鍼灸師の資格とあん摩マッサージ指圧師の資格は同時に取得に取得した方がいいのか?

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 鍼灸師の資格を取ろうと考えると、鍼灸師とあん摩マッサージ指圧師(通称:あまし)の資格があり、いっぺんに取れるところと、鍼灸師かあん摩マッサージ指圧師のみの学校があるので、学校選びをどうしようかと悩む人もいるのではないでしょうか。

 街中には、○○鍼灸マッサージ整骨院というのもあるし、資格を調べていても柔道整復師というのも出てくるでしょうから、何が違うのかと悩むこともあるのではないでしょうか。独断と偏見になりますが、違いと卒業後のメリットを含めてまとめてみます。

 

1.資格の違い

1)鍼灸師

 鍼灸師という資格は、「はり師」「きゅう師」に分かれていて、鍼灸師の資格があると言う人は、「はり師」「きゅう師」の2つの国家資格を持っているということになります。資格が分かれているので、勉強が大変かというと、試験内容は同じで、問題数が少し変わるだけなので、通常は同時に取得することになります。

 

 ただ、試験の点数によっては、どちらか一方しか取れないので、「はり師」「きゅう師」のどちらかだけの場合もあります。「はり師」は鍼が出来るのでまだいいのですが、「きゅう師」だとお灸だけでお金を取るところが少なく、仕事も限られてしまいますね。鍼灸師が国家試験を受けるときには、「灸ちゃんだけ」というのは嫌だという話しも出てきますね。

 

 日本の医療資格は、医療の全てを行えるのが医師になります。ただ、医師が全てを行うのが難しいので、項目ごとに資格があり、人の身体に鍼を行うのが「はり師」、人の身体に灸を行うのが「きゅう師」になります。ということは、医師は鍼灸師の資格を取らなくても、鍼灸で使われる東洋医学の勉強をしなくても出来るということになります。

 

 一応、医学部で東洋医学の授業が入っているようですが、時間数で考えれば、全体像を話して終わりになってしまうでしょうね。

 

 鍼灸は中国伝統医学の中の一つのもので、漢方とともに、日本でも昔から行われていた物であり、考え方のベースは東洋医学になるのですが、筋肉、神経、血管を狙った治療を行うことができるので、現代医学の考え方で治療をすることも可能です。

 

2)あん摩マッサージ指圧師

 あん摩マッサージ指圧師の資格は一つですが、実技としては「あん摩」「マッサージ」「指圧」の3つがあります。「あん摩」は中国伝統医学の揉みで、「指圧」は日本由来の揉みになります。違いはありますが、一般の人からしてみたら、「あん摩」と「指圧」の違いを見分けるのは難しいと思います。

 

 どういった物かと言えば、洋服などの上から身体を揉むなので、一般的に言われる、「マッサージ」「揉みほぐし」「リラクゼーション」だと思うといいですね。

 

 「マッサージ」は西洋由来のもので、皮膚上に直接行うやり方で、一般的には「オイルマッサージ」が「マッサージ」になります。

 

 リラクゼーションなどで「マッサージ」や「指圧」、「あん摩」と書かずに、「整体」「リラクゼーション」「揉みほぐし」と書いてあるのは、資格がないので、名前に「あん摩」「マッサージ」「指圧」という単語を入れられないからですね。

 

 医療制度として、あん摩マッサージ指圧を出来るのは、「あん摩マッサージ指圧師」か「理学療法士」、後はもちろん医師です。医師が揉みをやることはないので、理学療法士に指示して行わせますが、理学療法士は「あん摩マッサージ指圧」の勉強と実技はそれほどやっていないので、分からないという人も多いのではないでしょうか。

 

 「あん摩マッサージ指圧」は、「あん摩」は中国伝統医学の一つであるので、学習内容は鍼灸師と同じ物になるので、同じ勉強で、両方の資格が取れます。

 

3)柔道整復師

 柔道整復師は、骨折、打撲、捻挫の処置をする資格なので、学習内容は包帯などの処置になりますね。昔は病院も少なく、処置を受けられなかったので、町に整骨院があって、処置をしてもらって湿布を買う場所という状態だったのではないでしょうか。

 

 今は、整形外科も多く、ケガをしたら整形外科に行くので、町の整骨院はマッサージ、ほぐしの場所の状態になっているのではないでしょうか。資格的にマッサージをしてはいけないので、資格がない場合は、マッサージという名前を使わずに、整体、骨盤矯正など、用語を変えていることが多いですね。海外の人達にはネットの情報として、整骨院は安く揉んでくれるし、保険を使って安くマッサージできるところと紹介されていますね。

 

 法律的には処置が中心なはずですが、一般的にも、外人にも安いマッサージ屋と捉えられている状態ですね。

 

 柔道整復師の学習内容は現代医学で、処置が中心になるので、勉強内容は鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師と関わらないので、完全に別な資格になります。他の国では、整形外科で全部見ていくので、整形外科ではないのに処置もできて、さらに独立も出来るというのが日本独自ですかね。

 

 後は、保険を使いやすいというのが一つの特徴なので、独立するために取得するという人もいますね。

 

2.何故、複数の資格を合わせるのか?

 結論から言えば、複数を組み合わせた方が食べていきやすいのと、学習内容が偏るので、いくつか取得しておくと便利になります。「鍼灸師」と「あん摩マッサージ指圧師(あまし)」は学習内容がほぼ同じなので資格が取れるのと、鍼は受けるが怖いから揉みで身体が変わるのを実感し、信頼関係が出来てから鍼という状況もあるので、この2つの資格は親和性が高いです。

 

 柔道整復師は急性外傷を診ていく資格であり、鍼灸やあましが慢性に対処しやすいので、急性で患者さんの処置をし、慣れてもらっていき、鍼灸やあましでやっていくというのが多いパターンですね。

 

 鍼灸だけの資格の人も、鍼灸だけだと一般の人が怖がってしまうので、柔道整復師を取得することで、急性の人から来てもらって、段々と認知してもらっていくために資格を取ろうかと考えている人もいますね。このパターンは、急性外傷、数百円の治療で慣れてもらいながら、だんだんと慢性疾患、継続、数千円の治療に変えていき、最終的には整骨院の看板を下ろすという方向にいきやすいですね。

 

 鍼灸をしっかりやりたくても、認知度がまだまだ低いので、整骨院、マッサージ院から変化させていくパターンは多いのではないでしょうか。マッサージ院であれば慢性疾患、定期的に通う、数千円という鍼灸と同じような土台になっているので鍼灸に移行するのにはいいのですが、揉まれて気持ちいいのと、揉みをしなくなるのが嫌だということで、マッサージからなかなか移行できないという話もありますね。

 

 そのため、鍼灸をやっていくのにはマッサージはしない方がいいという話も出てくるのですが、私は単純にやり方だと思うので、その意見には賛成できないです。

 

 鍼灸と柔道整復師の学校は増えましたが、あましが取れる学校は増えていないので、資格を取る場合は場所が限られるので大変になります。私が取得したときは学校が増え始めてきているときでしたが、最初に学校を探し始めたときは、学校数が少なく、受験倍率が高く合格率が低いので、鍼灸やあましは入るのが大変だと言われていましたね。

 

 以前からある学校は、鍼灸だけではなくあましも取得できるところばかりだったので、私は、鍼灸だけではなく、あましも持っています。柔道整復師の資格も考えてみましたが、自分のやりたいことには合わないので、結局、取りたいと思うことはなく、この先も取ることはないですね。

 

 鍼灸、あましの資格に組み合わせるのに、登録販売者の方がいいかなと思って資格を取得しましたが、医薬品の仕入れがあるので、使い方が難しいので、これも使っていくことはないと思います。

 

3.鍼灸師とあん摩マッサージ指圧師の資格は同時に取ったほうがいいか?

 鍼灸師とあましは学習内容がほとんど同じで、試験日が土日と分かれているだけなので同時に取る方がいいです。ただ、その資格が本当に必要なのか考えてもいいのではないでしょうか。

 

 鍼灸もあましも医療系ということで学費は安くないですし、あましが入っている方が授業時間数も多いので、働けない時間も増えるので、学生をしている間の支払う費用、稼げない費用も考えると、かなり高額になります。

 

 しかも、それだけ高額な支払をしたということは、収入が保証されないと学費の回収も難しくなってしまいますよね。ちなみに、この業界の平均年収は鍼灸師、鍼灸あまし師だと、あましの方が若干高いですが、大きく収入が変わることがないのが現状です。年収が変わるとしたら能力給ぐらいなのかなという印象ですね。ただ、あましの資格持ちが少ないので貴重に思ってはもらえるという点がありますかね。

 

 鍼灸だけの学校、あましだけの学校があるので別々に取得することは可能ですが、別々のところに通うのは、費用と時間が多くかかってしまいます。いろいろなことを知れるという点ではいい部分でもあるのですが、鍼灸だけの学校はそれほど悪くないのかなという印象ですが、あましだけの学校は、技術的には悪くないけど、勉強という点では弱いのかなという印象があります。これは私自身が卒業した人達に話を聞いた感覚でしかないので正しい訳ではないですし、現在の状況は分からないです。

 

 あましがどうしても欲しいという人は、将来のことも考えておくと、鍼灸も同時に取れる学校が入るのがいいではないでしょうか。鍼灸が欲しいけど、あましをどうしようかなと思っている人もいると思いますが、「悩んだらやってみる」という考え方もあるし、「ついでの物は使わない」とどちらの意見もあるので、費用と時間を考えて考慮していくのがいいのではないでしょうか。

 

 将来に渡って、あまししかやらないと考えている人もいるでしょうが、深部、全体、考え方という点では鍼灸を取っておいて損はないので、鍼灸もある学校で学ぶ方がいいと思いますし、鍼灸は資格がないと出来ない物なので、ついでのつもりで取っておいた方がメリットはあるのかなと思います。

 

 現状としては、無資格リラクゼーションが多数あり、整骨院でもマッサージのようなことをしていて、整形外科でもマッサージをしていたりするので、あましを取るメリットは、看板とメニューに「あん摩マッサージ指圧」と書ける、資格を持っていると言える、あましの保険請求することができることになってしまうのではないでしょうか。

 

 ちなみに、私は3つとも使っていないし言っていないので、資格がなくてもよかったでしょと言われたら、そうですと言うしかない状態です。

 

4.あん摩マッサージ指圧師は取るべきか?

 私はあん摩マッサージ指圧師という、あましも持っていますが、上記で自分を否定してしまったので、さらに自分自身を否定してみたいと思います。先に言っておきますが、私は手技が好きですし、やっているので、本来は否定する側ではなく肯定側です。人に言わないのは、揉みや、リラクゼーションと思われることが多いからです。ちなみに過去のブログでも書いていますので、参考にしてみてください。

「鍼灸師として名乗るか」

 

 鍼灸もあましも身体に触る資格で、身体に触って判断できる力がある方がいいので、あましを取っておいて、身体に沢山触り、身体を知ることは重要だと思っています。ただ、身体に触るのに資格が必要というのが当たり前なのですが、現状はその通りではないので、資格って何だろうなと思うことは多々あります。

 

 昔の先生と話をすると、あましの方が先に取れたので、学校に通いながら、あましで働きつつ鍼灸の勉強をしていたという話も聞きますが、その方が技術は向上しやすいだろうなと思います。現在は、あましも鍼灸も3年間学校に通わないといけないので、昔にあった利点がなくなってしまいましたね。

 

 資格を取るのは費用と時間がかかるので、その後のことも考えていかないといけないというのは既に書きましたが、卒業後も生きる力を得るために学校で学ぶのはメリットがあるかというと微妙かなというのが個人的な感想です。

 

 何故かというと、日本の学校教育を考えないといけないからです。いきなり学校教育と言われても意味が分からないでしょうが、日本の学校を端的に言えば、入るのが大変ですが、出るのが楽です。現在は、大学で入るのが大変なところもありますが、全入時代なので、入るのが楽で、出るのも楽なのかもしれません。

 

 一応、こういったことを書くに当たり、学校について少し調べたのです。学校の評価は、入学した人が離脱せずに卒業したかを評価する傾向にあるので、学校教育は、入学者を辞めないようにさせ卒業させるのが目的になってしまい、その人の能力を最大限伸ばすという方向にいかないと言えます。これは専門学校だけではなく、日本の学校全体の特徴ではないでしょうか。

 

 もちろん、こういった教育の成果が高い識字率に繋がり、全体としての底上げにも作用しているので、教育のおかげで成立っていることも多いですし、凄いことだと思っています。

 

 鍼灸やあましの専門学校に話しを置き換えてみると、どんなに実技教育に力を入れているとしても、出来ない人、練習しない人を落としていくと学校の評価が下がるので、出来ない人、練習しない人のフォローアップに力を注ぐことになるのではないでしょうか。学校にいる教員(資源)は限りがあるので、伸びる人だけの特化型を作るのは難しくなるのではないでしょうか。もちろん、学校内容に精通している訳ではないので、状況から考えるとこうなるのではという仮定です。

 

 学校によってはゼミやセミナーという形で伸ばすようにしているようですが、実地に勝る勉強はないのも事実ですね。本来は、実地で失敗しないために、多くの時間をかけ、練習をし、実地で出来るようにしていくのが大切なので、学校教育の中で沢山やっておくことはいいことです。

 

 ただ、先ほども書いたように、無資格リラクゼーションは沢山あるので、沢山勉強して資格を取得したとしても結果として報われないことはあるのではないでしょうか。

 

 個人的に相談を受けたときに話をするのは、どうしても欲しい、ついでに取れるから欲しい、お金と時間があるのならば、取ったらいいのではないかという話をします。

 

 もし、最終的に鍼灸だけにしたい、食べていく力をつけたい、資格に拘らないというのであれば、資格の優位性という点では弱いので、いらないのではないかという話をしてしまいますね。

 

 例えば、無資格リラクゼーションなどでバイトでもすれば、給料をもらいながら、あましのような基本実技の指導を受け、実地で身体を触るチャンスがあります。学校ではお金を払って、練習して実地がないです。もちろん、実習と言う形で導入しているところもあるでしょうが、やっぱり真剣勝負の舞台である現場と比べると甘くなりやすいでしょうね。

 

 どちらが良いか、悪いかという視点ではなく、どちらの方がいいかと聞かれたら、お金をもらいながら身に付ける方がいいですよね。しかも、接客マニュアルも丁寧なので、丁寧な対応も身に付くという利点があります。美容を目指すのであれば、エステサロンなどを経験に入れれば、オイルマッサージ(通常はマッサージと表現せずにエステと表現)が身に付くし、同様に接客能力を上げやすいですね。

 

 こうやって考えていくと、自分自身の資格取得を完全に否定してしまっているわけですが、確かに、そこで稼いだお金で、講習会にいったりできるので、より勉強もできるなと思ってしまいますね。通うメリットもあるのは事実ですが、支払う支出と収入がかみ合うのかなと疑問を感じてしまうので否定的に思ってしまうところもあります。

 

 将来的に高齢者を対象にしたい、保険を使って安く治療をしたいという人、基本的な知識も含めて学びたいという人は取得してもいいのではないでしょうか。私自身は資格者が増えて、しっかりと行って広めていきたいという思いもありますが、学校数が少ないので学習しにくく、費用も時間もかかるし、卒業後のことを考えると否定的になってしまう現状ですね。

 

5.まとめ

 独断と偏見に満ちて、まとめてみましたが、一人の意見だけではなく、何人もの意見を聞いて実際に考えてみるのがいいのではないでしょうか。良い悪いで言えば、資格がないのに身体を触るのはよくないことですが、現状としては、資格を持っていない人が揉みほぐしをしていますしね。

 

仕事や資格は、そこで収まるようにするというよりは、自分に合うように資格、仕事を使っていく、身に付けるという視点で考えれば、やり方はいろいろあるのではないでしょうか。

 

 個人的な思いとしては、あん摩マッサージ指圧師の認知度があがり、揉みほぐしは、この資格しかできないという状況になった方が、安全ですし、いい傾向だと思うのですが、資格を取れる学校も少ないし、資格者が少ないので、需要に合っていないので仕方ないですね。

 

 資格者が増えないのは、保険請求もできてしまうために、医療財政を圧迫する要因も一つだと思うので仕方ないところでもありますが、資格者としては、資格と取るのは費用も時間もかかるのに、制限も多いので、資格はない方が楽だなと思ってしまうこともありますね。

 

 自分がもし、この年から取るとしたら、鍼灸だけにしてリラクゼーションに入るという選択をする可能性もありますし、支出は度外視して、勉強に重きをおくために、あましを目指す可能性もありますね。若ければ、両方取ってもいいのかなと思いますが、やっぱり悩むでしょうね。

 

 同級生にリラクゼーションで働いている方がいましたが、やっぱり実技、応対は経験があるので非常に上手だったので、資格を取らないのもありかもしれないし、基礎を叩きなおすという点では、リラクゼーションで働きながら、あましも目指すのもいい方法だなと思ってしまいますね。

 

 ということで、私が今から通うなら、仕事はリラクゼーション、資格は費用、年齢、使える時間で考えていくのかなと思います。悩んでいる方の参考になればと思って書きましたが、結局、自分でも答えが出なかったですね。

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