鍼灸治療では鍼を使う治療、お灸を使う治療、併用していく治療があり、さらに鍼と灸には様々なやり方があるので、どのような治療法がいいのか悩む人が多いのではないでしょうか。
治療について話しを聞こうとしても、流派が違ければ考え方とやり方が変わるので、同じやり方でないと相談しても理解できないことが多いので、初心者の段階では本当に悩むと思います。
もちろん、人によっては、相手の疑問を受け止め、出来るだけ分かるように説明してくれる場合もありますが、やり方が違うと同じ結果が出るかどうかは微妙なところになります。
では、鍼灸の治療では何がいいのでしょうか。
答えとしては、何でもいいになってしまうので、さらに混乱してしまいますよね。私もその一人でしたが、現在は好きなように治療をしていますが、辿り着いた経緯を書いてみようかと思います。
最初は東洋医学の治療って、脈を診たりして不思議な治療だなと思っていて、不思議で分からないから興味を引かれて自分も真似をするようにやっていました。ただ、診察は四診によって行っていくことが出来ますが、治療の形がないので、どうやっていくのか悩みました。
初めのうちは、本などを読み、四診によって証を決定したら、配穴を利用するという形で行っていたのですが、治療を終わっても実感がないのと、どこに効果が出たのか自信がない状態が続いていました。
一応、最初に診断した脈や硬結、圧痛などは変化していて、症状にも若干変化が出ているのでいいのでしょうが、治療をしたという満足感と感動を感じられませんでした。何故なら、それぐらいの変化だったら、寝ていたら生じる可能性も高いし、お風呂に入るだけでも生じる変化なのではないかと思ったからですね。
それでも治療をし続けていくと、変化が出るものを読み取れることが多くなったというのもありますが、継続して来院してくれる人がいたので、身体の継続変化が理解できるようになると、鍼の治療効果を少しは信じられるようになりました。
一回での効果もありますが、累積した治療効果は、ただの休養では生じない物も多かったので驚きましたね。例えば、ありきたりですが、ぎっくり腰を繰り返していたのが全く生じなくなったり、お腹の調子がよくなったり、顔色がよくなったりしていきました。
その当時は、自分なりに全体を整える治療だったのですが、シンプルに言ってしまえば、手足に鍼をして、お腹・背中・腰に鍼をしていく感じですかね。温めると気持ちがよいし、すっきりしやすいので、お腹・背中に灸頭鍼や箱灸を使っていました。
特別なことをせずに、治療をしていただけですが、それでも身体が変わってくるのが分かってくると、患者さんへの症状説明もスムーズになっていきました。
そこで思ったのが、もっと効率よく治療が出来ないかということと、他の治療の仕方だと、何が変わるのだろうかという疑問です。
効率を上げるのは、患者さんを待たせたりすることなく、スムーズに治療に入りながら、調整をしていく方がいいなと思ったので、自分が使う配穴などはルーチン化するようになりました。
そこで気づいたのが、治療法ではルーチンのような形があるなというところです。と言うことは、ルーチンを変えてみても効果があるのではないかと思い、本で読んだ治療法などを使ってみることにしました。
経験により技術も上がったのか、学生時代に試して効果がないのかなと思っていたやり方でもそれなりに効果が出るなと気づきました。もしかしたら学生時代でも変化が出ていたのかもしれませんが、変化を読み取れなかったという点があるでしょうし、技術が向上したことによって、効果が出やすくなったのかもしれません。
そこで行ったのが、同じ人、同じ症状に対して、複数の治療で何がいいのかもやってみました。例えば、腰痛治療であれば、経絡を使って遠隔から行う人もいるし、局所であれば、深刺し、浅刺し、鍼通電療法、灸頭鍼、透熱灸、刺絡などを使ってみて様子をみてみました。
経過をみて、どの治療がよかったのか確認すると、好みもあるようですが、治療効果の違いもありましたが、継続した結果は通常の自分が得意な治療をしたときと大きな変化はないのかなと感じました。
道具の違いだけではなく、自分が分かる限りですが、流派の治療を試してみて、少数の鍼を使うやり方、多数の鍼を使うやり方なども試してみましたが、自分が習熟していなという点もあるでしょうが、相手の好み、こちらのやりやすさという違いはあっても効果に驚くような違いはないと思いました。
ただ、やりさすさ、理解のしやすさ、使いやすさは人によって違うでしょうから、何度もやってみて思ったのは、やりやすいやり方、慣れたやり方の方が効率いいというところですね。
症状や体質によっての優位性などは、治療法、道具によってもあるでしょうが、道具はいろいろ使ったので多少は分かりますが、治療法はそこまで習熟していないので、どれにいいのかは分からないですね。
ということで、これから治療をどうしようと考えている方は、好きなようにするのがいいですし、自分が納得できそうなものを選ぶのがいいと思いますよ。