疏泄の太過と不及は感情の虚実

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 疏泄には太過と不及があり、疏泄の太過はイライラしやすい、疏泄の不及は抑鬱感と言われていきますが、これは感情の虚実として考えていくことができます。

 疏泄の働きは、感情である情志の調節を行う機能、全身の気機の調節、月経など生殖器の活動、脾胃の働きの促進、胆汁の生成と分泌を行っており、機能が非常に多いです。疏泄の働きの主は何かと言われても、どれか一つには決めかねますね。

 

 疏泄は木の曲直(きょくちょく)のイメージと同様になるので、木が広がりを持って成長していく姿なので、全身すみずみまで広がっていくことになり、全身すみずみまでひろがっていくので、身体の機能全般に関与していることになります。

 

1.疏泄と感情

 感情は精神から沸き起こってくるもので、消すことができないものなので、調整が必要になります。精神の根本は心であり、感情が沸き起こるのは心包で、感情の調節を行うのが疏泄になります。

 

 感情への働きかけとしては、心包で沸き起こった感情を外に出していくのが疏泄であり、感情が強く出てくるようであれば、疏泄の働きが強く、強く出てこないようであれば、疏泄の働きが弱いと考えていくことができます。

 

2.ストレスと疏泄と感情

 ストレスが加わると、肝の疏泄が失調し、全身への気機がうまくいかなくなり、気滞が生じると考えていくのですが、感情も入れて考えていくと、疏泄と感情がより理解しやすいのではないかと思います。

 

 疏泄の感情への働きが強い人は、沸き起こった感情をどんどんと外に出していきますが、ストレスが加わると、沸き起こって、外に出そうとした感情を抑えつけなければいけなくなるので、肝の外へ向かう力が抑制され、その力が内に停滞してしまうために、気滞となります。

 

 疏泄の感情への働きが弱い人は、沸き起こった感情を外に出すことが出来ないですし、ストレスが加わると、ますます外へ出すことができないので、もともと弱い外へ向かう力が内へ停滞してしまうことになり、気滞となってしまいます。

 

 疏泄の働きが強い場合は、疏泄の太過であり、疏泄の働きが弱い場合は疏泄の不及になります。

 

3.疏泄の虚実と感情の虚実

 疏泄の働きは感情調節に関与し、疏泄が強い場合と弱い場合があると書きましたが、感情の強さ・弱さで考えていくと、疏泄の働きの虚実は感情の虚実と関係していくと言えます。

 

 感情の実は、感情が沸き起こり、強い状態になるので、病能として生じる症状は、イライラしやすい状態になります。

 

 感情の虚は、感情が沸き起こりにくく、弱い状態になるので、病能としては生じる症状は、抑鬱感や気分の落ち込みになります。

 

 気滞証は、虚実で言えば実証ですし、疏泄自体に虚実の概念を入れることはないですが、働きには強い・弱いを入れることが出来るので、疏泄自体に虚実を入れていけば、感情の虚実を合わせて考えていくことができます。

 

 気鬱・気滞の症状の中に、感情の虚実と考えらえる、抑鬱感・イライラがセットに入っているのは、疏泄の太過も不及も結果としては、気鬱・気滞となっているために生じる症状になります。

 

4.まとめ

 気滞は疏泄の太過と不及によって生じるもので、疏泄の太過はイライラ、疏泄の不及は抑鬱感と覚えていましたが、何故、感情が強い状態と弱い状態があるのかと悩んでいたのですが、ようやく自分の中では整理できた気がします。

 

 もう一息でもう少し深いところまで理解できて納得できる気がするのですが、まだ違和感がある感じですね。自分の中で、しっかりと理解できたなというつもりになったら、またブログで書いてみたいと思います。

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