鍼灸師は東洋医学の学習をすればするほど、身体の状態は日々の生活と関連していて、生活や体調を改善することが治療に取って重要だと考える人が多いのではないでしょうか。
来院された患者さんの身体の状態を変えていきたいと思うのが、治療家なので、一生懸命勉強して、治療に当っているけど、患者さんが来ないし、増えないという話しも多いのではないでしょうか。この状況って、本当に患者さんが良さを知らないのでしょうか。
それとも、鍼灸師側の問題なのでしょうか。ちょっと、考えてみたことがあるので、すれ違うポイントと改善点をブログとしてまとめてみようと思います。
1.鍼灸師の考えていること
鍼灸治療では全身に鍼灸で刺激を行うことで、自律神経を調節し、全身状態を変化させる治療で現代医学では、神経、血管、筋肉に合わせた施術を行っていくので局所が中心とした治療になります。東洋医学を用いた治療を行う場合は、身体の状態を東洋医学的な四診を用いて鑑別して、臓腑経絡を用いた治療を行います。
鍼灸では、症状の変化、圧痛の変化だけではなく、顔色、硬結、陥凹の変化を診ながら治療を行っていくので、微細な変化に対して反応していると言えます。
経験を積んでくると、それまで全く分からなかった変化も分かるようになるので、経験を多くしている人だと、より細かいところを診て判断していることになります。
2.患者さんの考えていること
症状が辛くて治療に来ているので、病院に行くときもその場所を診てもらうという状況になっているし、局所を考えていくという教育を受けているので、局所が中心の考え方になります。
患者さんからしてみると、鍼灸は痛い物をして効果があるのかという思いっきりネガティブの状況が前面にあるので、痛い物をわざわざするので、効果があるのかという本質的な疑問がつきまといますね。
さらに、東洋医学には触れることがないので、バランスと言われれば何となく情報として入ってきても、具体的な用語や繋がりは全く想像できないし、理解するまでも大変でしょうね。
3.すれ違うポイントと改善点
1)鍼灸は痛い
鍼灸師は学生時代から鍼灸を受けているし、普段のケアで利用している人も多いので、痛みを感じることがあっても少ないし、痛みを感じないようにも行っているので、痛いと感じていないですが、普通に考えてみれば、身体に鍼という突起物、お灸という熱を加えるのは、痛いし・熱いというのが当たり前だろという考え方ですね。
鍼灸師に取ってみれば、鍼灸は自分の仕事でもあるのでポジティブですが、一般の方からすればネガティブですよね。
鍼灸師がいくら、鍼灸は痛みも熱さもないと言っても、受けたことがなければ分からないので、ネガティブのイメージは消えないですね。さらに、鍼灸師がいくら痛くないと言ったところでも、売る側が積極的に言えば言うほど、怪しい感じがして、余計にネガティブになってしまいます。
改善するポイントは「鍼灸は痛くない」というのを「鍼灸は痛い」けど、「想像よりは痛くない」と協調するのもいいのかなと。身体に尖った物を刺すのは痛いに決まっているのに、ほとんど痛みを感じないという方が、イメージがよいのではないでしょうか。
2)東洋医学が分からない
東洋医学は、現代医学と同じ様な用語を使うのに、考え方が大きく変わるものなので覚えて理解していくのは時間がかかります。鍼灸学校に入ったばかりのときは、東洋医学が凄く好きな人以外は、初めて習うことなので、単語を覚え、イメージしていくのも大変でしたよね。
今までと同じような単語もあるし、全くしらない単語もあるしで、何を言っているのかさっぱり分からないのが鍼灸学校の1年次でしょうから、初めて触れる患者さんに取ってみれば難解極まりないですよね。
ということで、東洋医学の話を出来るだけしない、または日常生活で分かりやすい言葉に置き換えていくのも大切なのですが、そうなっていくと、こちら側の説明するスキルが重要になっていくのですが、これは今まで通りのことなのことなので、出来るだけ分かりやすくするのが重要ですね。
3)とにかく分かりやすくする
痛いし、言葉が分からないし、何に効果があるのか分からないので、全てを取り除いて分かりやすくするのもありなのではないでしょうか。この典型例になるのが、美容鍼灸ですね。
美容鍼灸は、美容のために鍼をする、痛みが生じることもあるけど美容という欲求で乗り越えられる、顔に鍼をするので分かりやすいしイメージしやすい。人の欲求と分かりやすさを追求した例と言えるのではないでしょうか。
もちろん、普及していった背景には先人の功績もありますが、鍼灸師の数が多くなったことで、治療院を開けるのに工夫していると言えますね。鍼灸師の数が多くなったことで、それまで入ってこられなかった優秀な人材の流入もあったと言えるので、数が多くなった利点も後押ししていますね。
他にも婦人科疾患、スポーツと特化しているところはイメージがつかみやすいので、患者さん側からすれば分かりやすいものだと思います。ただ、資格を取ると広告の制限が入り、無資格だと広告の制限が入らないという点があるので、特化型の場合は、今後の広告規制が入ると難しい立場に追い込まれてしまう可能性もありますね。
4.まとめ
新患さんの中でたまにいるのが、以前に鍼灸に通っていたけど、治療はしてくれるけど、主訴や痛みがあるところをもっとやって欲しいから止めたという人もいるので、状態に合わせるだけではなく、患者さんの状態だけではなく、心の希望を聞いていくのも必要なのかなと思うことがあるのですよね。
確かに拘って治療をしていくのもいいですが、その場所を触ってやってあげるというのは根本とも言えるので大切なのだなと思ったのですよね。
治療歴が長い先生だと、治療は治療、それ以外にやって欲しいところがあれば、悪くならない限り、やってあげるという話しも聞いたことがありますが、確かに、患者さんの心により沿うやり方としてはいいよなと思いましたね。