ツボは鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師が習って使っていくものですが、健康維持や無資格系の人たちも利用しています。一般の人でも体調が悪いときにツボを使うことがありますが、ツボ押しは本当に効果があるのでしょうか。
ツボは目に見えるものではないので、効果があるのかどうか分かりにくいところもあるでしょうからツボ押しの効果とメカニズムについてまとめてみます。
1.ツボとは?
ツボは約2000年前に中国伝統医学で考え出されたものです。中国伝統医学には、ツボと関係する鍼灸だけではなく、漢方も含まれています。東洋医学では、身体の臓器(臓腑)と経絡、ツボがつながっていると考えているので、ツボを押すと、臓器に影響が出て、効果が発揮すると言えます。
ツボは臓腑と関係する経穴(けいけつ)と臓腑と関係せずに特定の治療効果を持つ奇穴(きけつ)に分けられます。ツボのうち経穴は日中韓が協力してWHO(世界保健機構)でまとめ、全部で361あります。鍼灸は世界中で行われているので、ツボは世界中で利用されています。
1991年にアルプスで発見された5300年前のミイラ(通称アイスマン)の身体にもツボと一致する場所に刺青があったので、古代では中国に限らず、ツボを使った治療があったのではないかと考えられています。
2.ツボ押し効果のメカニズム
ツボ押しが発見されたのは、痛みがあるときに、触ると痛みが落ち着くという経験・知識の集合になります。例えば、どこかにぶつけて痛みがあるときに、その場所を抑えたりすると痛みが少し和らぎますよね。
現在は、痛みは神経によって伝えられるので、他の刺激を加えると、そちらの刺激の方を身体が意識するので、痛みが軽減するということが分かっていますが、古代にはその知識がないので、偶然か研究でツボの内容が決定していったので、ツボは統計学を利用していると言えます。
ツボ押しでは、皮膚を圧迫していくことになりますが、皮膚には神経が多く存在していて、神経への刺激は電気刺激となり、脳に伝わり、全身に働きかけるので、ツボ押しでは、全身に作用することになります。全身への作用では自律神経が重要になるので、ツボ押しでは自律神経に働きかけ、全身状態を変化させていきます。
個人差はりますが、例えば、非常に肌触りがよく、心地よいと感じる布団や毛布を使った場合、身体に何かをする訳ではないですが、気持ちいいという感覚とリラックスするような感じになりませんか。特別なことをした訳ではなく、肌に触れるだけで生じる心や身体への変化は肌からも生じていきます。
人は生きている間の3分の1は寝ているので、心地よい寝具の方がいいですね。話がそれてしまいましたね。私は寝具に拘っている訳ではありませんが、寝具のシーツなどを購入するときは、長い時間過ごす物だからという言い訳をしながら、格安ではなく、気持ちがいい物を購入していますね。
3.足ツボや耳ツボと身体のツボは違うの?
身体のツボは臓腑や経絡に繋がっているのですが、足ツボや耳ツボは、反射区と表現されることがあり、身体に反応がでやすいところをまとめているものです。耳も足も、身体全体と対応して考えることが多いので、耳だと胎児が身体を丸めている状態と関係すると言われ、耳の下側が頭、耳の穴付近が内臓、耳の外側が背骨とみていきます。足は指先が頭や顔、土踏まずが内臓、外側が背骨、踵付近が下腹部なので生殖器と泌尿器になります。
足ツボは、歴史をたどると足裏を治療するとよくなるという知識が利用されたり、治療する場所として見直されたりしたことで、現在のような形になっています。足ツボというから鍼灸師も詳しいのではないかと思うかもしれませんが、鍼灸師はツボの中でも反射区ではなく、経絡にある経穴や経絡外にある奇穴を学習するので、足ツボなどの反射区療法は教科書にはありません。学校によっては紹介をしているところもあるようですが、本格的には学ばないですね。
耳ツボは、もとはフランスの坐骨神経痛に対する治療として耳の特定部位に火傷をさせる治療法から発見されたもので、そこから全身へ影響があるのではないか研究した結果が現在の形になっています。
足ツボも耳ツボも発祥は中国と言う訳ではありませんが、中国でも研究をしてまとめているので、足ツボ・耳ツボはいくつかのタイプがあります。
手にも反射区があるので、反射区から見ていくと、手のツボも沢山あるように思うでしょうね。日本では手に鍼をする人が少ないでしょうけど、韓国では高麗手指鍼(こうらいしゅししん)というやり方があるので、手だけで鍼治療を行っています。
手や足底、耳に鍼をすることは可能ですが、どこも痛みを感じやすいところなので、鍼灸師で使う人は少ないと思います。耳はシールタイプの物を利用することが多いので、耳ツボは鍼灸師も補助的に利用することが多いですね。補助的に使う理由は、身体の鍼灸をしているので、治療を受けていなときにも刺激を加え続けるために利用します。
4.ツボ押しの効果はあるのか?
ツボ押しに効果がなかったら誰も使っていないのではないでしょうか。ということで、ツボ押しには一定の効果があります。ツボ押しのメカニズムは刺激をすることで、自律神経を刺激し、身体の全身状態に変化がでるからでしたね。
効く人と効かない人がいるのは、身体には個人差がありますし、やる側にも個人差があるので、効きにくい人で、やる側の技術が稚拙だと、効果が生じにくくなります。
背中が辛い、肩が痛い、腰が痛い、足裏の疲れが抜けないというときに、どこかに当てたり、押したりしてもらうと、少し楽になりますよね。ということは、ツボ押しは実体験として効果があるのは知っている人が多いですよね。
それでも本当に効果があるのか心配で悩む人は、身体の不調があるということでしょうが、継続したツボ押しをしていくと身体は変化していきます。ただし、あまりにも強い刺激を行ってしまうと、揉みダコと言われるような状態として、その場所が硬くなってしまうことがあるので、押したら気持ちいい、変化するからといっても強すぎるのはよくないです。
加減は非常に難しいところなので、自分で行う時は、物足らないぐらいの方が継続して行えますし、刺激を加える頻度もあげられます。例えば、掃除も毎日少しずつ行えば、大きく散らかることがないですよね。ツボ押しのような治療も掃除だと思って少しずつ行うのがいいです。
5.まとめ
ツボ押しということでは、私は鍼灸も手技療法も行うので、日々、ツボ押しを行っている状態ですが、ツボにはまったときは、身体や症状が大きく変化していくことが多いですね。もちろん、自分の体調維持にもツボ押しは利用しています。
自分にやる場合だと、気持ちがいいから、やってみたいから、時間があるからということでやり過ぎてしまうことがありますが、やり過ぎてしまうと、体調を崩してしまうことがありますので、ご自身で行う場合は注意してくださいね。