて値段を上げるのは、浸透するまで時間がかかりそうな気もします。

 

 となると、美眼、美口、美鼻あたりは競合する業界がないので、いいのかもしれないですが、美として意識を強くするところなのかという疑問があるし、美容鍼灸という顔の鍼と何が違うのかを訴えるのが難しそうですね。

 

 さて、今後は何が流行るのでしょうか。

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