治療をしているときに思ったのは、足関節の前後も治療としては面白いですが、足関節の内側と外側が治療として非常に面白いと思ったのでブログでまとめてみたいと思います。

１．足関節と腎経・膀胱経

　足関節の内側と外側は経脈で言えば、腎経と膀胱経になります。通常は、身体の前面・後面・側面と3面に身体を分けられ、前面は陽明・太陰、後面は太陽・少陰、側面は少陽・厥陰になるのですが、足関節のところでは、側面である内側と外側は太陽と少陰になっています。

　形としての理論と、現状の整合性が取れていないところと言うこともできますが、治療という形の中で発展してきたのが東洋医学とも言えるので、現実的であるという視点でいいのかもしれませんね。

　足関節のところは背屈・底屈という動きだけではなく、内反・外反という動作も加わり、複雑な動きを生み出す視点になるので、動きが悪くなると、全体の動きに影響が生じてしまうことになります。

　スポーツをしていると良く分かりますが、多くのスポーツでは下肢は地面に接していて、下肢で踏ん張っていくことで動きが作り出していくことが出来るので、足の動きが悪くなってしまうと全体に影響が及びます。

　下肢は動きを作るだけではなく、クッションとしての役割もあるので、歩く、走るという動作では、下肢は動くだけではなく、身体への衝撃を和らげるクッションとして重要ですね。クッションとしての力が低下してしまうと、腰痛が生じてしまいやすいというのは治療家の人であれば当たり前のように考えることになるので、下肢の動きのポイントとなってくる、内側・外側が腎経・膀胱経というのも面白いですね。

２．腎経・膀胱経と蹻脈の関係

　腎経・膀胱経は奇経八脈の陰蹻脈・陽蹻脈と関わります。陰蹻脈は足少陰の別脈、陽蹻脈は足太陽の別脈となるので、腎経・膀胱経を調整しやすい、影響を受けやすいところになります。

　この蹻脈を調整する八脈交会穴は、陰蹻脈が照海、陽蹻脈が申脈になり、足関節の内側・外側に分布していて、さらに腎経の経穴・膀胱経の経穴になっているので、治療において、足関節の内側・外側は非常に重要なポイントということが分かります。

　腎経・膀胱経に障害が発生していれば、蹻脈によって治療できますし、蹻脈を調整すれば、腎経・膀胱経に影響を与えられるので、治療として重要なポイントになります。

　私は、照海・申脈は鍼灸治療だと効果をまだ実感するまでには至っていないですが、手技で行う場合は、照海・申脈は非常に効果的な場所で影響力が強い場所だと思っています。

　手技では使えるのに、鍼灸だと上手く使えないということがあるのかなと思う人がいるかもしれませんが、ここに出来ない人がいるのですよ。手技で行う場合は、全体と面で捉えるようなイメージになっているので、まだ穴という点でイメージが出来ていないし、理解できていなのかなと思っていますが、これは個人的な問題ですね。

３．蹻脈と筋肉

　治療において足関節が重要ということで、その視点からすると、腎経・膀胱経だと走行が長く、経穴も多いので、足関節という視点では蹻脈の方がいいのかなと思っています。

　何故、足関節に効果があるのかを考えていたのですが、足関節の内側・外側には走行が似た筋肉がそれぞれあるので、蹻脈のイメージとして捉えていくのはどうだろうかと思いました。

　足関節の内側は、後脛骨筋。足関節の外側は、長腓骨筋。この2つの筋肉はくるぶしを回り込むようにして足関節の前方に付着しており、足関節の動きにとっては重要な働きを担っています。

　2つの筋肉の協調によって足関節の底屈が行われますが、足関節の底屈は下腿三頭筋も関与しています。下腿三頭筋がパワフルに働いて、関節を背屈させるのを、後脛骨筋・長腓骨筋がサポートしているのではないでしょうか。

　人間は2足歩行を行いますが、歩くということには底屈が重要になります。身体を前に押し出して進んでいくのには、背屈の筋力が重要なので、いくつかの筋肉が協調して働くことになります。

　歩行など、下肢を動かすことで、血管へ圧がかかり、血流に対して働きかけているので、足の働きは重要ですね。ということで、足の動きに関与する後脛骨筋の付近、長腓骨筋の付近は、治療効果も高いところでしょうし、これを蹻脈という概念、臓腑との概念を使って経験と知識を融合したのではないでしょうか。

４．まとめ

　答えがないものなので、好き勝手な妄想として書いてみましたが、足関節が緩むと身体が楽になることが多いので、治療点として研究を続けていきたいと思います。

　健康法としても、足関節を回すというのがありますし、ギックリ腰になったときも、足関節を回し続けると効果が出てくるというのもあるので、足は非常に大切なところですよね。不思議だけど、面白い部分でもありますね。