筋と肌肉の違い―五主・五体

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 東洋医学では身体には経絡と臓腑という物があるという考え方をしていくのですが、構造としては様々な物があり、筋や肉は五体(ごたい)に含まれていきます。

1.五体

 五体は身体の構造でもあり、木火土金水という五行に分類されています。木は筋、火は脈、土は肉(肌肉:きにく)、金は皮(皮毛:ひもう)、水は骨・髄に分類されていて、五主(ごしゅ)とも言われます。

 

 木の働きは筋と関係をしやすく、木に属する臓は肝になるので、筋の問題が生じているときには肝に問題があると考えることができますし、肝に問題が生じているときには、筋の症状が出てくると考えていきます。

 

 木や肝の働きに関係をしやすいので、主る(つかさどる)という五主という表現が使われますし、身体の構造という意味で五体という表現も使われています。新教科書では五体、旧教科書では五主と書かれています。

 

 五主や五体に関しては過去のブログでも書いているので、参考にしてみてください。

「身体の構造と東洋医学―五主・五体」

 

2.筋と肌肉(肉)の違い

 身体にある肉は筋と肌肉(きにく)という概念で考えていくのですが、皮の下は現代医学的に考えれば、筋肉と脂肪ですが、筋と肌肉は筋肉と脂肪のことなのでしょうか?

 

 私の中では何となく整理をしていたのですが、最近ようやく自分の中で整理ができたので、違いについてまとめてみたいと思います。

 

 はるか昔で言えば、解剖をする道具も充実していないですし、解剖に関する情報が多くないので、皮膚の下には何かの肉があるというのは分かっていたと思いますが、どのような働きがあるのかについては詳細まで分かっていないのではないかと思います。

 

 人を観察すると、身体が動く・動かない、手足が太い・細いがあることが分かるので、見た目から分かることを筋と肌肉として分類したのではないかと思います。

 

 「筋」という漢字自体が「すじ、流れ」というような意味を含んでいるので、身体の中にある構造物が線のように見えたから「筋」と付けたのですかね。筋肉は筋線維と言われる線が束になった物なので、解剖の図でも筋肉には同一方向に線が付いていますよね。この構造物は一つの塊として関節をまたいで存在しているので、動く・動かないというのを考えたときに筋と考えたのでしょうね。

 

 筋の問題では、動けないというよりは、異常な動きをしてしまうのを筋の病態として整理をしたので、筋と関係する臓の肝の症状に筋のしびれ、ふるえ、けいれんがあり、筋を栄養するのが血になるので、血の異常によっても筋のしびれ、ふるえ、けいれんがあります。

 

 肌肉は、手足や身体の太さと関係していくものなので、手足の太さは肌肉の充実として考えていくことができます。人の身体は個性があるので、余程極端でなければ、手足が太くても細くても、動きには関係がないですし、それなりに力も発揮することができるので、肌肉は単純に太さとして捉えていくことができます。

 

 人が年を取ると、動きに異常が出やすくなり、手先にも震えが生じてしまいますが、これは老人性振戦であり、筋の異常によって発症すると考えられます。加齢によって手足が細くなっていくのは、肌肉の減少になります。

 

 身体の肉を筋という動き、太さという状態で分けて考えていくと、筋と肌肉という考え方は、陰陽論とも関係をしているといえますね。陰陽では、陰が静、状態などであり、陽が動、機能などになるので、筋と肌肉もそれぞれに分けていくことができますね。

 

 肌肉がやせ細ってしまって動かせなくなってしまう状態は、動きができないので筋として考えていくことができますが、肌肉のやせから始まっているので、肌肉の異常であり、脾の異常として考えていくことができます。

 

3.まとめ

 筋と肌肉は違うものであるというのは何となく理解をしていたのですが、陰陽という考え方が全てに含まれるというのが頭の中で整理をされたことで、筋と肌肉は陰陽論と関係をしているのではないかという結論に辿り着きました。

 

 まだまだ病態などについての考察が甘いので、もう少し自分の中で整理して納得をしたら、似たような内容でブログを書くかもしれません。

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