「みぞおち」は漢字だと「鳩尾」と書きますが、「みぞおち」は「みずおち」とも言われていき、どちらも正解なのですが、何が違うのでしょうか。「鳩尾」はどうやって読んでも「みぞおち」「みずおち」と読めないのですが、何故なのでしょうか。
ちなみに私は解剖学も勉強して、いろいろと本も読んでいたのですが、読み仮名にふと読んだら「鳩尾:みずおち」と書いてあって、びっくりしました。一応、解剖学は20年前から勉強していて、何度も見ていたはずなのに、すっかり抜けていました。ということで、何が違うのかを備忘録としてまとめてみます。
1.「みぞおち」と「みずおち」
結論から言うと、「水落(みずおち)」と言われていたものが、なまったことで「みぞおち」となっているので、正式には「みずおち」、一般的には「みぞおち」になるので、どちらも正解と言えます。
音の変化は、うつろいやすく、「通る(とおる)」ですが、「その通り(そのとおり)」も発音は「その通り(そのとうり)」と発音してしまいますよね。似たような物だと、「づ」と「ず」があり、正式には使い方が決まっていますが、使われていくことで変化していくことが多いですよね。「傷(きず)」だって、音だけだったら「きず」ですしね。
「みずおち」の意味は、水が落ちてくるところと言うことで、多く水を飲んだあとに、「みずおち」のところを軽く叩くと「ピチャピチャ」と音が鳴ることがあるので、身体の働きと機能から付けられた名前なのでしょうね。
2.鳩尾は「みずおち」
鳩尾は東洋医学のツボの名前でも使われていて、鳩尾(きゅうび)と呼び、「鳩(はと)の尾っぽ」という意味があります。「みずおち」と「鳩の尾っぽ」では意味が通じませんが、「鳩尾(きゅうび)」には別の意味があります。
「みずおち」のところは、左右の肋骨に挟まれた胸骨(きょうこつ)があり、胸骨の下には、尾っぽのように少し骨が出ています。体表から触りやすい人もいますが、みずおちの上を少し押さないと分からない人も多いですね。確認しようとしても、押すと気持ち悪く感じる人も多いので、触れないという人もいます。
この構造的に、骨から少し出ているのを昔は「鳩の尾っぽ」ということで、解剖学的な名前として鳩尾(きゅうび)とし、ツボの名前になっています。今は、この尾っぽの部分は解剖学では、剣状突起(けんじょうとっき)と呼びます。
3.「みずおち」と「鳩尾」
機能的な表現として「みずおち」があり、解剖学的な身体の構造としての名前が「鳩尾」なので、合わさっていった結果が現在のようになっているのではないでしょうか。だから、現在は、「みずおち」「みぞおち」が「鳩尾」で変換できるようになっているのでしょうね。
当たり前と思っている知識と名前も決まってきた経緯があるので、ツボの名前の由来を考えてみるのも大切で、現在の名前や考えに繋がっているところもあります。
4.まとめ
ふとしたきっかけで調べることになりましたが、自分が知っているようで知らないことって、まだまだ沢山あるのでしょうね。こういったことを解決していくうちに、ただの雑学から、一つの体系としてまとまっていくのでしょうから、面白いところですね。