飛蚊症(ひぶん症)と鍼灸治療

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 目にゴミが浮かんで見える、何かが見える、虫が飛んでいるように見えるのが飛蚊症(ひぶんしょう)と言われます。加齢によって生じやすいと言われますが、最近は若い人でもスマホの見すぎによって飛蚊症が発症する人がいます。

1.飛蚊症

 糸くずやゴミなどが飛んでいるように見えるので、蚊(カ)が目の前を飛んでいるように見えるので、飛蚊症と言われていきます。飛蚊症は病気の症状としても見られることがあり、飛蚊症が発生したら、一度、眼科で診察を受けて、病気が原因でないかを診てもらうほうがいいですね。

 

 飛蚊症のようでも、眼を動かしても位置や形が変わらない、真っ黒に見える場合は、飛蚊症ではない可能性もあるので、眼の見え方でおかしいなと思ったり、悪化したりしていたら、眼科で診察を受ける方がいいですね。

 

 飛蚊症が何故起こるのかは、病気があれば病気によって引き起こされているのですが、眼の構造が分かると理解できます。眼の構造は、外の情報が眼を通じて、網膜と呼ばれる奥で情報を感知して脳に伝えています。

 

 例えば、眼の構造を考えていくときに簡単なのが、1面がガラス張りの部屋が目の構造と言え、外部からガラスに光が当てると、そこが眼の表面で、光はガラスを抜けて壁に映りますよね。この壁が網膜です。部屋の中を誰かが横切れば、壁に映る光にその人後が残るので、この状態が飛蚊症とも言えます。

 

 病気が原因で生じる飛蚊症以外は何によって起こるのかというのは完璧な答えは分かっていないですが、加齢やストレスなどによって生じるのではないかという考え方が主流だと思います。

 

2.東洋医学と飛蚊症

 飛蚊症膩苔は、目に黒い物が見える状態になるので、瘀血が停滞していると考えていくことが出来るので、瘀血を除去していくことが大切なのですが、瘀血が何故、停滞しているのかという原因も重要になります。

 

 目は、人間にとって重要な器官であり、目は精血が滋養することで見えるようになっていると考え、精は腎、血は肝が関係するので、臓腑の概念では肝腎の状態を考えていくことになります。

 

 精血は、身体を滋養し冷やす物で、陰分(陰液)と考えていきます。熱がある場合は、冷やす機能を失うために、陰液である精血が不足しやすく、加齢によって、身体の陰液(水分)が少なくなってしまうことから、加齢でも精血不足が生じてしまいます。

 

 陰液が不足をすると、血の流れが悪くなり、血の流れが悪くなると、血のゴミと考えられる瘀血(おけつ)が生成されてしまい、流れが悪いので、瘀血が停滞してしまいます。熱がある場合は、陰液が消耗してしまうために、同様に陰液の不足により、瘀血の停滞が生じてしまいます。

 

 体質から症状が発生するのが東洋医学の考え方になるので、何故、瘀血が目に発生しているのか考えていくことが大切になります。

 

3.飛蚊症のセルフケア

 病気によって生じている場合は、病気が原因なので眼科で相談してセルフケアを行う必要がありますが、ここでのセルフケアは加齢によって生じる生理的飛蚊症に対するケアになります。

 

 東洋医学的には目つまり頭部に瘀血が停滞している状態なので、目・頭部の循環が改善されていくと、瘀血が流されていき、症状が軽減すると考えることが出来るので、頚部・頭部の血行がよくなるようにしていくことが大切になります。

 

 飛蚊症は疲労や睡眠不足でも悪化することがあるので、日々の生活に気を付けるだけではなく、血行をよくするために、目や頚部にホットパックを行うのもいいですね。のぼせやすい人だと、温めるとのぼせが強く出てしまうことがあるので、ご自身の体調を考えていくことは必要です。

 

 目に関するツボは頭・顔・頚にあるので、パソコンなどで疲労がたまりやすい場所でもあるので、日々の疲労をいかに取り除くかも重要になっていきます。起きているときは、目は絶えず使っていて、目を使わないときは寝ているときだけになるので、睡眠時間をしっかり取るのは凄く大切なので、生活リズムを整えて、十分に眠ることも大切ですね。

 

4.飛蚊症と鍼灸治療

 飛蚊症に対して鍼灸治療を行う場合は、身体の状態を把握して証にのっとって治療をすることは大切ですが、標治として飛蚊症に対処していくことも大切ですね。

 

 鍼を行っていくのであれば、頭顔面部の経穴は治療効果を期待できるので、太陽(たいよう)、頷厭(がんえん)、懸顱(けんろ)、懸釐(けんり)、天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)、脳戸(のうこ)、脳空(のうくう)などやその付近は治療効果を期待しやすいです。

 

 頚部は胸鎖乳突筋、斜角筋なども治療対象とすることができるのですが、前頚部は鎖骨付近で胸膜頂(肺尖がある場所)があるので、余程、注意をしないと危険な場所なので、しっかり解剖学を勉強して、第三者にチェックしてもらうようにして、練習を重ねてから治療で使う方がいいと思います。

 

 喉頭隆起付近の高さであれば肺尖に到達するリスクは少ないですが、細くて柔らかい鍼だと先端がどこに行ってしまうか分からなくなるので、刺入した鍼がどこにあるのかを常に考える必要があります。

 

 頚部は内出血してしまうと非常に目立ちやすい場所になるので、出血の管理は注意をしていかないといけないですね。内出血してしまった場合は焦らずに冷静に対処をしておきたいところですね。

鍼で内出血したときの対処法

 

 飛蚊症で中国のサイトを検索してみていたら、面白い記載がありました。

彭印高先生发现的全息共振经络系统穴位针疗法

为飞蚊症的治疗提供了快捷有效、经济简便的治疗手段。   

取穴:”眼明1号”;,位于第二、三掌骨之间,平合谷高度。

“眼明2号”;,位于前臂掌侧当曲泽与大陵的连线上,距腕横纹上1.5寸。

 

 1号の方は、合谷と同じ高さで第2・3中手骨の間、2号の方は、大陵の上1.5寸なの内関に近いですね。飛蚊症がある方に試してみたら、その方ではどちらも効果があったので、試してみるのも良さそうですね。

 

5.飛蚊症と漢方

 漢方は鍼灸と同じで身体の状態である証に合わせて処方する物なので、身体の状態によって違いがあります。目には精血が大切というのは東洋医学では当たり前のことで、臓では肝腎が重要になります。

 

 ということで、腎の問題で、陽虚が発生している場合は、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)が利用されることがあるようですし、肝腎の問題から生じている場合は、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)が利用されることがあるようです。

 

 気血の不足で生じているようであれば、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)が利用されることがあるようです。漢方を試してみたいと言う場合は、必ず医師・薬剤師に相談して下さいね。

 

6.まとめ

 飛蚊症を東洋医学でどう考えるのかという点と、治療についてまとめてみましたが、今はインターネットによって中国の情報も手に入りやすいので、面白そうな治療穴を発見できたなと思っています。他の症状を調べるときにも中国のサイトはチェックしてみようと思います。

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