鍼の響きと効果―鍼の響きと刺入感覚

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 鍼を刺していくと、体内で感じる感覚のことを響きといいます。鍼を刺すときにたまに感じるチクッとしたのは痛くて苦手という人もいれば、鍼の響きが気持ちいいし、効果が出るという人もいますが、何が違うのでしょうか。

1.鍼の響きとは

 鍼の響きは、中国では得気(とっき)と言われていて、鍼を刺入していくと感じる感覚のことです。得気では分類があり、酸脹重麻痛という5つの分類があります。

  • 酸(さん):だるい
  • 脹(ちょう):はれぼったい
  • 重(じゅう):おもい
  • 麻(ま):しびれる
  • 痛(つう):いたい

 

 個人的には、響きの種類としては上記でいいのですが、どのように響きが生じているかという場所の分類もありなのかなと思っています。例えば、響きはその場所に感じる場合、鍼をしていない場所に点で感じる場合、経絡などのように線のように感じる場合、一部分がくるまれるような場合、全身をくるまれるような状態があります。名前がないのですが、付けるなから以下のような感じですね。

  • 点:その場所に感じる場合
  • 隔:遠隔で点に感じる場合
  • 経:線上に感じる場合
  • 包:部分的にくるまれる場合
  • 全:全身がくるまれる場合

 

 鍼を刺入したときに、感じる感覚も一つだけではなく、いくつかあるので受ける側からしてみたら、不思議な感覚でしょうね。鍼灸学校に入学したときに、鍼を刺すと、いろいろ感じるので、響きが苦手という人もいましたし、響きがあると鍼をされている感じがして気持ちがいいという人もいましたね。響きに関しては、以前のブログでも書いてあるので参考にしてみてください。

「鍼のひびきとは?」

 

2.鍼の響きの原因

 鍼の響きが生じる原因は何故かというのは断定することはできませんが、体内には豊富にあるので、鍼を刺入したときに、知覚神経が働き、何かしらの感覚を伝えているでしょうから、響きは神経と関係していると言えます。

 

 鍼を刺入しても、響きを感じるとき、響きを感じないときがありますが、全身に無数に存在している神経に刺激として伝わった状態なのではないでしょうか。

 

 響きを感じやすい人、響きを感じにくい人がいますが、これは知覚に関する神経の感度があるのかなと思っています。神経は比較をしても違う物ではないはずですが、人によって感じ方が違うという個性があるので、神経の知覚にも個性があるのではないですかね。

 

3.鍼の響きと効果

 鍼をするときに響きがある方が、効果があるのかないのかについては、鍼灸師自身の考え方の違いとまとめてしまうことができます。なぜなら、どちらのタイプの鍼灸師もいて、生活をしているということは、患者さんが通っていて効果があるということなので、結果からすると、鍼の響きと鍼の治療効果は一致する訳ではないですね。

 

 受ける側からすると、鍼をされると響きがあって、すっきりしたというのは、響きがあるとすっきりする、変化するという繋がりとして理解できますよね。響き・効果というのが一連の繋がりとして理解されていくので、鍼の響きは効果があると言うことができますし、鍼をしてもらったという印象にも残りやすいですね。

 

 鍼が嫌いだという人は、「鍼が痛かったから」と話をする人がいますが、「刺した時?」「刺された後?」という聞き方をすると「鍼が刺さっている感覚が嫌だった」という情報が出てくることがあり、嫌いな人は二度と受けたくないと言ってしまうことがあり、拒絶の態度になってしまうこともあるので、鍼灸師はいいと思っていても注意をした方がいいと思います。

 

 効果があったとしても、響きが嫌いであれば嫌だという人も一定数はいますね。鍼灸師でも響きは嫌いなままの人もいますが、慣れてくることで響きが気持ちいいという人もいますが、かなりの時間、回数、効果を経験して好きになって行っている人もいるでしょうから、響きが嫌いな患者さんも慣れるまでかなりの時間が必要だというのは認識しておいた方がいいですね。

 

4.鍼の響きと刺入感覚

 鍼の響きは、最初の頃は分かりませんが、「響きがありました」という話を積み重ねていくと、その刺入感覚が響きと関係していくのかを理解していくことができるので、初心者のうちは特に、患者さんに「鍼が響いているか?」の確認をして、「どのような感じの響きなのか?」をよく聞いておくといいですね。

 

 以下の響きと刺入感覚は私の個人的な見解であり、感覚なので、人によって表現も違うでしょうから、自分の感覚・表現に近い人と話をしていくとイメージもしやすいと思います。響きの感覚は一つだけではなく、複数同時の場合もあります。

 

1)酸

 酸はだるいという感覚になりますが、脹や重を伴うこともあります。響きの感覚だと、少し柔らかい物に当った感覚でしょうか。

 

2)脹

 脹は痛や重と同時に発生しやすいという気がしています。脹の刺入感覚は、酸と似たような柔らかいという感触があるのですが、酸よりも硬さがあるという感じです。

 

3)重

 重は酸や脹と同時に発生しやすいという気がしますね。重の刺入感覚は、鍼先が硬いものに当って、鍼先がしまっていくような感触でしょうか。鍼の響きが生じる感覚と近いのではないかなと思っています。

 

4)麻

 麻はしびれるという感覚なので、神経に当ったときにも生じやすい感覚ではないでしょうか。神経に当った感覚であれば、細く硬い感じがするのですが、神経ではなく生じる場合は、どちらかというと軟らかい塊に当った感じですね。

 

5)痛

 痛は麻と同じような細く、硬い物に当ったときに生じやすい感覚の気がします。刺入感覚でも薄い膜を切るときにも響きを生じやすい傾向があり、その場合にも痛や重の感覚が出やすい気がしています。

 

5.まとめ

 刺入感覚と響きの感じをまとめてみましたが、思っていた以上に分かりにくいですね。自分の中でも、こういう場合もあるしなと想像して行った部分があるので、違いもあるでしょうが、自分なりに刺入感覚に違いがあるのではないかと思って鍼を扱っていくのがいいのではないでしょうか。

 

 鍼を刺入したあとに響きが強く出ることがありますが、そのまま抜鍼してしまうと、響きが強く残ってしまうことがあるので、その場合は、鍼を少し引き上げたりして、響きがなくなる状態まで、刺入深度を調整して、少し置鍼してから抜鍼した方が治療後に響きが残りにくくなります。

 

 響きが残り過ぎた場合は、その場所にお灸をすると残鍼感が軽減されるので、温めるのもしていくといいですね。

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