大黄甘草湯は下剤として使用されることが多い漢方薬なので、便秘の時にお世話になっている人もいるのではないでしょうか。
1.大黄甘草湯
大黄甘草湯は、大黄と甘草の2つの生薬から成り立っています。
大黄は身体の中に停滞している邪毒を排泄させる働きがあるので、強い瀉下作用があります。瘀血、湿熱、寒による便の停滞にも用いられますが、これは瀉下作用が強いために、停滞しているものを、下に押し出して排泄させる働きが強いです。
下に降ろす働きが強いと、脾の昇らせる働きが低下をして、中焦の機能を低下させてしまうために、脾を補う働きがある甘草が一緒に使用されています。
身体の中の物を降ろす働きが強いために、妊婦の方が用いると胎児を瀉下してしまうために、使用しない方がいいです。授乳中の人も多量に服用したときに乳汁が黄変してしまうために、使用しない方がいいと言われています。
現代医学的な考え方であれば、大横は腸を痙攣させ、甘草は痙攣を抑える働きがあるので、腸の活動が過ぎないように調整していることになります。
大横にはセンナにも含まれるセンノシドの成分が含まれているのですが、センノシドは腸内細菌を刺激して、大腸の蠕動運動を促進するので、便を排泄する力になります。腸内細菌の働きも利用するので、個人差も大きくなります。
大腸の動きを促進するので、大腸の弛緩性便秘には使いやすいですが、痙攣性便秘には作用を強めて悪化させてしまうので禁忌になります。長い間使用すると、大腸に色素沈着が発生し、大腸の機能低下を生じることがあるので、長期の服用は注意しないといけないです。
習慣性便秘に大横が使用されることがありますが、習慣性便秘には潤下薬の方がいいとも言われます。身体の状態を把握しないと適切な物が分からないので、しっかりと相談した上で服用を考えた方がいいですね。
甘草は服用量が多くなると、偽アルドステロン症が発生してしまうので、日常の食品、健康食品、漢方、薬に注意をして服用しないといけないです。偽アルドステロン症では、高ナトリウム血症、低カリウム血症、浮腫、高血圧などの症状が生じやすくなります。
2.大横が含まれる漢方薬
大横は瀉下作用があるので、身体の中に何かが停滞していると状態と考えた場合に使用されやすいので、様々な漢方薬に含まれるので、成分表示は確認した方がいいですね。漢方薬の名前の基本は含まれている生薬の名前が付いてくるので、「大横」「大」「黄」が名前に含まれている場合は確認した方がいいです。
名前が入っていなくても大横が含まれることがあるので、漢方薬を手に取る時には、裏の表示を読んで、どのような生薬が含まれているのか確認した方がいいですね。
漢方薬は前述したように副作用もあるので、服用しようとする場合には、医師、薬剤師、登録販売者に相談をしてから購入して服用する方がいいですね。
3.大黄甘草湯と調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
大黄甘草湯と調胃承気湯は似た漢方薬になります。調胃承気湯は、大横、甘草、芒硝(ぼうしょう)が含まれているので、大黄甘草湯に芒硝を加えた物が調胃承気湯になります
芒硝は硫酸ナトリウムもしくは硫酸マグネシウムで、水分保持に働き、便を柔らかくする働きがあるとされています。
便がコロコロと硬く、大黄甘草湯では痛みが生じてしまう場合には、調胃承気湯の方が適していると言えます。承気湯と名前が付く漢方薬は多いですが、大横が含まれているので、承気湯も瀉下作用が強い漢方薬になります。
承気湯の中でも調胃承気湯の作用は優しい傾向があると言えますね。
4.まとめ
漢方薬は身体にマイルドだから副作用がなく、長く飲み続けられると勘違いされている方がいるので、副作用に注意をして、身体の状態に合う漢方薬を選んでもらいたいと思います。
鍼灸で考えていく場合には、大黄甘草湯と同様の作用を狙うのであれば、胃の通降を高めながら、脾を補っていくといいのではないでしょうか。