鍼灸治療は何に効くのか?―鍼灸の治療効果

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 鍼灸治療は、身体に鍼を刺したり、お灸をしたりする治療方法で、鍼は非常に細く、痛みを感じにくいです。お灸は身体に熱刺激を加える治療です。そんな細い鍼、温熱刺激でどうして効果があるのか不思議ですよね。

 鍼灸師は3年間学校で勉強し、国家試験もあるので、身体について細かく学習をしていますし、鍼灸の刺激が身体にどのように作用するのか知っています。もちろん、身体は全て解明されている訳ではないので、今までの研究でわかったことを理解している状態なのですが、それでも一般の人と比べたら知識では格段の差になりますね。

 

1.鍼灸治療とは?

 鍼灸治療は中国伝統医学の一つの治療方法で、中国伝統医学には漢方も含まれています。中国伝統医学は、2000年前には完成したのではないかと考えられ、日本では西暦500年の中盤には伝わり、701年の大宝律令で資格制度が完成し、現在も鍼灸の制度が続いています。

 

 鍼は髪の毛より細い物を利用し、痛みを感じにくくさせる管や技術を用いて身体に刺したり、触れたりして治療をする方法で、ツボや筋肉、血管、神経を考慮して治療をしていきます。

 

 お灸は、皮膚を火傷させる方法や温かい感覚だけを伝えるやり方があり、皮膚を火傷させるやり方でも、ツボに対して行うので、直径2㎜程度のことが多いですね。最近は、火傷をさせる方法は嫌がる人もいるので、温かい感覚だけを伝えるやり方や機会で熱刺激を加えるやり方を利用している人もいます。

 

2.鍼灸治療で何故効果がでるのか?

 鍼灸治療では、ただ身体に鍼灸をするのではなく、身体の状態に合わせて治療する場所を決め、適切な刺激ができるようにしています。一般の方がツボを押しても大きな変化を感じない場合は、場所や方向、力加減が重要だからです。

 

 鍼灸刺激を身体に行うと、生体は刺激として受取り、神経が伝えていくことで、自律神経に作用し、効果が出現します。痛みの場合は、鍼灸刺激をすることで、鎮痛物質が発生するので、痛みを軽減させます。筋肉の硬さをほぐすことで、血流をよくして、身体の状態をよくすると言えますね。

 

 東洋医学的には、気血津液精が身体にあり、流れ続けていると考えていきます。例えば、身体が大地で、ツボと関係する経絡が川だとすれば、だんだんと蓄積したゴミを鍼灸という刺激で押し流して奇麗な状態を作るのが鍼灸治療だとイメージするといいですよ。

 

3.どんな症状に鍼灸が効果あるのか?

 鍼灸治療は肩こりや腰痛、しびれというイメージを持っている人が多いですが、鍼灸治療では多くの疾患を治療対象としています。世界保健機構(WHO)では数多くの疾患に効果があると認めているので、世界各地で行われています。鍼灸の適応疾患に関してはこちらのブログも参考にしてみて下さい。

鍼灸治療の適応疾患

 

 

 鍼灸治療では全身の血流をよくし、自律神経にも作用していくので、継続して治療を受けると直後だけではなく、段々と身体が変化していくので、鍼灸を体質改善で利用している人もいます。

 

 現代医学的に治療法が確立されていないものや、身体の不調は実は鍼灸の得意とする分野と言えます。例えば、自律神経失調症、月経痛、生理不順、腹痛、下痢、便秘、不眠など、薬を飲んだりするけど、慢性的にあるし、どうにかしたいという症状ですね。

 

 もちろん、治療効果には個人差もありますし、鍼灸師の得意・不得意もあるので、自分の症状を一度、信頼できる鍼灸師に尋ねてみるといいですよ。

 

 鍼灸を行ったところは、血流がよくなるので、治療だけではなく、顔に鍼をしていくことで、美容効果を狙うこともあります。顔だけではなく、全体の調子がいいと、顔の血色もよくなるので、美容鍼灸でも全身に鍼をすることが多いですね。

 

4.どれぐらいの頻度で通えばいいのか?

 通院頻度は、その人の状態や目的によって変わるので、どれぐらいの頻度で通院した方がいいのかというのは決められないです。鍼灸では毎日通う方がいいと考える人もいるし、毎日してはいけないという人もいるので、自分の症状と目的を考え、鍼灸師と相談していくのがいいですね。

 

 例えば、ぎっくり腰のような痛みが強いときであれば、数日間は毎日のように通うとよくなるのも早いですが、体質改善となると、身体が変化していくことが必要なので頻度だけではなく、期間も必要になります。

 

 鍼灸治療では保険を利用しないところも多いので、一回当たりの支払い費用が高いので、ご自身のお財布と相談というところもありますね。

 

 鍼灸治療でも保険を使うと安いのですが、対応となる疾患が限られてしまうのと、治療だけではなく、事務作業に多くの時間を使わないといけないので、どうしてお治療時間は短くなってしまうことが多いですね。病院であれば、検査など点数が加算されて短くてもそれなりの収入になるのですが、鍼灸治療での保険収入は安いので、時間としては10分程度で一部分だけになってしまうことが多いですね。

 

5.まとめ

 鍼灸治療には何に効果があるのか分からないと感じている人は、友人にも多いので、やっぱり分かりにくいのでしょうね。私自身も学校に入るまで鍼を見たこともなかったので、どんな症状にどれぐらいの効果があるのか全く分かりませんでした。

 

 現在は、勉強してきたのという経験と治療の経験があるので、症状や病名を聞いて、どれぐらいの効果が出るのかなと考えることができます。ただ、身体の状態を診ていないと分からないし、やってみないと分からないところが多いのも事実なので、安易に絶対によくなるとは言えないです。

 

 私自身は、調子が悪い時は病院に行くこともありますが、ほとんどの身体の不調は鍼灸と漢方で対処することが多いです。例えば、風邪をひいたときには、解熱剤などは飲まずに、状態にあった漢方を飲んで症状の緩解を狙うことがありますし、お腹の調子が悪い時には、自分で鍼やお灸をして調整しています。

 

 長期的に鍼灸をやってきたからか、お腹の調子は昔と比べると安定していますし、調子が悪いと感じることは少なくなっています。どこかに痛みが生じた場合は、自分や仲間に治療をしてもらうことで、痛みの悪化を防いだり、無くしたりしている状態です。年をとってきましたが、同級生と比べて体調も、数値も落ち着いているのは、鍼灸や漢方と身体に対する知識でしょうね。

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